2024年12月に就航したMITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)は、“日本の美しい船旅”がコンセプト。日本初のオールスイートの客室、ひとりひとりのニーズに合ったおもてなし、そして小さな港にも寄港できる小型船ならではのメリットを生かした船旅は、これからの日本の旅スタイルさえ変えてくれそう。期待感いっぱいのデビュークルーズをレポート!
140年の歴史を持つ船会社から、満を持してデビュー! 日本の美しい船旅へ!
商船三井クルーズが立ち上げた新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」(以下、三井オーシャンクルーズ)。

2024年12月に三井オーシャンフジが新たに就航。三井オーシャンクルーズは1990年の就航以来親しまれてきた「にっぽん丸」に加え、今後は2隻体制での運航となります。
この「三井オーシャンフジ」という名前は、1989年に竣工した商船三井クルーズの初の本格的なレジャークルーズのための客船「ふじ丸」へのオマージュであり、日本の象徴である富士山にちなんだもの。ラグジュアリークルーズ新時代の幕開けにふさわしい、ワクワク感があります。

船体は、世界屈指のラグジュアリークルーズ船「シーボーン・オデッセイ」を部分改修。日本人にもより居心地の良い旅を提供できるしつらえになりました。コンセプトは「日本の美しい船旅」。日本ならではのサービスやエンターテインメント、おもてなしの心で迎えてくれます。

今回、この三井オーシャンフジのデビュークルーズ7日間に乗船。その魅力をチェックしてきました!
全室バスタブ付きの、日本初のオールスイート!
三井オーシャンフジは全長198.15メートル、幅25.6メートル。客室229すべてがスイートタイプのラグジュアリーラインです。しかも全室にバスタブや温水洗浄便座付きトイレ、ウォークインクローゼットまでも整えた快適仕様。


船体の中央に廊下があり、左右に客室を配置した造り。つまり全室がオーシャンビュー、ほとんどがベランダに出られます。
客室タイプは7種類ありハイエンドはMITSUI OCEANスイート。82.4平方メートルの広さを誇ります。
続くシグネチャースイートは船首近くに位置し、緩やかにカーブを描く窓から光が差し込む、三角形のリビングが特徴です。ダイニングテーブルやソファを備え、ゆったりとくつろげる空間になっています。ベランダも広く、開放感たっぷり。87平方メートルと、船内で最も広い客室です。



この2室のシグネチャースイートはどの部屋からも、船首に面したベランダに出られます。
また、5つのスイート(MITSUI OCEANスイート、シグネチャースイート、ラグジュアリースイート、ペントハウス スパスイート、ペントハウススイート)は、「三六スイート」と総称され、特別なサービスが待っています。
まず、バトラーサービスが受けられます。お出迎えの挨拶から始まり、ウェルカムシャンパンとスーツケースの荷ほどき(下船時の荷造りも)のお手伝い、寄港地観光ツアーや有料のレストランの手配、スパの予約などもお願いできます。
さらに三六スイートのゲストは有料ダイニングでの食事(クルーズ中1回)、ランドリーサービス、メインダイニング内の専用エリアでの食事など、エクスクルーシブなサービスが受けられます。
部屋数が多く、ポピュラーなベランダスイート
最も部屋数の多い客室は、ベランダスイート。ドアをあけて、最初にバスルーム&トイレ。ダブルシンクで、シャワーブース(レインとハンド)と肩まで浸かれるバスタブが別々になっています。そして温水洗浄便座付きトイレも。水回りがしっかりしているのは、嬉しいポイントです。


次の部屋は奥行きのあるウォークインクローゼット。ハンガーの数も引き出しのスペースも十分にあります。ここにスリッパやドライヤーなどもセットされています。

そして、ベッドルーム&窓側にリビングスペース。窓は床から天井までのフルハイトなので、開放感があり、光もたっぷり。リビングのテーブルは、食事をするにも仕事をするにもゆとりの広さがあります。
リビングからはスライド窓を開けて外へ出ることもできます(オーシャンビュースイートのみ窓の開閉不可)。ベランダに朝食をセットしてもらうことも、お好み次第。夜は大海から見上げる星空が圧巻です。


