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エスパス ルイ・ヴィトン東京が無限∞空間に!? 森万里子 来日インタビュー
会場にて。
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
ルイ・ヴィトン表参道ビルの7階に広がる、エスパス ルイ・ヴィトン東京。
青山の街並みを眼下に見下ろすこのアートスペースが、この秋、“果てしなき宇宙”へと続く亜空間に変容を遂げた。展覧会に掲げられた言葉は『Infinite Renew(無限の再生)』。
床から天井へ、さらにその先へと、果てしない連続性を感じさせる、巨大な3本のスパイラル。3次曲面で無限ループを描き続けるメビウスの帯…。
「この宇宙に満ちあふれながら、果てしない再生を繰り返す、目に映ることのないエネルギーを視覚化しようと試みました」
そう語るのは、ニューヨークを拠点に国際的な活躍を続ける日本人アーティストの森万里子。
アーティストとして、人間の知覚を遙かに超えた宇宙の広がりを表現しようとする意図や目的、その先に見据えた次元上昇的ヴィジョンについて、会場へと凸撃。話を聞いた。
展示風景より、『Infinite Energy I, II, III』『Renew I』『Renew II』(いずれも2013年)
© Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo
──この展覧会のコンセプトについて教えてください。
「『Infinite Renew(無限の再生)』というタイトルが表すとおり、絶えず再生し続けるエネルギーの循環を表現しています。
日本人にとっていちばん馴染みの深い言い方をするなら、仏教における輪廻のようなイメージ。でも、最近は同様の視点が科学にも取り入れられてきています。本展のカタログで、イギリスの著名な物理学者であるブライアン・コックス氏と対談をしているのですが、宇宙自体が循環して成り立っているという考え方は宇宙論において『サイクリックモデル』と呼ばれます。
さらに最近の研究では、宇宙を構成する物質のうち、私たちが見ている世界は全体のわずか4%に過ぎないということがわかってきている。残りの96%、つまり宇宙の大半は『ダークマター(暗黒物質)』『ダークエネルギー(暗黒エネルギー)』と呼ばれるもので構成されているのです。
つまり、この宇宙は私たちの目に見えないものによって形作られている。そのことを、イマジネーションによって可視化し、具現化したいと考えました」
▶ “無限に続くエネルギー”をヴィジュアライズした作品たち
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