幼稚化された時代が求める「いい女」とは?[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.9 | Numero TOKYO - Part 3
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幼稚化された時代が求める「いい女」とは?[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.9

老いを受け入れられない大人女子たち
 
──大人っぽさとは、定義できるものなのでしょうか?
 
K「難しい問題ですね。根本的な矛盾があるから。特に女性に言える事ですが、大人でいたいけど老けたくないというアンチエイジングと、大人思考が混じっちゃっている。メディアでは、始めは30代女子、続いて40代女子、さらには50代女子というコピーが出回るようになる。いつまでも女子や小娘でいたいという欲望がマグマみたいに沸き続ける。シワを愛でる根性もなく、ビジュアル的な老いを受け入れられず、体にコラーゲンを入れ続けている消費者たち。彼女たちを相手に大人を推進しようとしている人達には、その矛盾が突きつけられているよね」
 
I「幼児化が進んで行くにつれて、実は大人っていう時間を経ずしてそのまま老人化しているのが現代。だから、大人っていう成熟とか進化を経ないで老人になっていく例が美の型になっている。人工的に早産させられた胎児が自由に、豊かに、気ままに赤ちゃん時代を謳歌してたら、いきなり浦島太郎みたいに老人になってたような」
 
K「体はいろいろな事で可変なので、オペレーションしてしまうこともできるし、磨くことによっていくらでも若々しく見せることが可能だということが分かってきた。昭和平均から比べれば肌も体系も大分維持できるということが分かってきましたから。でも精神的には大人の女でありたいと思っている。一方で、ロリコンもいてふけ専もいることが、男女の双方向的にすでに瓦解している。クラブで遊んでいてかっこいい人と思った人が、自分の母親くらいの年齢を好きになる可能性も大いにあり、ハードコアなロリコンだというのも可能性もある。年の差婚は最たるもので、あれが昭和だったら女の特権、男の特権っていうどちらが得をしているかという見え方があったんだけど、今は男女ともに特権ではなくなってきているでしょ」
 
I「20~30年前に60~70才だった平均寿命が10才以上も上がってきているから、70才で結婚するっていう選択肢が出てきたんでしょう。日本だけですけどね。人間の肉体的には寿命は60才くらいが丁度いいんじゃないですかね。それを日本の場合は延命治療とかするから30年近くも引き延ばしてしまった。その分、精神的に成人する年齢も下がってしまった。7掛けくらいで丁度精神年齢になるんじゃないですか。今40代の女性を7掛けすると27、8才くらいだから」
 
K「表面はすごく若いんだけど内臓は年をとっている人、もしくは、表面は多少老けているんだけど内臓が若いとか。それらがこれからの問題になっていくと思うんだけど、内臓年齢とか血管年齢とかも多様化していますよね」
 
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