きゃりーぱみゅぱみゅにインタビュー「30歳くらいには結婚できてたらいいなぁ」 | Numero TOKYO
Interview / Post

きゃりーぱみゅぱみゅにインタビュー
「30歳くらいには結婚できてたらいいなぁ」

2016年にデビュー5周年を迎えたきゃりーぱみゅぱみゅにインタビュー。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2016年4月号掲載

日本ではもちろん、ワールドツアーを大成功に収めるなど世界を舞台に活躍するアーティスト、きゃりーぱみゅぱみゅ。2016年でデビュー5周年を迎えた彼女がいま思うこととは? ひとりの女性として、等身大のきゃりーぱみゅぱみゅの魅力に迫る。

──まずは、デビューのきっかけから教えていただけますか?

「高校時代に読者モデルやイベントでDJをしていて、そこで音楽プロデューサーの中田ヤスタカ(CAPSULE)さんと出会ったのがきっかけなんです」

──そもそも音楽方面に進みたかったのですか?

「当時は、洋服が好きだし服飾系に進学してデザイナーになれたらなぁってフワフワ~と思ってはいたんですけど、そもそも中田ヤスタカさんが作る楽曲の大ファンだったこともあって『これは与えられたチャンスなのかもしれない!』と思って、やってみようと。そんな感じでした」

──“きゃりーぱみゅぱみゅ”というキャラクター性がすごく特殊な印象というか。デビュー前からこの方向性は決まっていたのですが?

「ですよね(笑)。でも、高校時代から軽くそんな感じではあったんです。ブログや雑誌でも“きゃりー”という名前を使っていたりして──。それがそのまま、お仕事につながった感じです。だけど、ちゃんと音楽アーティストとしてデビューするにあたっては、どういう方向性でとか、こういうイメージでやっていきたいという意思は伝えました」

──それって具体的には?

「何が自分の強みなのかを考えた時に、私は原宿の文化が好きだったり、ちょっとしたグロテスクなものや衝撃的なものがすごく好きだったので、ただ可愛いだけじゃなく、賛否両論あるような、ちょっと毒々しいものをやってみたいなって。そもそも、世間にこんなに受け入れられるとは思ってなかったんです(笑)。実際、ちょっと歪んだ部分もあって、自分がやっゃりーぱみゅぱみゅ”でい続けるのは大変だろうと思ったりしましたが、今日の撮影を見て、『特殊なんじゃなくて、本人自身は自然体ってことだったのかな』と、ハッとしました。おっしゃるとおり、きゃりーぱみゅぱみゅって若さありきのファッションスタイルだったり、楽曲も可愛らしい感じだったりする。だけど、これが“きゃりーぱみゅぱみゅ”って決めているわけではなく、その時々で進化しつつ、例えば、最近ちょっと『大人っぽい感じが好き!』と思ったらガラッと変わってみるのもいいし、やりたいことがなくなったら辞めちゃおうとも思うし──。明日で23歳になるんですけど、正直いうとまだ30歳とか40歳の自分ってまるで想像がつかないんです(笑)」

──そうですよね! それもわかります。

「20歳の頃は25歳の自分すら想像つかなかった記憶が(笑)。ただ、いろんな人を見ていて思うのが、いくつになってもツインテールしていたいとは思わないです。自分が似合う年齢とかもあると思うので。ずっと『今のスタイルを貫きます』というワケではないし、やりたいこともどんどん変わっていくかもしれない。単純に今は音楽がすごく好きなので集中してやりたい。それだけなんです」

──素の自分で楽しんでるっていう意味では、本当に自然体ってことですよね。

「キャラを演じてるワケじゃないんです。普段も会話してるとギャップがありすぎて驚かれたり──。キャラありきだと行き詰まったり、苦しかったりすると思うんですけど、私自身は至って普通。いきなり芸能界に入って『こんな感じなんだ』と思ってるうちに、あっという間に5年がたってたっていう感じなんです」

──でも才能がなきゃ残れないですよ、5年は。ケロッとしてるようで、努力もあっただろうし。

「自分では、努力家とも勉強家とも思わないですね。ただ、もともと人見知りだったり、恥ずかしがり屋なんです。だから、一人でのステージは今でも心細くはあります」

──一番大事にしてることはどんなことですか?

