スティーブ・アオキが更新する、スニーカーの定義
30年以上にわたり、世界中のステージに立ち続けてきたスティーブ・アオキ。年間200〜300本ものショーをこなし、跳び続けてきたその身体がたどり着いたのは、“機能”というひとつの答えだった。いま彼が自らのブランドとしてローンチするスニーカーブランド「アポジー・アスレチック(APOGEE ATHLETICS」)。その一足には、キャリアと身体、そしてカルチャーへの視点が折り重なるように刻まれている。
パフォーマンスの先にある、機能美という答え

——30年にわたるパフォーマーとしての経験を経て、なぜいま、スニーカーブランドを立ち上げようと思ったのでしょうか?
「スニーカーブランドに関わり始めたのは2004年頃。デザインを始めたのは2006年だから、もう20年に。これまで本当にいろんなブランドと仕事をしてきた。自分名義のシューズも作ったし、スケートシューズやランニングシューズ、アシックスとも仕事をしたし、アトモスやエルメネジルド・ゼニアなどともコラボを。ラグジュアリーブランドも含め、本当に幅広くやってきたけれど、ずっと『自分のブランドを持ちたい』と思っていた。自分でブランドを立ち上げるなら、すべての要素がちゃんと機能しないといけない。だから、タイミングを待っていたんだ」
「長い間、“最高の靴”を探し続けてきたんだ」
——「アポジー・アスレチック」をはじめる上で、いちばん大切にしたかったことは?
「このチームと出会って、“ブランドを作れる”って思えた瞬間に、すべてが腑に落ちたんだよね。自分にとって大事な要素がちゃんと揃っていたから。僕は年間200〜300本のショーをやっていて、15年くらいずっと足底筋膜炎に悩まされてきた。ステージで飛び跳ね続ける生活の結果だよね。だから長い間、“最高の靴”を探し続けてきたんだ。これまで関わってきたブランドでは、既存の型をベースに色やデザインを考えることが多かった。でも今回は、ソールの構造や反発、履き心地など、技術的な部分まで深く関われた。自分のパフォーマンスを最大限発揮できる一足を作りたかったから。自分のライフスタイルに完全にフィットする、“本当に信じられるシューズ”をね。僕はブランドビルダーでもあるし、コミュニティを作り方もわかっているつもり。コミュニティを作るには、ちゃんと価値のあるものを届けないといけない。音楽でもプロダクトでも、それが意味のあることであることが大事なんだ。だからこのシューズにはすごく誇りを持っているし、このプロジェクトにもすごくワクワクしている。すでに素晴らしいコミュニティができているのも嬉しいよ!」

——「アポジー・アスレチック」というブランド名に、どんな想いを込めましたか?
「この名前はチームが考えたんだけれど、すごく気に入っている。“APOGEE”って、“頂点”とか“最高点”という意味で、目標や挑戦を象徴する言葉なんだ。僕は昔から、いろんな文化や世界から名前を取り入れるのが好きで。このシューズのコンセプトにもすごくフィットしていると思った。アクティブなライフスタイルを送る人のためのシューズだし、その意味でもぴったりな名前だと思っているよ」
——このスニーカーの素晴らしいと思えるポイントは?
「いちばん大事なのは、“何でもできること”だね。見た目ももちろん大事だけど、それ以上に機能が重要。ステージで何時間もプレイして、そのまま飛行機に乗って、また別の場所へ行って、ジムにも行く。ほぼこの靴の中で生活してるようなものだから。だからまずは、“このライフスタイルにちゃんとフィットするか”。次にパフォーマンス。そして最後に見た目。その全部がちゃんと揃っていると思っているよ」
「限定にすることって、やっぱり大事なんだよね」

——自身で立ち上げた初めてのスニーカーブランドのローンチの場所として、“東京”を選んだのはなぜ?
「日本のファンって、ヒット曲だけじゃなく、アルバムやストーリーまでしっかり聴き込んでくれるんだ。細部まで理解しようとしてくれる。何かをローンチするなら、そういうふうに深く向き合ってくれる人たちがいる場所がいいと思っていて。だからTOKYOは自然な選択だった。ここがいちばんふさわしい場所だと思ったよ」

——100足限定にしたのは?
「限定にすることって、やっぱり大事なんだよね。普段は“77”という数字を選ぶことが多いんだけど、今回は100にした。ちょうどいいし、キリもいいから。今回は僕のブランドである『ディム マック(Dim Mak)』30周年でもあるし、日本限定の特別なリリースにしたかったんだ。僕の限定アイテムは、基本すぐ売り切れるから、この100足を手に入れた人には、ちゃんと大事にしてもらえると思っている」

——東京のカルチャーや日本のクリエイターからどんな影響を受けてきましたか?
「本当に素晴らしいアーティストやデザイナーがたくさんいるよね。日本のファッションには20年以上影響を受けてきたし、実際に友人も多い。近々、藤原ヒロシのフラグメントデザイン(fragment design)とディム マックのコレクションも発表する予定で。彼とは長年の友人なんだけど、今回もすごくいい仕上がりになっているよ。原宿はやっぱり、日本のファッションの心臓みたいな場所だと思う。ヴィンテージももちろんだけど、小さなブランドが新しいデザインや素材をどんどん生み出しているのが面白い。僕は新しいブランドを見つけるのが好きで、気になるデザイナーがいたら実際に会いに行くこともあるんだ。レディメイド(READYMADE)のデザイナーとも初期に出会って衝撃を受けたし、ミハラヤスヒロも親しい友人。東京に来ると、いつもいいインスピレーションをもらっている」
——では最後に、Numero TOKYOの読者へメッセージをお願いします。
「このスニーカーは、僕にとってすごく特別なローンチなんだ。イベントの反応も最高だったしね。DUMISTのポップアップストアが終わる前にぜひ来て、ディム マックのウェアやアポジー・アスレチックのスニーカーを手に取ってみてほしい」
DUMIST TOKYO POP UP
期間/開催中(4月28日まで)
場所/MIL GALLERY JINGUMAE
住所/東京都渋谷区神宮前4-25-28 2F)
営業時間/10:00-21:00
Instagram/@dumiststudio
Interview & Text : Hisako Yamazaki


