エスパス ルイ・ヴィトン東京が無限∞空間に!? 森万里子 来日インタビュー | Numero TOKYO - Part 5
Culture / Post

エスパス ルイ・ヴィトン東京が無限∞空間に!? 森万里子 来日インタビュー


展示風景より、『Birds II』(2012年)、『Infinite Energy I, II, III』(2013年)
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo

 

──文化を超越した視点を提示するうえで、ご自身の日本人としてのアイデンティティについて、どのように意識をしていますか。

「日本人の精神性を、そのまま作品として表現することはないのですが、でも、文化の基盤に神道という自然への崇拝や輪廻という思想が根付いている日本人と、そうではない西欧圏の人々では、作品に対する見え方が違ってくるのは確かです。
宇宙で誕生したエネルギーで私たちの体が構成されていることなど、すべてが循環するシステムになっているという思想は、日本人、あるいはアジア人にはすぐ理解できますが、でも、西洋の文化においてはかなりチャレンジングな思考が必要だと思います」

──日本でも、宮古島の七光湾に作品を設置するなど、自然との融和を図るプロジェクトに取り組んでいますが、同様の試みを世界でも展開されていくのでしょうか。今後のご予定について教えてください。

「じつは、宮古島の作品はその一つなのですが、6大陸ごとにパーマネントのインスタレーションを設置するプロジェクトを進めています。次はブラジルのパワースポット的な場所である、ヴィスコンデ・デ・マウアの滝に、同じく太陽の光と一体化する作品を設置予定です。
それぞれの設置場所については、リサーチやいろいろな人々との出会いを経て、ご縁があるところに決まっていくことになると思います。その意味では、今回のエスパス ルイ・ヴィトン東京の展示も、5年ほど前からお話をいただいて、さまざまな必然性からこのタイミングで実現をしたと言えると思います。
今後も、宇宙や自然とつながっていく意識のありようを、アートの手法を通して伝えていきたいと思っています」

会場にて。
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo

森万里子(もり・まりこ)
アーティスト。ニューヨークを拠点に活動し、世界中の美術館や個人コレクターなどから国際的な評価を集める。
2005年のヴェネツィア・ビエンナーレに出展したインタラクティブ・インスタレーション『WAVE UFO』で広く認められることとなった。
グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、ポンピドゥ・センター(パリ)、プラダ財団、ニューヨーク近代美術館(MoMA)など、世界各地の美術館に作品が収蔵されているほか、第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ優秀賞(1997年)、第8回日本現代藝術奨励賞(2008年)など、受賞も多数。

『Infinite Renew(無限の再生)』by 森万里子
期間/9月28日(土)〜2014年1月5日(日)
場所/エスパス ルイ・ヴィトン東京 東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
TEL/03-5766-1094
URL/www.espacelouisvuittontokyo.com
※ 本インタビュー記事の掲載作品のほか、1Fにも映像作品『Ālaya』を展示。

 

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深沢慶太(ふかさわ・けいた)
 
フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN新社)など。

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