「直感を大切にすること。これはこうだと思うとハッキリ意見を言って、流されずにしっかり自分を持ちながらやってるつもり。ほかの部分ではフワフワしてますけどね(笑)。だけど、その場その場で『こうしたい!』っていうものだけは明確にある。将来的にどうこうはないけど、新曲のMVはこうしたい、ジェットコースター作るならこうしたいとか、真剣に考えるとちゃんと出てくるというか」

──プライベートもハンドリングできていますか?

「事務所の方がバランスよくお休みを用意してくれていて、そういう時とかに、好きな人と遊んだりお友達と会ったりできてるので、現状には満足してます」

──恋愛NGとかは言われたことないんですか?

「実際にそう明言されたことはないですけど、まぁ、ほどほどにってことだと理解してます(笑)。以前も普通に恋愛してましたけど、ちゃんと社長に紹介したり。ダメとは言われたことはないですね」

──アイドルではないですしね。

「そういえばそうでした(笑)。逆にアイドルが恋愛禁止ってことのほうが疑問ですけど、今回の年始もしっかりお休みをいただけたり、不満とかが特にないのは、プライベートが充実しているからかもしれないですね。それプラス、仕事においてもちゃんと相談しながら決めさせていただける環境で恵まれてると思う」

──一人の女の子としてのこれからってどう思い描いていますか?

「30歳くらいには結婚できてたらいいなぁとか、家族を作りたいなっていう普通の想いはあります」

──そこも一般的というか、普通な感じですね(笑)。

「実際に結婚、出産って年齢や体力的なタイミングもあるだろうし、そこは空気読みたいなって(笑)。ファンの中には、きゃりーちゃんはトイレも行かないし、毎日イチゴを食べてるっていうきゃりー像を持っている人もいるんですけど、私自身のツイートがめちゃ普通で『松屋ナウ』みたいなことばかりで。それを親近感があっていいねと言ってくださる人もいれば、きゃりー像はちゃんとしてほしいという意見もある。プライベートがまるで見えないアーティストさんのようなロボット感というか。そもそも私は、そっちのジャンルのはずなんだけど、実際は人間味の塊。アンバランスさが新鮮でもあるのかなって──。なので、自由に好きなように発信させてもらってる感じですね。だから私も楽しいって思えてるんだと思う」

──あらためて振り返ってみて、どんな5年間でしたか?

「18歳からの1~3年目までは慣れないことばかりで、本当に目まぐるしい日々で。去年、もう少し自分に余裕を作りたいですと相談して、そこからですね。今のバランスになってきたのは──。プライベートで免許を取ったり、ジムに通いだしたり去年からの1年は私にとって本当にプラスな年でした。結果、シングル2枚しか出せなかったんですけどね(笑)。でも、その分、今年の5周年はしっかり音楽に集中していこうと」

──自己分析するとどんなタイプの人間だと思いますか?

「与えられたことを器用にやる人だと思います」

──柔軟ってことかな。

「極端な話、イベントとかは打ち合わせなくても出れちゃう。感覚でできるっていうのが、自分の中ではわかりやすいイメージかな」

──レコーディングとかもそう?

「毎回、レコーディングスタジオに入ってから曲と歌詞をもらって、10~15分間くらいそれを聴いてその場で覚えて歌う。全体的に歌うのも2回くらいなんです。数を重ねても、やっぱり最初が良かったってことが多いので、最初の1、2回が勝負みたいな感じ」

──前もって準備とか一切ない?

「そう。その理由を中田さんに聞いたら、癖をつけてきてほしくないと。『ちょっとわからない』っていう感じのほうが中田さんのイメージにも合うみたいで。他のアーティストさんと話すとみんな驚きますね(笑)。歌い込んで、自分のものにして──みたいなアプローチではないから」

──中田さんがもし、きゃりーぱみゅぱみゅの曲が生まれてこなくなったってことになったらどうしますか?

「そうしたら一緒にご飯に行きます。実際、中田さんとご飯の時に話してることがそのまま歌詞になったりしてる曲も多いんです。私と話してる時に生まれてくるメロディというものもあるみたいで、たまに鼻歌でメモったり、会話しながら歌詞を書き留めたりすることがあって、『もんだいガール』とかはまさにそうで。その時、世間に対する愚痴を聞いてもらっていたんですけど、それをすごく上手に歌詞にしてくださった作品なんです。そうやってしっかり向き合うことで、楽曲に反映されるような、二人の化学反応に期待して『ごはん、行きましょう』って誘いたい(笑)」

──「もんだいガール」の時は、何が問題だったのですか?

