神木隆之介×玉城ティナ インタビュー「しつこく話しかける人とそれをウザがる人でした」 | Numero TOKYO
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神木隆之介×玉城ティナ インタビュー「しつこく話しかける人とそれをウザがる人でした」

CLAMPの大ヒットコミックが蜷川実花監督で初の実写映画化。人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が視える孤独な高校生・四月一日(わたぬき)役に神木隆之介、同級生のひまわりを『Diner ダイナー』を始め蜷川作品に常連の玉城ティナが演じる。今回は2人が体感した蜷川実花の世界観を生み出す秘密について聞いた。

世界観にフィットできるか、役になりきれるか。不安は監督が取り除いてくれた

──神木さんは蜷川実花作品に初出演となりますが、監督の印象は?

神木「監督独自の美しい世界を作る方なので、どんな個性をお持ちの方なんだろう、厳しい方なのかもしれないなと思っていたんですが、実花さんはとても優しくて常に笑顔で周りを明るくしてくださる方でした。実はオファーをいただいたとき、僕が実花さんの世界に入り込めるか不安だったんです。僕は個性もないし普通の人間なので、こんなに美しい蜷川監督の作り出す世界にフィットできるのだろうかって。でも、それは実花さんが判断することだから委ねようと。劇場で観る方がどう感じるのか楽しみです」

──玉城さんは前作『Diner ダイナー』から続いての出演ですが、神木さんにアドバイスしたことは?

玉城「いえいえ、私は『xxxHOLiC』が実写化されると聞いて、四月一日役は絶対に神木さんだと思っていました」

神木「本当に?(笑)」

玉城「現場に入るときも、神木さんと柴咲コウさんなら絶対に大丈夫だと勝手に安心してました。私のひまわりという役は、これまで演じたことがないくらいまっすぐで可愛らしいキャラクターで、少し不安もあったけど、実花さんは常に味方でいてくれて。蜷川組の雰囲気もすごくファミリー感がある現場だったので、楽しんで演じることができました」

神木「今作の四月一日は原作より暗い雰囲気なんですね。ヴィジュアルの面で少しでも原作に近づけたらと思って、前髪の目のかかり方は特にこだわりました。メイクさんにアイロンを借りて、目が見え隠れするくらいに前髪を自分で調整して。メイクさんがすごく優しい方で、役のことをいちばん考えているのは僕だから、自分でやってみてはと提案してくださったんです。これは初めての挑戦でした」

玉城「私も、原作のひまわりにどれだけ寄せられるかは大事にしました。制服のデザインが可愛くてサイズも完璧だったし、ヘアメイクの力もあってどうにか近づけたかなと。やっぱり実花さんの作品は、衣装やヘアメイクが素晴らしいので役に入り込みやすいんです」

──蜷川監督から、役作りについてどんな指示がありましたか。

玉城「『ひまわりは可愛らしくあってほしいから、普段のティナの10倍明るく、10倍笑顔で』と言われました。蜷川監督は役者の力を引き出してくれる方なので、キャラクターの擦り合わせが済んだらこちらに任せてくれるんです。信頼していただけるとうれしくて。演じるときは普段より声を高く、話すときは顔を相手に向けるという、可愛い子の基本的な動きを意識しました」

神木「僕も台本(ほん)読みのときに監督から指示をもらったはずなんだけど、覚えてないくらい褒めてくださって。撮影中にひたすら褒められたことしか覚えてません(笑)。そういえば、台本読みのときは、玉城さんとは仲良くなれないかもしれない、何も話さないで終わるんだろうなと思っていて」

玉城「私もそう思ってました(笑)」

「ストレスになるくらい話しかけてみようと」「うれしかったですよ」

──2人が打ち解けたきっかけは?

玉城「神木さんは“コミュニケーションおばけ”なんです」

神木「僕の中で、高校生役チームの呼び名を、玉城さんは『ティー』、松村(北斗)君は『まっちゃん』と決めてからは、話しかけやすくなりました。まっちゃんは僕と一緒にふざけてくれる人で、ティーには台本読みの段階で嫌われていると思っていたので、逆にストレスに感じるくらい話しかけてやろうと。そしたら意外と話せる人で(笑)」

玉城「話しかけてくれてうれしかったですよ。台本読みのときは緊張してたんです。私は人見知りなところがあって無言で座っていると怖そうに見えるらしくて。こんなに気を遣わせてしまって申し訳なかったけど、気楽に過ごせました」

神木「早い段階でウザがってくれたんで、僕がしつこく話しかける人、ウザがるティーっていう構図ができたのもよかったかも(笑)」

──共演者も高校生チームの松村北斗さんを始め、柴咲コウさん、吉岡里帆さん、磯村勇斗さんと多彩ですが、印象に残ったエピソードは?

