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思わずシビれた。憧れた…!『カリフォルニア・デザイン 1930-1965』展

思わずシビれた。憧れた。『カリフォルニア・デザイン 1930-1965』展
20世紀半ば=ミッドセンチュリーのカリフォルニアに花開いた、モダンなライフスタイル。
……と聞いただけで、思わず憧れが爆発してしまった。
しかし……なぜ? 正直なところ、自分でもわけがわからない。なのに、どこからともなくオシャレな香りが立ちこめてきて思わずシビれた。憧れた…!
とはいえ、よく知らないものをイメージだけで語るのはよくない。という親の言いつけに従って、思い浮かぶ例を書き出してみた。
 
・イームズによる、ハーマンミラー社の名作チェアやキャビネット
・イサム・ノグチのコーヒーテーブルに代表される、曲線シェイプのテーブル
・リチャード・ノイトラの建築をはじめとする、開放感あふれるモダン建築
・SFチックなテールフィン(尾翼)付きのバカでかいキャデラック
・ラウンジミュージックのジャケットに描かれるような、幾何学模様のグラフィック
・そしてもちろん、ロングボードのサーフィン
 (以下割愛)
 
……と、書き出してみたところで、まったくもってイモくさくない。むしろ、オシャレ極まりない。でも、その理由がわからない。じつは真の問題は、それがオシャレなだけでは済まされないことにあった。
 
例えばイームズ。その曲線的なデザインは、第二次世界大戦中に開発が進められた新素材の成型合板やFRP(繊維強化プラスチック)なくしてあり得なかった。
そして、ガラス面を多用した軽快で開放的な住宅。西海岸の温和な気候の中、よりよい生活を目指すモダンデザインの思想を反映して屋内外の境界が曖昧な建築が定着。それに関連して、そんな快的な暮らしを謳歌するための開放感あふれるファッションが広まっていった。
さらに、そのイメージを典型的な“グッド・ライフ”として世界に向けて発信したのが、雑誌やファッション広告、ハリウッド映画をも含む新しいメディアたちだったーー。
 
……つまりそれは、超・先進的なデザイン思想と実験精神、さらに最新メディアの発進力とが融合して築き上げられた、“夢の暮らし”のイメージそのものだったのだ!
そんな“カリフォルニア・モダン”の全貌を、数々の名作デザインや当時のテレビCMまでを交えて眺め回す、お宝まみれの展覧会が開催される。約250 点におよぶ作品に囲まれ、当時の暮らしを追体験し、会場を出れば気分はもはや現代へとバック・トゥ・ザ・フューチャー状態。しかし、いわゆる“未来”のムードはむしろ、現代よりもよほどミッドセンチュリーのほうが色濃いとすら思えてしまうのが、切なくもあり、歯がゆくもある。
 
ただひとつだけ言えるのは、それが「みんなが言うからオシャレ」なのでは断じてない! ということだ。明るくPOPに、輝かしい未来へと向かう姿勢にあやかりながら、よりよい暮らしのあり方について、考えを巡らせてみてはいかがだろう。
 
思わずシビれた。憧れた。『カリフォルニア・デザイン 1930-1965』展
1. オットー&ガートルード・ナツラー『鉢』1943年 ロサンゼルス・カウンティ美術館蔵
LACMA, Gift of Rose A Sperry 1972 Revocable Trust (c)2007 Gail Reynolds Natzler, Trustee of The Natzler Trust. Photo (c) 2011 Museum Associates/LACMA
 
2. バフ・ストラウブ&ヘンスマン社『マーマン邸 レクリエーション・パヴィリオン(アーケーディア)』1958年 Photo: ジュリアス・シュルマン 1959年 ゲッティ・リサーチ・インスティテュート蔵
The Getty Research Institute, Los Angeles (c) J. Paul Getty Trust. Used with permission. Julius Shulman Photography Archive, Research Library at the Getty Research Institute (2004.R.10)
 
3. メアリー・アン・デウィーズ『女性用水着』1961年 ロサンゼルス・カウンティ美術館蔵
LACMA, Gift of Mary Ann DeWeese Designs (c)2011 The Warnaco Group, Inc. All Lights reserved. For Authentic Fitness Corp., Cole of California. Photo (c) 2011 Museum Associates/LACMA
 
4. ジョン・カペル『椅子』1958年頃 ロサンゼルス・カウンティ美術館蔵
LACMA, Purchased with funds provided by Martha and Bruce Karsh Photo (c) 2011 Museum Associates/LACMA
 
5. チャールズ&レイ・イームズ、エヴァンス・プロダクツ社成型合板部門『象』1945年 イームズ・コレクションLLC蔵
Eames Collection, LLC (c) The Eames Foundation. Courtesy Eames Office LLC (eamesoffice.com)
 
6. ジョン・フォーリス、ジェームズ・リード『アーツ&アーキテクチャー』(雑誌表紙)1953年9月 ロサンゼルス・モダン・オークションズ蔵
Collection of Los Angeles Modern Auctions (LAMA) Art and Architecture. Reprinted courtesy of David Travers

 
 
『カリフォルニア・デザイン 1930-1965—モダン・リヴィングの起源—』展
期間/開催中〜6月3日(月)
場所/国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2
 
information
ハローダイヤル 03-5777-8600
HP/www.nact.jp/

 

profile

深沢慶太(ふかさわ・けいた)
 
フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN新社)などがある。

 

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