新生「カルヴェン」、ファンタジックな旅への誘い | Numero TOKYO
Interview / Post

新生「カルヴェン」、ファンタジックな旅への誘い

「Carven(カルヴェン)」のクリエイティブ・ディレクターとして、2018年春夏コレクションでデビューしたセルジュ・ルフュー。2シーズン目となる最新コレクションを提げ来日を果たした。数々のメゾンで手腕を発揮してきた彼が考える新生カルヴェンのビジョンとは?

コントラストを追求 ──伝統ある「カルヴェン」というブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任して、2シーズン目。今回のコレクションでは、どんなことを意識して作り上げたのでしょうか。 「実はシーズンテーマというものをこれまで設けたことはありませんが、今回意識したことはカルヴェン色をより濃くすることでした。着任して1年が経ち、よりブランドのアイデンティティを強く打ち出したいという思いがありました」 ──その特徴はどんなところに見られますか? 「私はコントラストというものに非常に興味があります。今シーズンは、プロポーション、ボリューム、カット、素材など、あらゆるものをミックスしました。さらにアクセントとしてファンタジックなディテールを付け加えることによって、都会的で洗練された女性が好む、より複雑なデザインを目指しました。様々な要素を混ぜるということは、マダム・カルヴェンのライフスタイルにも通じるものがあります。彼女は常に世界中を飛び回り、あらゆる文化から刺激を受け、デザインに落とし込んでいきました。彼女の生き方そのものが大きなインスピレーションであることは間違いありません」

──シューズやバックもインパクトのあるデザインが印象的でした。

「やはりカルヴェンというと、どうしてもプレタポルテを想像すると思いますが、私にとって、シルエットを完成させるためには、主張のあるアクセサリーが必要なのです。シューズに関しては、シンプルなバレエシューズにお土産物屋で見かけるようなリボンといった、相反するものを組み合わせています」

──様々なプリントモチーフも登場しましたが、インスピレーションはどこから?

「想像したものでもありますし、現実にあるものからインスパイアされたものもあります。例えば、フランスの陶器の町、ヴァロリスで見られるセラミックをモチーフにしたプリントはちょっとサイケデリックな印象になりました。この生地はデヴォレ加工をしたベロアで作っています。また、ギピュールという立体感のある浮き彫り模様を出したレースに、同じモチーフを刺繍したり。素朴なものと洗練されたものをぶつかり合わせて新しいものを生み出すというのが私のやり方なのです」

空想の世界への旅

──先ほどファンタジックというワードが出てきましたが、ご自身が考えるファンタジーとはどんなものでしょう?日常の中でどうやってファンタジーの中に入り込んでいるのでしょうか?

「ファンタジーとはあるものとあるものを組み合わせることで生まれると思います。私が考える旅というのは、空想(ファンタジー)の世界の旅のことでもあるんですね。決して実在するどこかの国というわけではなく、自分の想像の中でパッとその場所へ行ってしまう感覚なのです。そうして具現化する際に、自分が想像したものと、自分が実際に行った場所で見たものなどを混ぜ合わせるのです」

──空想の世界を旅するのが好きとのことですが、幼い頃からずっと空想好きでしたか?

「具体的にいつからかは覚えていないですが、少なくともファッションに興味を持ち始めたのは8歳になったときです。そのときから頭の中でいろんな旅をしていろんな想像をしていました。そして今後の私のファッションの中でも空想の世界はどんどんともっと膨れ上がっていくと思います」

──8歳でファッションに興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?

「母と祖母が服に対するこだわりが非常に強い女性でしたので、もしかしたらそこから来ているのかもしれません。またパリが近いこともあり、モードやクリエイションという世界が身近にあったこともその要因であると思います。生地の感触、プリントやグラフィックに現れるファンタジー、そういったものに惹かれていきました。記憶が正しければ12歳の頃に自分でファッション雑誌のようなものを作り、周りの人に配ったりしていました」

新生「カルヴェン」の未来とは?

──とても素敵なお話をシェアしてくださり、ありがとうございます。「カルヴェン」のクリエイティブ・ディレクターとしての旅は始まったばかりですが、今後のビジョンについてお聞かせください。

「まず『カルヴェン』のコードというものを作りたいと思っています。コードとは要するにアイコン的なアイテムのことです。例えばポンポン付きローファーや、ポロシャツ、キルティングジャケットといった、日常にあるものだけれども、よりダイナミックに表現し、ブルジョワジーを髣髴とさせるものが今、新しいカルヴェンのアイコンとして必要だと感じています。そして、戦略としてはSNSやウェブサイトなど、抜け目なく360度全てをカバーする成長戦略という意味では、これからのプランは様々な方向性がありますが、特にバーチャルなところで進化させていきたいと思います」

──カルヴェンウーマンとはどんな女性?

「1人の特定の誰かがいるわけではなく、カルヴェンガールだったりカルヴェンウーマンだったり、複数形だと思います。それは世界中の大都市にいるようなモダンで、旅をする女性です。旅というのは先ほど言ったように、必ずしも現実のものではなく、現代ならばネットの世界を旅することもあるかもしれません。どんなことにも物怖じせず、軸を持つ女性。コードというものを自分で解釈する。そういった女性がカルヴェンウーマンではないかと思います」

──日本人女性も「カルヴェン」の世界観に共感する人は多いです。

「それは嬉しいですね。日本にはすごくポテンシャルを感じています」

──最後に、今回の日本滞在で印象的だったこととは?

「コレクション後ということもあり、ゆっくり滞在することができ、京都にも足を運びました。インスタグラムにもアップしましたが、一番印象に残っているのはタクシーに乗っているときに隣のタクシーに舞妓さんがいらしたのですが、化粧をお直ししている瞬間を捉えることができたのです。私にとってはその場面が本当に忘れられない場面でした。本当に美しく、まるで魔法のような瞬間でしたよ」

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日本でのフラッグシップストア、表参道店がリニューアルオープン。

CARVEN 表参道店
住所/東京都渋谷区神宮前4-3-12
TEL/03-6438-9536
営業時間/11:00~20:00
不定休
URL/carven.jp

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※プレゼントの発送は6月上旬以降となります。
※当選者の方には発送をもってかえさせていただきます。

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Interview:Etsuko Soeda Edit:Michie Mito

Profile

Serge Ruffieux(セルジュ・ルフュー)1974 年生まれ。ヨーロッパ最高の美術大学の一つスイスのジュネーヴ造形芸術大学を卒業後、クリスチャン ディオール、ソニアリキエル、モスキーノなどでの経験を経て、2017年2月1日カルヴェンの新クリエイティヴ・ディレクターに就任。

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