エスパス ルイ・ヴィトン東京が無限∞空間に!? 森万里子 来日インタビュー
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
──台の上に置かれた立体作品『Birds II』は、その他の作品とは違い、鳥という具象的な形をしていますね。
「そうです。ルーサイトというアクリルの一種で作られたつがいの鳥で、オパールの色をしていますが、光が透過されると角度によってオレンジやブルーに見え方が変わる。
じつは、この作品は私が夢に見たヴィジョンが元になっています。本来、地球も生命もみな、すべてはつながっているのですが、私たち生物は肉体を持つことで本来のエネルギーの循環から分離されてしまった。でも、愛を経験することでもう一度つながることができ、その経験が平和へとつながっていく──。そのようにあらゆる存在に与えられた使命を、平和の象徴である鳥の姿で表現しました」
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
──宇宙的視点や万物のつながりを表現するアーティストは他にもいますが、森さんの作風には、神秘思想や自然懐古趣味にありがちなステレオタイプではない、未来志向ともいうべきニュアンスを感じます。
「確かに、“自然とのつながり”ということについて言えば、新石器時代(1万年〜数千年前)の人たちは確実にその感覚を持っていたようです。その後なぜ、私たちは自然から孤立してしまったのか。その理由を知るために新石器時代について調べていますが、私の目的はその時代へ回帰することではありません。
私たちは現在進行形で生きていて、文化は流動的に動いている。その中で失われてしまったものを拾い上げて、それを私たちの意識へもう一度取り込み、文化として継承していく力が、アートにはあると思うのです」