生田絵梨花インタビュー「自分の時間が増えて、興味の幅が広がった1年だった」
アメリカからミュージカル『MEAN GIRLS』が日本に上陸! 同名のアメリカンガールズコメディ映画をベースにした本作は、2018年のトニー賞で12部門でノミネートされるほどブロードウェイで大ヒットを記録した。今回、主役のケイディを演じるのは、生田絵梨花。動物学者の両親のもとアフリカで育ったケイディが、アメリカのスクールカーストの中をたくましくサバイブする様子をダイナミックに演じる。そこで今回、初めてのコメディミュージカルに挑戦する意気込みと、グループを卒業して1年経った今の心境を聞いた。
「思いっきりぶっ飛んだ演技を楽しみたい」
──『MEAN GIRLS』のケイディを演じる上で、楽しみにしていること、この作品に惹かれたポイントを教えてください。
「私がこれまで参加してきたミュージカルは、悲劇や歴史を元にした重厚な作品が多かったので、以前、ブロードウェイで『MEAN GIRLS』を観劇したとき、この作品のような女の子の群像劇や、ハッピーでキュートな作品もいつかやってみたいなと思っていました。でも、漠然とした願望だったので、実際にオファーをいただいたときはすごく驚きましたし、とても光栄でした」
──ブロードウェイで大ヒットした『MEAN GIRLS』ですが、日本版は今回初上演です。どんなケイディになりそうですか。
「ブロードウェイではセリフが英語だったので、今回あらためて日本語で書かれた台本を読んでみると、より一層パンチが効いていて(笑)、かなり大胆な発言もあるのでセリフに負けないくらい思いっきり楽しんで演じたいと思っています。でも、私たちがあまりにぶっ飛びすぎて、皆さんを置いて行かないように、稽古を重ねながら観客のみなさんと一緒になって楽しめるラインを探っていけたら。緊張はありつつも、今はとても楽しみです」
──生田さんが演じるケイディは生まれ育ったアフリカを離れ、アメリカのスクールカーストの中でサバイブするという役柄です。生田さんが感じたケイディの魅力とは?
「この物語は、ケイディが両親とともにケニアで16年過ごしてきたというところから始まり、そこからアメリカのハイスクールのカルチャーに染まっていくのですが、ケイディ自身が変化する様子が魅力のひとつです。日本でも、学生生活で面倒なことに巻き込まれないように自分の役割の中に小さくまとまろうとすることもあると思います。でも、ケイディは 最初から自分の意見をはっきり言うし、それでクラスから浮いてしまっても、疑問を持たないんです。でも、そんなケイディもいつしか周りに染まってしまって、近くにいる人に指摘されて、自分自身を振り返るのですが、誰しもが、似たような経験はしたことがあるだろうし、そんな人間らしさを感じられるところもケイディの魅力です」
──ご自身とケイディに共通する部分はありますか。
「そうですね、アイドル活動を始めたばかりの頃、自分を取り巻く環境が大きく変わって、自分を見失いそうになったことがあったんです。私の肩を叩いて気付かせてくれたのが母だったように、ケイディにとってそれは友人のジャニスやダミアンでした。ケイディが周囲に流されたり、立ち止まって考えて自分らしさを取り戻すところに、私の経験を重ねながら演じられたらと思ってます」
──ケイディのように新しい世界に飛び込んだとき、生田さんはどのように乗り越えていますか。これから環境が変わる人にアドバイスするとしたら?
