俳優、山田孝之が映画『俺はまだ本気出してないだけ』出演を決めた理由 | Numero TOKYO - Part 3
Interview / Post

俳優、山田孝之が映画
『俺はまだ本気出してないだけ』出演を決めた理由

俳優、山田孝之にインタビュー。出演作『俺はまだ本気出してないだけ』の完成直後、作品への想いと演技について聞いた。

──作品の中で、自分に似ていると思う人物は誰でしょうか?

「宮田ですね。すごく近い訳ではないですが、無計画で根拠のない自信に溢れているシズオを見て、“いいな”と思う感覚は僕にも分かります。計画的じゃないから何もやっていないように見えるシズオに対して、“いい加減歩き出せ”と苛立ちを覚えているのは、作品の中で唯一、シズオの父親だけ。それ以外の登場人物って、なんだかんだシズオが行動を起こしていることを認めていて、特に影響を受けたのが宮田なんじゃないかな。シズオに感化される気持ちには、僕も共感するので」

──誰かの熱い姿勢に感化されて、実際に行動を起こした事はありますか?

「それはよくありますね。人というよりは、映画を観てとか、本や漫画を観て。影響を受ける側としての経験はもちろんそうですが、作品を通して、そのきっかけになれたらいいとも思っています。俳優という仕事をしているのは、もちろん芝居が好きだというのが一番ですけど、観てくれる人に何かを残したい。単にエンターテインメントとして楽しんでもらうことも大事ですが、それ以上のことを考えたい。コメディだろうが社会派だろうがどんなジャンルの作品でも、作品を観た人がそれをきっかけに何か行動を起こしてくれたら、ものすごく嬉しいです。どの作品に出演するときも、観た人にどんなきっかけを与えることができるかは、いつも考えています。映画というのは、そういうものであってほしいです。今回の作品は、それが特に分かりやすく描かれてるんじゃないでしょうか」

──シズオ、市野沢、宮田と、主要な登場人物には男性が多いですが、本作の中で女性が共感する部分はどこだと思いますか?

「性別は関係ないです。結婚して出産して家庭に入っていても、会社で働いていても、夢を追いかけちゃいけない人はいないので。僕は常に、先のことを恐れて行動を起こさないことほどつまらないことはないと思っています。将来設計もそうですが、今考える5年後は今の自分が想像できる5年後の景色でしかない。実際にそこに到達した時には、見える景色は変わっているはず。想像しかできない未来に不安を感じて躊躇しないで、やりたいことがあるならやるべきだ。行きたいところがあれば行くべきだ。この作品には、そういう気持ちを奮い立たせてくれる場面がたくさんあります。だから、男女関係なく共感してもらえるんじゃないでしょうか」

『俺はまだ本気出してないだけ』
大黒シズオ、42歳。バツイチで子持ち。「本当の自分を探す」と勢いで会社を辞めるも朝からゲームばかり。父親には毎日怒鳴られ、高校生の娘に借金し、バイト先ではミス連発。そんなある日、突然「俺、マンガ家になるわ」と宣言。根拠のない自信をもとに出版社に持ち込みを続け、編集者に励まされつつ雑誌掲載を目指す日々。描くことがな~いと悩み、父とケンカして(この歳で)家出。幼馴染やバイト先の友人も巻き込みながら、ボツばかりなのは「運がないから」とペンネームを変える始末。こんなシズオにデビューの日は訪れるのか…!?

監督・脚本/福田雄一
出演/堤真一、橋本愛、生瀬勝久、山田孝之、濱田岳、指原莉乃、水野美紀、石橋蓮司
原作/青野春秋『俺はまだ本気出してないだけ』
HP/www.oremada.jp
©青野春秋・小学館/2013「俺はまだ本気出してないだけ」製作委員会

Photo:Maki Saito(Portrait)
Interview & Text:Yukiko Shinmura

Profile

山田孝之(Takayuki Yamada)俳優。1983年鹿児島県出身。「ちゅらさん」「ウォーターボーイズ」「世界の中心で、愛をさけぶ」「白夜行」「勇者ヨシヒコと魔王の城」など多くにTVドラマに出演。2005年の映画「電車男」で主演を務める。その後も、「手紙」「クローズZERO」「鴨川ホルモー」「十三人の刺客」「闇金ウシジマくん」「その夜の侍」「ミロクローゼ」ほか数々の作品に出演。福田雄一監督作品「俺はまだ本気出してないだけ」では、社会になかなか溶け込めない青年、市野沢役を好演。今後は「凶悪」、2014年には「土竜の唄」「MONSTER(仮題)」が公開予定。

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2025 N°183

2024.11.28 発売

Future Vision

25年未来予報

オンライン書店で購入する