注目のファッションアイコン菊乃インタビュー「ものを選ぶ時は自分だけのストーリーが欲しい」 | Numero TOKYO
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注目のファッションアイコン菊乃インタビュー「ものを選ぶ時は自分だけのストーリーが欲しい」

東京の真ん中で生まれ育ち、デザイナー、モデル、クリエイティブ・ディレクターとして活躍する菊乃。幼少期から影響を受けたストリートカルチャーをベースにファッションと映像、音楽、アートをつなぐ独自のセンスと、程よく力が抜けたムードで注目を集める彼女の魅力をひもとく。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年10月号掲載)

やりたかったらやる。それだけ。

──ご自身のファッションのポイントは何ですか。

「私、基本的に同じものしか着てないんですよ。Tシャツ、スウェット、デニム、スニーカー。シルエットでいえば、タイトなものよりもゆったりしたコージーなもの。ストリートウェアは好きだけど、ストリートブランドで固めることはないですね。ジャンル分けしたくないし、されたくないから。昔から人とかぶるのがイヤで、何かを参考にすることもなくって。古着を合わせたり、親から譲り受けたアクセサリーを身に着けたりして、どこかに自分らしさが出ればいいのかなと」

──ファッションに興昧を持ったきっかけは?

「小さい頃から友達は男の子ばかりで、彼らの影響でヒップホップを聴くようになりました。そのうち、音楽だけでなく、ラッパーの出立ちとかアティチュードに憧れを持つようになって、メンズファッションにも興味が出た。学校の勉強はあまりできなかったけど、なんとなく昔から自分のセンスを信じてたところがあって、親戚のおばさんに『きっちゃんはおしゃれだね』って言われて『私っておしゃれなのかも?』と(笑)。人と違うことを褒められることがうれしかったですね。ものを選ぶ時は自分だけのストーリーが欲しい。自分だけの物語があれば、たとえ他の人が同じものを持っていても、持つ意味が生まれる気がしています」

──東京で好きな場所、思い出深い場所はありますか。

「渋谷で育ったのであちこちに思い出があります。小さい頃は原宿にあったGAPによく連れてってもらっていました。そういえば、高校生の頃に見たGAPのCMがすごくかっこよくて、誰が作ってるのか調べたら、スパイク・ジョーンズだとわかって、それから彼が撮影した映像を見るようになりました。東京で写真を学んだ後、サンフランシスコに留学して、スケートカルチャーの濃い街だったので、スケートビデオもよく見るようになりましたね。その後、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズに短期留学。学校にはあまり真面目に通ってなかったんですけど(笑)、ファッション、アート、カルチャーに詳しい友達ができたことがいい刺激になりました」

──帰国後、デザイン事務所のインターンを経て、自身のファッションブランドをスタートしました。

「海外から帰ってきて、みんな同じ格好していることがなんかイヤで。自分が着たい服もなかったし、じゃあ作るかって。いま考えるとなんでそこにつながるんだ?って感じなんです(笑)。服の勉強をしていなかったのに、なぜやろうと思ったのか、謎。でも当時は周りに自分でブランドやってる子もいなかったから、じゃあやってみるかと。小さい頃から人と違うことをやらないとって思ってたんです。インディペンデントであることのかっこよさというのかな、それは親の影響もあるかもしれません。バイトでコッコツ貯めたお金で、Tシャツとスウェットからスタートしました」

──デザインのインスピレーションはどこから受けていますか。

「インスピレーションソースは特になくて、自分が着たいものを作っています。コンセプトとかジャンルもない。ブランドを始めたばかりの頃は全然稼げず、バイトして、お金が貯まったらまた服作ってっていうことの繰り返し。とりあえず続けてみたら何か変わるかもと思って、それが今まで続いている感じです」

──2020年からはYouTubeもスタート。菊乃さんのプライベートな一面が見られると好評ですね。

「コロナ禍で何か変化が欲しかったんです。自粛中YouTubeを見る機会が増えて、映像作ってみたくなって。やるからには続けたいと思ったから、納得のいくものを作ろうと。で、始めてみたら思いのほか反響があってすごく驚きました。『ポジティブになる』とか『生きがいにしてます』とまで言ってくれる人もいて、そんな反応をもらえることすら想像してなかった」

──動画作りで意識することは?

「言い方が難しいんですけど、見てくれる人のためというよりも、自分がいいと思ったものを作るだけですね。”作った”感じも好きじゃないし、これしかできないっていうのが正直なところなんですが」

──これからやりたいことは?

「自分が活きる瞬間はやっぱりセンスを使うことだと思うので、そういう仕事に関われたら。心の赴くまま、やりたいことがあればやるし、やりたくなかったらやめる。そんな感じでいいかなと。そして、そういう私を見て、『こんな感じで生きてもいいんだな』って思ってくれたらうれしいです」

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Photos:Motohiko Hasui Text:Mariko Uramoto Edit:Michie Mito

Profile

菊乃Kikuno 1990年、東京都生まれ。写真の専門学校を卒業後、サンフランシスコ、ロンドンヘ留学し、語学とアートを学ぶ。帰国後、2015年よりユニセックスブランド「パープルシングス」をスタート。18年以降はメンズブランドとして展開。現在はデザイナーを務めながらモデルとしても活動。20年に開設したYouTubeチャンネル「STAYINBED」も人気。Instagram:@kiki_sun

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