ルイ・ヴィトンと〇〇〇を結ぶ、“赤い糸”とは?
『Le fil rouge』@エスパス ルイ・ヴィトン 東京
突然ですが、クイズです。 「ラグジュアリーブランドと 〇〇〇 は、“赤い糸” で結ばれている」 〇〇〇に入る言葉とは? (ヒント:カタカナでもアルファベットでも3文字の単語) ……その答えにつながる、新たな展望へと挑む展覧会が、ルイ・ヴィトン表参道7階の「エスパス ルイ・ヴィトン 東京」で開幕する。
そしてもうひとつは、表現媒体としての糸が持つ、多様にして奥深きメタファー。
たとえば、鉛筆や絵の具によって描き出される絵画に対して糸を用いた表現には、制作プロセスやその後の変化を予感させる脆(もろ)さや儚(はかな)さなど、時間経過を想起させる力がある。
あるいは、“赤い糸” という言葉から連想される、人や社会とのさまざまな関係、運命や宇宙観にもつながるイメージ etc.…。
しかし今回の趣向は、そうした視点だけにとどまらない。
さらに大きなスケールの “ある仕掛け” が織り込まれ、訪れる者を新たなアート体験と導いていくのだ。
じつは、この展覧会はルイ・ヴィトンが世界各地で展開するアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン」のうち、ミュンヘンとパリ、そして東京と、3都市を結ぶ連携企画。
各エスパスには、世界各国からの参加アーティスト計8名のうち4名の作品がそれぞれ展示されるほか、残る2館の展示アーティストや作品にも言及が広がる。そこから各館を “糸” のように結ぶ有機的な対話が生み出されていく……というわけだ。
先陣を切り、1月29日に展示を開始したミュンヘンでは、YBA(Young British Artists)を代表する女性アーティストとして現代アート界を牽引し続けるトレイシー・エミンをはじめ、ガーダ・アメール、マイケル・レデッカーらによる刺繍をベースにした作品が登場。
続く2月6日からは、パリでの展示がスタート。今年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本代表作家・塩田千春による、空間全体に糸を張り巡らしたインスタレーションに加え、イザ・メルスハイマー、フレッド・サンドバックらの作品を展示している。
Text:Keita Fukasawa