フィオナ・タンの新作展示が六本木と静岡で同時開催! | Numero TOKYO
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フィオナ・タンの新作展示が六本木と静岡で同時開催!

Video still from 『Ghost Dwellings III』, 2013–2014 © Fiona Tan, courtesy of WAKO WORKS OF ART

巧緻に作り込まれたインスタレーション作品を用いて、歴史やアイデンティティといった “物語” にまなざしを向けた映像で知られるアーティスト、フィオナ・タン。国際的にも評価の高い彼女の、日本初公開となる新作を含んだ展覧会が、六本木と静岡の2会場で開催中だ。

六本木のギャラリー、WAKO WORKS OF ARTで開催中の「Recent Works」でメインとなるのは、『Ghost Dwellings Ⅲ』という映像作品。同シリーズのⅠ、Ⅱでは財政破綻をきたしたデトロイト市や、リーマンショックの影響で廃墟同然と化したアイルランドのコーク市を撮影してきたが、今回のⅢでは、震災後の福島が映し出される。一瞬の出来事によって人々が消えた場所、そこに染み付いた住人の想いは、まさに亡霊のように、私たちに語りかける。

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一方、IZU PHOTO MUSEUMの展示「Ascent」の中心は、富士山をモチーフとした新作『Ascent』。この77分間の映像作品に用いられたのは、約4000枚にも及ぶ富士山を被写体とした写真。「雲がときに富士山の姿をその合間から現したり、またときにその姿を覆い隠したりするように、数千ものイメージが雲のように山を取り巻く」世界であるとタン自身が語るように、古今の写真のモンタージュは、浮世絵の時代から第二次世界大戦へ、帝国主義の時代から現代のツーリズムへ、写真の黎明期からデジタル全盛の現代へ……イメージはジグザグと登山するかのように、歴史を蛇行していく。

“岡目八目” という言葉があるように、当事者でないからこそ、えぐり出せるものがある。
ちょうど人間が、自分の背中のホクロの数を、一人では正確に数えられないように。
タンというアーティストの目を通して見えた日本を、あなたもぜひ、その目で。

Fiona Tan「Recent Works」
会期/2016年7月23日(土)〜 9月21日(水)
会場/WAKO WORKS OF ART 東京都港区六本木 6-6-9 ピラミデビル 3F
時間/11:00〜19:00
休廊/日曜・月曜・祝祭日
   ※夏期休廊 8月14日(日)〜 8月22日(月)
TEL/03-6447-1820
URL/www.wako-art.jp/top.php

Fiona Tan「Ascent」
会期/2016年7月18日(月・祝)〜 10月18日(火)
会場/IZU PHOTO MUSEUM 静岡県長泉町東野クレマチスの丘 347-1
時間/(7・8月)10:00〜18:00
   (9・10月)10:00〜17:00
   ※入館は閉館の30分前まで
休館/水曜
TEL/055-989-8780
URL/www.izuphoto-museum.jp/exhibition/208709273.html

Video still from 『Ghost Dwellings III』, 2013–2014
© Fiona Tan, courtesy of WAKO WORKS OF ART

Video still from 『Ascent』, 2016
© Fiona Tan
Photo by Higuchi Masaharu

Text:Ken Suzuki

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