セックス依存症の妻を熱演する、
佐々木希にインタビュー
9月16日(土)配信スタートのHuluオリジナル 連続ドラマ『雨が降ると君は優しい』で、セックス依存症の女性を演じる女優の佐々木希。野島伸二が描く愛と葛藤の世界に挑んだ彼女に、現在の心境をインタビュー。
夫婦の絆とは、見返りを求めない無償の愛
──玉山鉄二さんが演じる信夫(のぶお)はどんな印象ですか?
「信夫さんはすごく優しいんです。夫婦のシーンは、愛情に包み込まれた安心感があります。でも、視聴者として考えると、そんな信夫さんの姿が切なくて。彩は悪女じゃないんです。彩も信夫さんが大好きで、ちゃんと自分を見ていて欲しいから家でもきちんとメイクをするし家事もこなす。依存症さえなければ理想的な女性なんです。台本を読みながら『それなのに、どうしてなの? 彩!』と思ってしまいます。彩が依存症になったのも、信夫さんの仕事が忙しくて寂しいという直接的な理由じゃなくて、奥深いものがあるんです。本人もやめたいのにやめられない…。彩も葛藤があって苦しいんです」
──台本で先の展開を知っているからこそ、余計に切ないんですね。
「そうなんです。彩を演じているのは私なんですが、早く次を見たいという気持ちが抑えられなくて。この気持ちは、どこに向けたらいいのかなって思うくらい(笑)」
──では視聴者代表として、彩と信夫の夫婦についてはどう感じましたか?
「今にも壊れてしまいそうだけど、ふたりの間は一本の太い糸が繋がっている。それは絆というものかもしれません。夫婦はいいことばかりじゃないけれど、彩と信夫は太い絆で結ばれているんだと思います」
──絆というのは具体的に言うと?
「信頼。無償の愛。見返りを求めず、純粋に愛し合うこと。彩と信夫のように、何があっても強い絆で結ばれているのは素敵です」
小さな隠しごとは夫婦に必要かもしれない
──もし逆の立場で、愛する人がセックス依存症だったら?
「これは共演者の皆さんとも、撮影の合間によく話すんです。自分ならどう?って。夫婦の間に子どもがいたら、また話は変わってくるだろうけど。愛し抜くことは、相手の全てを背負うことですよね。責任も依存症も全て。普通に考えたら、他の人と関係を持つなんて許せないことだけど、どうなんだろう。難しいな……。愛し抜くことに終わりはない気がするんです。そこまでの強さが私にはあるのかな…。でも、葛藤しながらも愛し抜くことができたら、カッコいい女性ですよね」
──演じる中で、信夫への愛や絆を感じる瞬間はありましたか?
「信夫さんと彩の二人のシーンは、いつも愛に包まれています。彩は信夫が大好きだから、彼がいるだけで幸せ。だから、どうにもならない衝動との間で葛藤するんです。よく、女性がセックスで大事にするのは快楽じゃなくて気持ちだと言ったりしますよね。でも、彩は心と体が別のもの。晴れた日は欲望に突き動かされて理性が働かず、知らない人と関係を持つことが多くなりますが、雨が降ると症状が落ち着くので喜んでいるんです。彼が忙しくて放ったらかしだから、浮気してやろうというわけではない。なんだか可哀想で、どうにかしてあげたくなります」
──彩は夫に依存症を秘密にしていたわけですが、夫婦間での隠しごとは許せますか?
「隠しごとがあるのは案外いいことかもしれません。法に触れるような、本当にしてはいけないことではなくて、例えば『本当は女友達に夫の愚痴を言ってる』というくらいのささやかなもの。それくらいの隠しごとがあるほうが、心に余裕が出るような気がします。あまり全部をさらけ出して、向き合い過ぎても苦しくなっちゃいますから」
──ドラマでは、彩の隠しごとが夫に知られてしまうことになるんですよね。
「すごいですよ。そこは見どころです。そこからは信夫の葛藤です。視聴者としては『ついにバレちゃった! 次はどうなるの?』と目が離せない(笑)」
──今回の作品のような、ドラマチックな愛憎劇はお好きですか?
「好きです! 野島さんの作品ではドラマ『高校教師』が大好きでした。禁断の愛はやっぱり見たくなりますよね。今回は自分が演じる側なので、難しい役柄ですがやりがいを感じています」
衣装:ワンピース¥75,000/Co|te(イザ 0120-135-015)、ゴールドピアス左右各¥50,000/Enasoluna(エナソルーナ神宮前本店 03-3401-0038)
『雨が降ると君は優しい』の情報はこちらから
Photos:Wataru Fukaya
Styling:Chizuru Komatsu
Hair&Makeup:Riho Takahashi
Interview & Text:Miho Matsuda
Edit:Masumi Sasaki