ロンドン在住の日本人、新時代アーティストRina Sawayamaにインタビュー
ロンドンのミュージックシーンから密かに人気に火がつき、「Versus Versace」2017年秋冬キャンペーンにも抜擢されるなど注目のアーティストRina Sawayama(リナ・サワヤマ)。音楽クリエイターでシンガー、モデルもこなす才女は、国境、性別、価値観など、すべてを軽々と乗り越えていく新しい感覚を持ち合わせている。そんな新時代スターの素顔に迫る。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2016年9月号掲載)
ロンドンのミュージックシーンから密かに人気に火がつき、「Versus Versace」2017年秋冬キャンペーンにも抜擢されるなど注目のアーティストRina Sawayama(リナ・サワヤマ)。音楽クリエイターでシンガー、モデルもこなす才女は、国境、性別、価値観など、すべてを軽々と乗り越えていく新しい感覚を持ち合わせている。そんな新時代スターの素顔に迫る。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2016年9月号掲載)
デジタル世代のディーヴァ
ロンドンで次なる“It girl”として注目を集めるミュージシャンがいる。Rina Sawayama、25歳。新潟で生まれ、東京で育ち、父親の転勤のため5歳で渡英。「歌ってばかりいる変わった子どもだった」という彼女には、外国のほうが性に合うだろうという両親の意向から現地にとどまることに。作詞・作曲、プロデュース、MVの監督までDIYで手がけるデジタル世代のディーヴァの創造の源とは?
──ミュージシャンになりたいと意識したのは何歳のときでした?
「最初に曲を書いたのは13歳。その頃、日本のレーベルを訪れたとき、『この曲を歌いなさい』と言われても、『こんなの私のスタイルじゃないから嫌!』とよく反抗していました(笑)。そうしたら、『好きなようにやりたいなら、自分で曲を書けるようにならないと』と言われ、ハッとして。それ以降は歌うことと曲作りはもう切り離せなくなりましたね」
──影響を受けたアーティストは?
「日本人学校へ通っていたときにハマっていた宇多田ヒカルや椎名林檎の影響が一番強いですね。小学校の中学年で公立の学校へ行くことになって、初めて体験するビヨンセに夢中になって。ネプチューンズとティンバランドがプロデュースしていた曲がトップ10を占めていたときの音楽が、今でも一番好きですね」
──名門ケンブリッジ大学に進学したきっかけは?
「多国籍な公立校で音楽漬けの生活をしていたんですけど、17歳くらいで心理学に興味が湧いて。そんなときに、ケンブリッジ大学のスタッフが高校にスピーチをしに来て、『ケンブリッジで勉強したい!』と思ったんです。成績はあまり良くなかったけれど、猛勉強して合格できて。政治学、心理学、社会学の学部で政治を専攻して、2012年に卒業しました」
──在学中も音楽活動はしていたんでしょうか?
「一応やってはいたけれど、ハードな大学だったので、3年間ほとんど勉強ばかりしていましたね。卒業して1年くらいたって、やっぱり音楽をやりたいなと。その頃友人が「Anti-Agency」というモデル事務所を創立したので、モデル活動も始めて」
──影響を受けたアーティストは?
「日本人学校へ通っていたときにハマっていた宇多田ヒカルや椎名林檎の影響が一番強いですね。小学校の中学年で公立の学校へ行くことになって、初めて体験するビヨンセに夢中になって。ネプチューンズとティンバランドがプロデュースしていた曲がトップ10を占めていたときの音楽が、今でも一番好きですね」
──名門ケンブリッジ大学に進学したきっかけは?
「多国籍な公立校で音楽漬けの生活をしていたんですけど、17歳くらいで心理学に興味が湧いて。そんなときに、ケンブリッジ大学のスタッフが高校にスピーチをしに来て、『ケンブリッジで勉強したい!』と思ったんです。成績はあまり良くなかったけれど、猛勉強して合格できて。政治学、心理学、社会学の学部で政治を専攻して、2012年に卒業しました」
──在学中も音楽活動はしていたんでしょうか?
「一応やってはいたけれど、ハードな大学だったので、3年間ほとんど勉強ばかりしていましたね。卒業して1年くらいたって、やっぱり音楽をやりたいなと。その頃友人が「Anti-Agency」というモデル事務所を創立したので、モデル活動も始めて」
日本人だからできる音楽
──日本人アーティストとしてロンドンで活動するというのは異端児扱いされることもありました?
「公立高から出てきて、音楽で食べていきたいとか言ってる日本人のクソガキと思われて、大学でいじめに遭うこともありましたね。ロンドンは競争社会なので、のし上がるためには、一応イギリス人として生きていかなきゃいけないんですよ」
──その状況を打破する転機があったんでしょうか?
「2年前くらいに、昔から好きだった日本の曲を聴いていたときに、これだ!と思って。イギリスで日本の音楽から影響を受けて、音楽を作っている人はきっといないし、これが自分の個性なんだと気づいたんです。白人社会で無理に白人になろうとすることをやめたら、いろんなことがシンプルにスッと入ってきたんですよね。いまは日本人であることを誇りに思ってます」
アルヴィダ監督のMV「Tunnel Vision」
──「Tunnel Vision」の歌詞や写真家アルヴィダ・バイストロムが手がけたMVも、デジタル時代に生きることをモチーフにしてますよね。
「友人のアルヴィダもそうなんですが、超フェミニストでアンチ資本主義のアーティストたちと話しながら、私は何を表現したいのかを考えていたときに行き着いたのが、インターネットが与える若者への影響だったんです。常に身につけているデバイスが自分にどういう影響を与えてるのかをテーマに曲を書き始めて。ネットは境界線なく世界中と自分をつないでくれるけれど、だからこそ孤独も感じさせるもの。ネット依存が当たり前のこととなっている若者にネットとの付き合い方を伝えていけたらと思っています」
──この来日もSNSきっかけとか。
「これもすごい話で、会ったこともない水原希子さんがスタイリスト渡辺俊さんに私のSOUNDCLOUDを紹介してくれて、SNS上のやり取りだけで『LUCUA osaka』のモデルをさせていただくことになったんです」
──今後、アーティストとして挑戦していきたいことはありますか?
「ラブソングの歌詞は異性愛が普遍とされているものが多いけど、私の曲は彼も彼女もごちゃ混ぜなんです。私はバイで、それをオープンにしていますが、いまの日本におけるセクシュアルマイノリティの課題やフェミニストムーブメントについてもリサーチしたい。プリンスやデヴィット・ボウイ亡き今、曲を作り、歌うだけで終わらせないことが、次世代のヴィジョナリー・アーティストが担うべき責任だなと思っています」
最新シングル「Cyber Stockholm Syndrome」MV
Photo:Bungo Tsuchiya Fashion Director:Shun Watanabe Hair:Go Utsugi Makeup:Ayako Manicure:Eichi Matsunaga
Edit : Michie Mito,Fumika Oi
Interview & Text : Tomoko Ogawa