「私自身、今年10年間過ごしたグループを卒業し、環境がかなり変化した1年でした。初めてお仕事する人も多かったので、最初は猫をかぶったりもして。私はいつもお弁当を2個くらい平気で食べちゃうんですが、最初からそうすると欲深い人間だと思われてしまう気がして、最初はひとつだけ。しかもご飯を少し残したりして、しおらしく振る舞っていたんです。でも、人間関係に壁を作ったままにするのはどうなのかなと、途中から、『私はそんなにおとなしい人間じゃありません。真面目じゃないところもたくさんあります。ご承知おきください』と、少しずつ前置きというか、伏線のようなものを張っていたんです。そしたら、みなさん心構えをしてくれて、徐々に自分を出せるようになりました。今では気を使わずにコミュニケーションできるし、お弁当もいくらでも食べられるようになりました(笑)。だから、いきなり行動するより、言葉で前置きをして、相手に心構えをしてもらってから、本当の自分を少しずつ出していくのがいいと思います」
新しい環境にひとりで飛び込んだ1年。
「そんなに頑張らなくていい」という言葉が心の支えに
──2022年、新しい環境になって心の支えになった言葉はありましたか。
「2022年は初めてのことも多かったし、一人で頑張らないといけないので、思うようにいかないことや、心がついていかないこともありました。落ち込んでいるときに、母が『そんなに頑張らなくてもいいよ』と言ってくれて。これまで母は私をしっかり育ててくれたので、そんなふうに言ってくれることが新鮮だったし、とても救われました。その言葉に甘えながら、これから母の想いを背負って頑張りたいなという気持ちになりました」
──舞台、ドラマ、映画と、数多くの作品に出演しましたね。
「これまでは舞台が中心だったんですが、今年から映像の現場に参加する機会が増えましたね。自分はまだまだだなと感じることもあったし、尊敬する方との出会いもがたくさんあって、とても刺激を受けました。映像もこれから1歩ずつ経験を積んでいけたら」
──舞台と、ドラマや映画の違いは? 演じるにあたって心がけていることはありますか。
「演じることに対する意識は変わらないのですが、舞台は二階席の奥まで届くような声の出し方や、動きの大きさで表現を伝えることが必要です。最初の頃は、ドラマや映画の監督から、セリフが歌っていると指摘されたり、リアクションが大きすぎると言われました。映像は目線の動きだけで伝わるものがありますよね。だから、普段と変わらない動きや表情を心がけるようにしています」
──音楽番組のMCにも挑戦されていますね。
「番組で新しい音楽に触れる機会が増えましたし、みなさんから影響を受けていろんなジャンルの音楽を聴くようになりました。もともとピアノでもクラシックや王道の曲を弾くことが多かったんですが、ジャジーな曲を弾いてみたいと思うようになったり、リズムのある歌い方に挑戦してみたくなったり。音楽への興味の幅が広がったと思います」
──プライベートでは、今ファッションを楽しんでいらっしゃるとか。
「これまで自由な時間もほとんどなかったし、ファッションにも詳しくないので、ショッピングに行っても“マネキン買い”するようなタイプだったんです。今は自分の時間が増えたので、服を買いに行くのが楽しくて」
──お気に入りのスタイルは?
「お出かけする機会が少ないのでカジュアルなパンツスタイルが多いんですが、ポップなカラーリングや柄ものも好きです」
──昨年は仕事でもプライベートでも、新しいことに挑戦する1年だったんですね。
「そうですね。興味の幅が広がった1年だったと思います。それが自分の成長につながったかどうかはあまり実感はないのですが、最近は『こんな一面もあったんだね』『この作品が良かった』と、言ってもらえることが増えてきたような気がします」
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ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』
動物学者の両親を持ち、アフリカ育ちのケイディ・ヘロン(生田絵梨花)は、16歳になりアメリカへ引っ越す。これまで自宅学習だったので、初めての学校生活になかなか馴染めず、浮いているケイディの友だちになったのはアートフリークのジャニスと(田村芽実)とゲイボーイのダミアン(内藤大希)。ある日、校内のアイドル三人組「プラスティックス(Plastics)」の中心メンバーであり、学園の女王様・レジーナ(石田ニコル)から、仲間に入れてあげてもいいと言われ…。
脚本/ティナ・フェイ
音楽/ジェフ・リッチモンド
作詞/ネル・ベンジャミン
演出・上演台本・訳詞/小林香
出演/生田絵梨花、田村芽実、石田ニコル、内藤大希、松原凜子、松田るか、小野塚勇人(劇団EXILE)、中谷優心/黒須洋嗣/壮一帆 他
URL/https://musical-meangirls.jp/
●東京公演 2023年1月30日(月)~2月12日(日)
会場/東京建物Brillia HALL
●福岡公演 2023年2月17日(金)~2月19日(日)
会場/キャナルシティ劇場
●大阪公演 2023年2月23日(木・祝)~2月27日(月)
会場/森ノ宮ピロティホール
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企画・製作/アミューズ
東京公演主催/アミューズ/フジテレビジョン
問い合わせ/
東京公演 スペース 03-3234-9999(平日10:00-12:00/13:00-15:00)
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Photos:Harumi Obama Styling:Miku Ogawa Hair & Makeup:Tomoko Tominaga Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Sayaka Ito