ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」 | Numero TOKYO
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ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」

ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」"
パリのシューズブランドPIERRE HARDYのデザイナー、ピエール・アルディが来日した。伊勢丹新宿店で開催された期間限定のプロモーションイベント「Le Monde de PIERRE HARDY」や最新の2013-14AWコレクション展示会開催など、忙しい滞在スケジュールのなか、本人へのインタビューが実現した。
 
モダンなフォルム、独特のカラーコンビネーションなど、その研ぎすまされた美意識によって完成されるシューズは、多くの女性を魅了する。だがその才能は、自身のブランドを立ち上げるよりずっと前からトップメゾンのデザイナーも注目してきた。1999年春夏PIERRE HARDY創立より以前、ピエールはイラストレーターとして「VANITY FAIR」「VOGUE HOMME INTERNATIONAL」などでキャリアをスタート。1987年にはChristian Dior(*当時)のレディスシューズのデザインを担当、90年からHermèsのレディス・メンズシューズのデザインを手掛けてきた。ブランド創立後も、2001年にはニコラ・ゲスキエール率いるBALENCIAGAのレディス・メンズシューズやHERMESのファインジュエリーのクリエイティブディレクターを務めるなど、業界内からのオファーも絶えない。また今シーズンの展示会では、NARSとの新たなコラボレーションによるメイクアップ商品も発表されるなど幅広い活躍を見せている。新たなコラボレーションについて、また高い評価を得るそのデザインの根源について話を訊いた。
 
──3年ぶりの来日ということですが、日本滞在はいかがですか?
 
日本に到着して、今回はまず瀬戸内海の直島、豊島などを訪れました。ずっと行きたかった場所だったんです。現代アートや島の風景など、そこで見て、感じたものは、今後の私のデザインのインスピレーションのひとつにきっとなっていくことでしょう。東京に戻ってからは、展示会、伊勢丹新宿店のポップアップストアの準備などでとにかくめまぐるしくて(笑)。でも、たった3年とはいえ、東京ががらりと様変わりしているのを感じています。
 
──NARSとのコラボレーション「PIERRE HARDY FOR NARS」という、新たなプロジェクトへの参加はいかがでしたか?また実際、商品はどのようなプロセスでつくられたのでしょうか?
 
コスメティックとのコラボレーションなんて想像もしていなかったのだけれど、とにかく刺激的な経験でした。女性をより魅力的に、セクシーにみせてくれるという、シューズとコスメティックの共通点は新たな発見でしたね。プロセスとしては、私が2013年春夏シーズンのコレクションから、ネイルポリッシュやブラッシュパレットにふさわしいカラーを選び、それをNARSチームが商品に落としんでいくというもの。彼らのプロフェッショナリズムには脱帽でした。シューズデザインは、フォルムや足入れの感覚、ヒールの高さなど、正確さが問われる仕事ですが、コスメティックの世界も同じ。色みやテクスチャーに対するチームのこだわりには目を見張るものがありました。
 



ネールポリッシュ N(全5種)¥3,780 ブラッシュパレット(全2種)¥4,725(すべて6月1日数量限定発売)
注:チップデザインは製品には含まれません
 
information
ナーズジャパン 0120-356-686

 
──PIERRE HARDYの2013-14AWコレクションについてお聞かせください。
 
今シーズンのコレクションでは「強さ」を意識しました。それはボリュームのあるフォルムや、深くて濃いカラーパレットなどで表現しています。冬という季節は、女性の足元にとって様々な意味でとても危うい状態にあります。ですから今シーズンは「プロテクション」というキーワードからデザインをスタートしていきました。同時にどこかにエレガンス、フェミニティを感じさせたかったので、太くてしっかりとしたヒールにシャープなポインテッドトゥを組み合わせたり、ヒール自体はボリュームがあるけれど、柔らかなカーブを取り入れていたりしています。
 
ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」
ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」

 
──あなたのコレクションは毎シーズン鮮やかなカラーパレットで溢れていますが、各シーズン、色をピックアップする際の決め手となるものは?
 
ご存知の通り、マーケットには数えきれないほどの色が存在しています。そのなかで、私がシーズンごとにどの色を選ぶかというのは、結局のところ、その色が好きかどうかなのだと思います。コレクションというものは、毎シーズン自分のアイデアを発表する場。人々にそれを説得させる最大の決め手となるのは、そのアイデアに対する作り手側の熱量(=LOVE)だと思います。
 
ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」
ピエール・アルディ氏来日インタビュー「究極のエレガンスとは?」

──ブランドミューズとなる特定の女性像はありますか?
 
ブランドにとっての女性像はあえて考えないようにしています。提案したいのは、私自身が考える美しいシューズデザイン、そしてエレガンス。シューズが女性の美しさを演出し、その人のキャラクターを引き立たせることが重要だと考えています。パリという環境に身を置き、またこの業界で長く仕事をしていることで、理想的の美しさについてのイメージは私なりに持っていますが、ブランドにとってのミューズは、あらゆる女性なのです。
 
──シューズをデザインする上で一番大切にしていることとは?
 
女性の足元をより美しく、魅惑的に見せるということを常に考えながらデザインをしています。ですから奇抜だとか、他とは違うデザインといったことではなく、コレクションの核となるものは、その靴がいかにエレガントかなのです。PIERRE HARDYで表現するエレガンスとは正統派のそれとは違うかもしれません。僕→私は、僕→私なりの新しいアプローチで、女性を彩るシューズデザインを提案し続けていきたいですね。
 
ポップなカラーリングやグラフィカルなモチーフを取り入れるなど、コンテンポラリーなデザインを特徴とするPIERRE HARDYだが、印象的だったのはピエールが「エレガンス」というキーワードをとても大切にしているところ。女性なら誰しも味わったことがあるであろう美しいシューズを初めて足入れするときの高揚感。そんな幸福な感覚をピエールはこれからも与え続けてくれるだろう。
 

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information
HP/www.pierrehardy.com/
 
Photo&Edit:Yukiko Shinmura

 
 

profile

Pierre Hardy(ピエール・アルディ)
 
数々のメゾンブランドのシューズデザインを手掛ける傍ら、1999年春夏コレクションより自身のブランド「ピエール アルディ」をスタート。2002年春夏コレクションにはメンズラインを発表し、2006/07年秋冬コレクションよりバッグラインをスタート。ハイヒールをコンテンポラリーなアプローチで表現し、ジオメトリックなシェイプを特徴としている。

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