そして清掃サービスとターンダウンサービスが1日に1回ずつ。ディナー後に戻ると部屋がきれいに整えられているので、就寝前のひと時も気持ちよく過ごせます。
美味なる食事に舌鼓。食の評判は本当でした!
かねてから食事の評判が高い三井オーシャンクルーズ。今回、そのウワサに大きくうなずいた次第です。
4カ所あるレストランのうち、おもに利用するのが「ザ・レストラン 富士」と「テラスレストラン 八葉」でしょう。
メインダイニング「ザ・レストラン 富士」は、三井オーシャンフジの“顔”。歴代料理長たちに受け継がれてきたレシピ、ノウハウ、信念が一皿一皿に込められています。


朝食は和食/洋食から選べ、昼は日替わりのセットメニュー、夕食は和食または洋食の日替わりコースメニューなど。
たとえばある日の「ザ・レストラン 富士」のランチメニューは、鶏肉唐揚げ 香味だれ、小松菜とはんぺんの山葵チーズ和え、漬けサーモンといくら丼、けんちん汁に柚子ゼリー。気に入ったメニューは再度オーダーすることもできます。

「テラスレストラン 八葉」は、船尾を向いた屋外のテラス席もあります。晴れた日のランチは、白く流れる航跡を眺めながら、食事が楽しめます。
注目は、マグロのかぶと焼き。日本食に目が行ってしまいがちですが、イタリアンや中華などバラエティ豊か。サラダも充実しています。また、「テラスレストラン 八葉」では有料でおまかせのお寿司もオーダーできます。


カジュアルな雰囲気で食事を楽しむなら「プールサイドレストラン&バー 湖畔」。湖のほとりのピクニックのような、リラックスした雰囲気から名づけられたとか。ここのミニハンバーガーは食べておかないと!

特別な食事は、「北斎 FINE DINING」へ。フランス最高勲章を受章した世界の三國清三シェフ監修による、和の素材を生かしたフレンチがいただけます。アミューズブーシュ、前菜、スープ、サラダ、メインディッシュ、デザート、プティフールからなるプリフィックスメニュー。船内で唯一、予約が必要な有料レストランです(三六スイートは航海中1回利用が含まれます)。

今回のクルーズでのプリフィックスメニューは、オマール海老やフォアグラ、蝦夷鮑に和牛フィレ肉など、季節の最高食材が次から次へと美しい皿となって、目の前に運ばれてきました。あまりの美しさにうっとりとため息。ちなみに、メニューは年に2回、季節に合わせて更新されます。
また、ぜひ試していただきたいのが、和風アフタヌーンティー「玉手箱」。静岡県産の3種のお茶から選び、温・冷の2つの淹れ方を楽しめます。セイボリーやスイーツも、和風。
たとえば、富士山形の抹茶のレアチーズケーキや富士山のねりきりは見た目に楽しく、だし巻き玉子を挟んだサンドイッチやお茶に添えた塩こんぶや柴漬けもほっとします。
「玉手箱」は「オブザーベーションバー36(サンロク)」にて、提供されます。



何かと訪れることの多いMITSUI OCEAN スクエア
カフェを併設し、ゲストサービスやツアーデスク、図書コーナーなどが集結した「MITSUI OCEAN スクエア」。のんびり読書に、仕事を片付けに、あるいはツアーを申し込みに、あらゆるゲストが集まる“広場”という感じです。

カフェコーナーのショーケースには、朝はヨーグルトやスムージーが並び、午後はペーストリーやスイーツがラインナップされ、時間帯によって内容が変わります。


この「MITSUI OCEAN スクエア」は、実はワーケーション派におすすめ。スターリンク社のサービスのおかげで(1端末まで容量無制限Wi-Fiサービスが無料)、ネット環境が快適。デスクも集中しやすい造りになっています。しかもフリードリンク(一部有料)。仕事がはかどります。

