ビーバドゥービーにインタビュー「普通の女性であることが私にとってすごく大切」
ティーンエイジャーが抱える不安や孤独を90年代オルタナロックに乗せ、一躍Z世代を代表するアーティストなったビーバドゥービー(beabadoobee)。2ndアルバム『ビートピア』は、今までのパーソナルなタッチのベッドルームミュージックから、とても多彩で繊細なサウンドへと進化を遂げた。新作のことから世界的なスターになった今でも“普通”であることを大事にする理由、ファッションのこと、8月に予定されている初来日公演のことまでさまざまなことを聞いた。同アルバムのリードシングル『Talk』MV撮影のビハインドカットとともに。
自分が作りたいものを自由に作った
──デビューアルバム『Fake It Flowers』はあなたのそれまでの半生が詰まったパーソナルな作品であり、素晴らしいベッドルームミュージックでしたが、The 1975のマシュー・ヒーリーとジョージ・ダニエル等と共に制作した『Our Extended Play』を経て、より多くの人と関わりながら今回の『ビートピア』を作るという制作はどんな体験でしたか。
「『Fake It Flowers』を作った時の自分はすごく頑固だった。全部自分主導で作りたかったし、自分のアイディアが絶対で。でも、『Our Extended Play』を作ったことで人とコラボすることの楽しさを知って、心がオープンになり、いろんなアイディアを取り入れたいと思うようになったの。いろんなことへの理解も深まったし、メンタルも鍛えられた。『ビートピア』にはその影響はすごく出ていると思う。プロデューサーのジェイコブ(・バグデン)は親友でもあるし好きな音楽も似ているの。だからすごくいい環境でアルバムを作ることができたんだ」
──とても多彩で繊細なサウンドへと進化したと思ったのですが、ご自身ではどう捉えていますか?
「今回のアルバムはコロナ禍のロックダウン中に作ったのもあって、人に発信するっていうことをあまり考えずに自分が作りたいものを自由に作った感じ。『Fake It Flowers』はポップロックを意識したところもあったけど、今回はどんなジャンルでも作ってみようという気持ちだったの。ジェイコブがサポートしてくれたおかげでそれが実現できた。小さい部屋でふたりでやりたいようにやった結果、こういうサウンドが生まれたんだと思う」
──歌詞からは、世界的なアーティストになった今でもどこにでもいる普通の女性であるということを大事にされていることが伝わってきました。
「うん。私は21歳のロンドンに住んでいる普通の女性だし、ほかの21歳の女性たちと同じ問題を抱えてる。それは自分にとってすごく大切な部分なの」
──アルバムではハッピーな愛が描かれている一方で、不安や孤独も描かれています。インスピレーションになったものを教えて下さい。
「『Fake It Flowers』は過去の出来事にすごく捉われていて、まだ立ち直れていない自分がいた。でも、『ビートピア』は、過去のことをしっかりと理解し、良い経験として受け止めた上で、今の自分と向き会えている。そうやって自分の気持ちを楽曲にするのは、自分にとってはセラピーみたいなもの。歌詞にすることで気持ちを整理し、理解することができるんです」
──今作では「7歳の頃から抱き続けているファンタスティックでパーソナルな想像の世界を表現した」とおっしゃっていますが、どの曲にそういった世界が色濃く出ていると思いますか?
「『See you Soon』かな。この曲を書いた時はひとりでいて、原因で自分の人生や自分の今の状態、いろんなことに気付けた。ひとりでいることは孤独ではなく、心地よさもあるよね。良い意味で孤独に慣れていく必要があると感じて書いた曲なの」
アースカラーの服がマイブーム
──あなたの音楽からもファッションからも、時流に流されずに好きなものを表現することの大切さを感じますが、意識していることはありますか。
「音楽にせよファッションにせよ、トレンドに流されず、自分が好きなものを発信することが大事だと思う。自分にとってベストなものは何なのかということを忘れずに自分自身を信じるの。曲を作るときは、自分の意志を大切にするために何ができるかをいつも考えてる。でも、人の意見に良い影響をもらうこともあるので、何かを言ってもらえることに対しては感謝してるよ」
──ファッションアイコンとしても支持されていますが、ファッションのこだわりは?
「いろんなブランドが好き! イッセイ ミヤケもステラ マッカートニーもミュウミュウも好きだし、最近はディーゼルも好き。あと、古着屋に行ってヴィンテージを見つけるのも好きだし、ボーイフレンドの服を借りるのも好きだな。ハイブランドと古着をミックスさせるのが好きなの。今日もなんだけど、最近はアースカラーの服がお気に入りでよく着てるよ」
──今後挑戦したいと思っていることはありますか。
「映像に興味があって、演技をしたり、映像に音楽を付けたりしたい。ずっとやってみたいと思ってる」
──特に影響を受けた映像作品を教えて下さい。
「いろんな映画に影響を受けてるんだけど、特に『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』と『サブマリン』が好き。ああいうインディー系の映画に音楽を付けられたらいいな」
──8月にはサマーソニックで初来日される予定ですね! 今の気持ちを教えてください。
「すごく興奮してる! 日本の方が自分の曲をたくさん聴いてくれていることを知ってるから、ファンのみんなに会って恩返しができるのが本当に楽しみ。あと、いろんな日本の文化を経験したい。買い物にも行きたいし、カラオケにも行きたいな」
──さまざまな国のファンに直接ライブで会うという体験からはどんなインスピレーションを受けますか?
「とにかく胸がいっぱいになるの。ツアーに出ると、ロンドンが恋しくなったりして、いろいろと大変なことはたくさんあるんだけど、みんなの反応が直接見られるのは本当に素晴らしい体験で。愛を感じるし、エネルギーをもらえるんだ」
ビーバドゥービー 『ビートピア』
レーベル/ダーティ ヒット
発売日/2022年7月15日(金)
価格/日本盤¥2,750(税込)※日本盤はボーナストラック1曲、解説、歌詞対訳付
アルバムより先行シングル「Love Song」のMVが公開!
Photos:Tommy Davis Interview & Text:Kaori Komatsu Edit:Mariko Kimbara