「私生活に対してのことというか『ただ恋愛をしてるだけなのに、なんでこんなに騒がれて、いろんなふうに言われてしまんだろう』って。本当にただ単に22歳の女の子なのに、みんなと変わらないんですけどね──。でも結果的に、そういう気持ちをはっきりと曲に乗せて歌うと私も気持ちいいし、私の人間的な部分が盛り込まれてる曲で、ファンの人が盛り上がってくれることにも感動したんです。こういう私でも応援してくれるんだ! 私、これでいいんだって思えたことも嬉しかった」

──今年の5周年企画でも、いろんな方とコラボするとか。

「以前からオファーはいただいてたみたいなんですけど、今やっと5年目にしてそういう挑戦もしてみたいなって。まだまだ5年って短いし、ここからまた新たに広げていけたらなって思ってます」

──三度目のワールドツアーも控えてますしね。海外だとどのくらいのキャパなんですか?

「日本のホールと同じくらいかな。1500~3000人…って考えたら、急にまた不安になってきちゃいましたけど(笑)。でも、実際に海外に行ってみて、音楽に壁はないんだなってことを実感できてはいるし、前回も日本語で話したほうが盛り上がるくらいだったので、気負わず行ってきます。で、帰国後に遠征のニュースとか見て『頑張ったな、自分』って思いたい」

──ホント、無欲というか、なんだろう。とても普通の感じですよね。

「B型なんですけど、自己主張が全然ないんです。ご飯にしてもなんでもいいし『ついて行きます』っていうタイプ。初めての人には、もっとこだわりが強くて頑固な人だと思ったって言われるんですけど、そういう部分はホント無欲。ただ、一つのことに集中するとガッと行くタイプで、ダイエットする、免許取るとか、やると決めたらやる。その反面、波があったり興味のないことには『へ~』って。私の相づちって『へ~』が多いんですけど、悪気はなく、世の中『へ~』なことが多いです(笑)」

──でも、言い換えれば、きゃりーレーダーにビビッときて、今までの人生で一番集中できることが音楽であって、今のお仕事ってことですよね。最後に、5周年に向けての気合を聞かせてください。

「今回の『ヌメロ・トウキョウ』でトライした洋服やメイクのように、少し大人っぽい私も見せていきたいですね。いつもは厚底やぺたんこ靴ばかりなんですが、今日ヒールを履いてみて、『女性らしくいることって大事だな』って思えたので、そういうアイテムも増やしていきたい。お仕事では5周年スペシャルとして5つの楽しいコンテンツを皆さんにお届けするので楽しみにしていてほしいです。その一つとして、初のベストアルバムを発売します。楽しいだけの音楽じゃなく、私のこともわかってもらえるような楽曲も入ってるので、あらためて聴いてみていただけたら嬉しいです!」

Photos : Kisimari
Interview & Text : Takako Tsuriya
Edit : Hisako Yamazaki

Profile

きゃりーぱみゅぱみゅ(Kyary Pamyu Pamyu) 1993年1月29日生まれ、東京都出身。ファッション雑誌『KERA』で2009年からモデルの活動をスタート。11年にデビューミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビューし、12年に1stシングル「つけまつける」をリリース。その後に発表した作品が立て続けに大ヒットを記録し、独自のファッションセンスと世界観で幅広い支持を集める。また、日本の「カワイイ」文化の世界的なアイコンとして、ワールドツアーも大成功させた。16年には、デビュー5周年を迎え、初のアニバーサリーイヤーとして「ド派手に行きます!」と宣言し、世界と日本をつなぐ“5つのたくらみ”を発表。初のベストアルバムを発売、三度目となるワールドツアーや、武道館でのツアーファイナル、様々なアーティストとのコラボレーションに初挑戦、初のアートワーク展を開催、USJにきゃりーぱみゅぱみゅアトラクションを誕生させるなど、国内外を問わず飛躍的に活動。今年4月には14作目のシングル「良すた」をリリース。kyary.asobisystem.com

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