また、図書コーナーの蔵書は日本の書籍が多く、これも日本の客船の嬉しいところ。食や文化、小説など、日ごろ手に取る機会のない本との出会いがあるかもしれません。

朝から晩まで船内には楽しいことが満載! エンターテイメントに落語も!
船内ではリラクゼーションからエンターテイメントまで、あらゆる施設やコンテンツが楽しめます。選択肢の多さにスケジュールを組むのに頭を悩ませてしまうほど。
クルーズにおけるエンターテイメントのハイライトは、やっぱり夜。ドレスアップも積極的に楽しんで、エンターテイメントの会場へ出かけましょう。
デビュークルーズでは、一流の歌手やダンサーが繰り広げるプロダクションショーやコメディ・マジックショーなど、まるでブロードウェイやラスベガスのステージを鑑賞しているよう。


古今亭志ん陽、古今亭志ん五が高座に上がるFUJI寄席といった日本ならではの演目も。ちなみに、落語家によるワークショップが開催されることがあるので、興味をもったらぜひ参加を。

そしてラストナイトのショーは加藤登紀子スぺシャルコンサートが開催されました。デビュー60周年を迎える加藤登紀子さんは真っ赤なドレスをまとい、圧倒的な存在感。オーシャンステージ全体が歌声で満たされ、心震えるステージでした。各クルーズでラストナイトはスペシャルなイベントが用意されているので、お楽しみに!


また、クルーズといえば、カジノ。もちろん三井オーシャンフジ内にもあります。ただし、コインやチップを換金することはできません。ゲームと雰囲気を楽しみましょう。

船内新聞とテレビの船内情報番組で一日のスケジュールを決定
ステージのショー以外にも、朝から晩までエンターテイメントやプログラムがノンストップで続きます。1日のスケジュールを決める上で役に立つのが、船内新聞「PORT & STARBOARD」と客室のテレビで視聴できる船内の情報番組「船旅モーニング」。この2つは必見です。
多彩なプログラムには、たとえばカルチャー系ならスピード数独や英会話教室、ポップアップカード作り、落語のワークショップなど。アクティブ系ならサンライズストレッチにパターゴルフ教室、シャッフルボード、社交ダンス教室、今話題のモルック・トーナメントなど。




無料のプログラムがほとんどなので、これまでやったことのないことに挑戦するチャンスです!
スパでリラックス、フィットネスでアクティブに、洋上でもウェルネスを
スパ&ウェルネス木霊は、世界中のクルーズ船やリゾートで展開しているスパ業界最大手「OneSpaWorld」と提携する本格派。エレミスのプロダクツを使ったフェイシャルやマッサージセラピー、最先端のクライオセラピーなどのメニューを用意しています。クルーズ初日には無料体験会も開催。また、ユニークなメニューには歯のホワイトニングも体験できます。



併設のフィットネス施設では海を眺めながらバイクやランに取り組めるほか、マシーンも各種充実しています。インストラクターによるヨガやピラティスなどのプライベートクラス(有料)も。


スパの中央に位置するエレガントな雰囲気のハーモニーラウンジには、ドライ&ウェットサウナや温感ベッドなどリラックス施設(有料)が揃っています。にっぽん丸の常連だというゲストいわく、「寄港地観光ツアーの後に毎日利用したいから、通しの利用券を購入したわ」とのこと。


洋上ショッピングで見つけた、掘り出し物!
オーシャンブティックでは、三井オーシャンフジのオリジナルアイテムが並んでいます。有名ブランドとコラボしたオリジナルブレンド紅茶や船体のマグネットが人気だそう。ロゴ入りのシャツなどウエアを自分土産に選ぶゲストも。
そして、見つけてしまいました、シャネルのアンティークのバッグ! 同じものに出会えるとは限りませんが、今後もバイヤーが買い付けたアンティークのバッグは扱っていくそうです。
三井オーシャンフジ
URL/https://www.mitsuioceancruises.com/fuji/
Photos & Text: Chieko Koseki
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