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Culture Post

グラフィティを再構築せよ!大山エンリコイサムの無限宇宙

大山エンリコイサム『FFIGURATI #133』、2014-2016

多くの人が幼い頃、親にこう言われただろう。
「なくさないように、持ち物に名前書いときなさいっ!」
そして私はおもちゃの人形の足の裏に名前を書いたわけだが(消えないマジックで)、アーティストが “ストリート” に名前を書いたとしたら……高度な造形性を伴ったそれは “グラフィティ” と呼ばれ、アートとみなされるようになる。

Text:Ken Suzuki

アート・ワールドでも有名なキース・ヘリングやジャン=ミシェル・バスキア、近年だとバンクシーらが担ってきたグラフィティ文化やストリート・アート。それを独自のアプローチで再構成するアーティスト、大山エンリコイサムの個展「Present Tense」が南麻布のギャラリー、Takuro Someya Contemporary Artで開催中だ。

イタリア人の父と日本人の母のもと東京に生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動する大山。壁画や絵画の制作を中心に、コム デ ギャルソンやシュウ ウエムラとのコラボレーション、書籍の出版など幅広く活躍する彼だが、グラフィティ文化に対しては「名前を書くことに限定性がある」と語る。

“公共の” 空間に ”私的な” 名前を書くことによって、抵抗文化やカウンターカルチャーという単純な構図で解釈されてしまい、また名前=文字であるため、読める/読めないといった排他的な空間になってしまうと分析する大山。

そこで彼が用いるのが、「クイック・ターン・ストラクチャー」と呼ばれるモチーフだ。文字の可読性を取り除き、描線の運動と反復によって構成されるそのかたち。抽象的なその連続するかたちは、やがて一つの生を持つ作品となり、「I was here」的過去時制のグラフィティではなく、現在時制(Present Tense)の芸術として見る者の前に現れてくる。

日本で初の本格的な個展となる今回の展示は、そのようなクイック・ターン・ストラクチャーを84体も描きこんだ大型作品『FFIGURATI #133』を筆頭に、すべて新作で構成されており、彼の現在に至るまでの展開を見通す絶好の機会となっている。

私が自分の名前を書いた宇宙飛行士のおもちゃは、登場する映画の中でこう言っていた……「無限の彼方へ、さぁいくぞ!」—グラフィティという文化を再構築し、そこに “無限の広がり” を与える大山エンリコイサムの活躍を、見逃さないで!

大山エンリコイサム「Present Tense」
会期/2016年8月20日(土)〜 9月24日(土)
会場/Takuro Someya Contemporary Art
   東京都港区南麻布 3-9-11 パインコーストハイツ1F
時間/12:00〜19:00
休廊/月曜・日曜・祝祭日
TEL/03-6804-3018
URL/tsca.jp

大山エンリコイサム『FFIGURATI #133』、2014-2016

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