JUJU×田中杏子「2020年春夏シーズン、気になるのは……?」
numero.jpでしか読めないモードな連載『JUJU’s Closet』。2019-20年秋冬のファッショントレンドやパリで行われた最新の2020年春夏コレクションについて、JUJUと小誌編集長・田中杏子が全3回にわたってトーク。
2回目となる今回は、10月に行われた2020年春夏パリ・コレクションで田中杏子が取材したことを中心に、来シーズンのトレンドの行方について語り合う。その傾向をふまえてJUJUさんは、次の春夏シーズンにどんなファッションを狙うのでしょうか!?
ユニフォームの持つ不思議な力に注目
田中杏子「2020年春夏コレクションで、特に印象的だったブランドの一つはBALENCIAGA(バレンシアガ)です。ユニフォームがテーマだったのですが、アーティスティック・ディレクターのデムナ・ ヴァザリア曰く、 『料理人は料理人、看護師さんは看護師、さらに女優には女優のユニフォームだってある。自分がそのプロフェッショナルではなくてもそれを着ることで、プロフェッショナルになり得るのがユニフォームの面白いところだ』と。そうしたユニフォームならではの不思議を追求したコレクションであり、ユニフォームへの称賛も込められていたんです。それを纏うことで特定のプロフェッショナルになれる、ファッションってそういう力があるというメッセージですね」
JUJU「私もユニフォームの効用ってあると思います。舞台衣装もそういうことだと思うんですよね。これを着たら『本番始まるな』っていう気持ちになりますから。緊張感を保つためにも、なるべく本番始まる10分前まで着ないようにしています」
田中杏子「なるほど。それも一つのスイッチなのかもしれませんね」
JUJU「そうなのかもしれません。ユニフォームって、本当に大事だと思います!」
田中杏子「春夏コレクションのもうひとつのトピックとして、CHANEL(シャネル)のショーで、女性ブロガーがキャットウォークに乱入するという事件が起きたんです。ランウェイを歩いたジジ・ハディッドがスマートに彼女を追放したのですが」
JUJU「えぇ、そんなことが!?」
田中杏子「そうなんです。最初はみんなショーの演出の一部かと思っていて」
JUJU「世の中にはいろんな人がいますね、目立ったほうが勝ちというか。これってすごく面白いわけじゃないし」
田中杏子「かなり賛否両論あったわけですが、今回のシャネルのショーは、カール・ラガーフェルド亡き後、ヴィルジニー・ヴィアールが初めて発表するコレクションだったんです。彼女の初の舞台を台無しにしたわけですから。身勝手な行動だという意見と、ファッションなのだから、世の中ギスギスしているからこういう笑いがあってもいいのではという意見もありました。むしろジジの神対応ぶりが素晴らしくて、彼女が株を上げましたね」
人気を牽引するのはやはりヴァージル
JUJU「デムナのように勢いのあるディレクターつながりで思い出したのですが、ヴァージル・アブロー率いるOFF-WHITE(オフホワイト)って引き続き人気なのですか?」
田中杏子「やはり人気を牽引していますね。ただヴァージルが働き過ぎということで、ドクターストップがかかってしまい、本人が自分のショーに来られなかったんです。ストップをかけないと彼は動き続けてしまうらしく。人気の理由のひとつとして、彼自身が語っていましたが、自分はデザイナーではなく、ディレクター。だから売れているもの、人が欲しいものというのがわかっていれば、そこに3%の自分流の味付けを加えるだけで、もうそれがオフホワイトになる、ときにオリジナルを超えることもあるのだと」
JUJU「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)のメンズもかわいいですもんね! 欲しいものがいっぱい!」
田中杏子「今を捉える力が彼にはありますね。時代を読む力と、それを具現化する力があります。コレクション会場には黒人のファッショニスタが本当に増えましたね。そういう影響力を含めてヴァージルはすごいと思います。そういう時代なんだと、今の流れを感じます」
JUJU「今の時代が垣間見られるのは興味深いです。ぜひパリコレに行ってみたい! 2月は時間があるはず! あれ? 春にベストアルバムリリースを予定しているし、年内また新たなお知らせもあるから忙しいかも(笑)。でもいつか行ってみたいものです」
Photo:Kisimari Hair & Makeup:Akiko Gamou Text:Etsuko Soeda Edit:Maki Saito
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