神木「吉岡里帆に厚底靴で踏まれました! 最初、吉岡さんは遠慮していたので、僕から思いっきりやってくださいとお願いしたら、鎖骨のところにガツっと」

玉城「吉岡さんはアクションが大変そうでしたよね」

神木「吉岡さん演じる女郎蜘蛛役には“セクシー所作指導”がいて、芝居をしながら歩き方、振り返り方、そのときの手の位置、指の角度までディレクションしてもらっていて。大変そうでしたけど、新しい吉岡里帆が見られると思います」

玉城「私は、四月一日、百目鬼(どうめき)、ひまわりの3人でお昼を食べるシーンが印象に残っています。学校での撮影が多かったので普通の学園ドラマを撮ってるような気分だったんですけど、やっぱり蜷川作品らしい特別なものがありました」

──楽しい現場だったのが伝わってきます。このファミリー感は蜷川組ならではなんでしょうか。

玉城「いろんなスタイルの監督さんがいらっしゃいますけど、蜷川組は前作から続いて参加しているスタッフの方も多くて、なにより実花さんに話しかけやすい雰囲気があるので、みんなが監督の周りに集まっていくんですね。実花さんが迷うことがあれば、みんなに相談してくれて意見を聞いてくれるんです。独自の世界観を成立させながら、みんなの意見を尊重してくれる監督は珍しいかもしれませんね」

神木「撮影監督の相馬(大輔)さんも面白い人でしたよね。相馬さんとは『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』で一緒だったんですけど、カメラアングルでふざけて僕らを笑わせてくるんですよ。僕らもそれに乗っかって芝居したりして。撮影監督って、画角や画面構成を決めて、それをもとに照明部、美術部のスタッフに指示をするんですけど、その人が面白いと現場が明るくなります」

色気を出すなら、頭で考えないこと

──この作品では、妖艶な雰囲気のシーンもありましたが、色気については意識しましたか。

神木「妖艶といえば、僕の周りでは佐藤健が担当しているので、よく、その色気はどうやって出すのかと聞いてるんですけど、『知りません、そう考えているうちは色気は出ません』と言われて。今回、原作がとても美しいし、実花さんが追い求めているのは美しさ、儚さ、妖艶さだろうから、不安だったんです。僕にはない要素なので。でも、頭で考えても変なことになりそうだから、芝居をして監督がOKならいいのかなっていうのを基準に。今でも知りたいですよ。妖艶さってどうやって出すんですか」

玉城「色気を出そうと意識すると、従来の“色気”になっちゃうし、その人に馴染んでない感じが出てしまうかも。私ならモノマネから入ります。この人は色気があるなと思ったら、手振り身振り、話し方を真似してみる。昔に観た映画の女優さんの仕草を再現してみたり」

神木「次に色気が必要な作品に出るときは、佐藤健を真似してみます」

──劇中では「ミセ」の女主人、侑子(柴咲コウ)がいちばん大切なものと引き換えに願いを叶えてくれますが、いま叶えたい願いは?

神木「身長です! 小さい頃から177cmになりたかったんです。身長のためなら、なんでも差し出しますよ。なんなら僕の名前でも」

玉城「私は何も差し出したくないなぁ。叶えたい願いも、今は特にないかもしれません。どこでもドアがあればいいなというくらい」

──この作品は劇場で非日常の体験をすることができますが、非日常を求めるときにすることは?

玉城「いちばん手軽に、日常の自分から外れることができるのは、映画を観たり本を読むことですよね。本は好きでよく読むのですが、誰かの人生に迷い込んでしまったような、身近な題材の小説やエッセイが好きです。本を読みながら筆者の世界の見方を知ることができるような気がして。それに旅行も好きなので、コロナ以前はいろんな場所を旅していたんですけど、収束したらオランダかベルギーに行きたいです」

神木「旅行いいですね。僕は鳥取砂丘に行って、アラブの石油王のコスプレで写真を撮りたい」

玉城「ドバイじゃダメなんですか?」

神木「鳥取砂丘がいいんです。それと期待しているのは、AR、VRです。拡張世界と仮想空間がこれからどう進化していくかが重要になってくるんじゃないかなと。VRゴーグルは持ってるんですけど、三半規管が弱くてすぐに酔っちゃって。でも、ARと現実世界を組み合わせたりして、酔わないように進化するでしょうね。将来的には日常になるかもしれませんけど、いま非日常を味わうなら、ゲーム、VR、ARです」

<衣装>神木隆之介 ブルゾン¥39,600/CULLNI シャツ¥19,800 パンツ¥19,800/ともにmeagratia(すべてシアン ピーアール 03-6662-5525)  玉城ティナ ブラウス¥199,100 パンツ¥162,800/ともにLANVIN (コロネット 03-5216-6518) リング(左手)¥132,000、(右手)¥26,400 ブレスレット¥682,000/すべてGIGI(ホワイトオフィス 03-5545-5164)

『ホリック xxxHOLiC』

“アヤカシ”が視える能力を捨てて普通の生活を送りたいと願う高校生・四月一日君尋(わたぬききみひろ)(神木隆之介)は、ある日、蝶に導かれて不思議な【ミセ】にたどり着く。女主人・壱原侑子(柴咲コウ)は、“いちばん大切なもの”を対価に願いを叶えてくれるというが、四月一日は差し出すものがわからない。クールでミステリアスな同級生・百目鬼静(どうめきしずか)(松村北斗)、謎を秘めた美少女・九軒(くのぎ)ひまわりとともに、大切なものを探すが、女郎蜘蛛(吉岡里帆)やアカグモ(磯村勇斗)が、四月一日を闇の世界へ引き摺り込もうとする……。

監督/蜷川実花
出演/神木隆之介、柴咲コウ/松村北斗、玉城ティナ/趣里/DAOKO、 モトーラ世理奈
磯村勇斗、吉岡里帆
原作/CLAMP『xxxHOLiC』(講談社『ヤングマガジン』連載)
4月29日(金)より、全国公開中
https://xxxholic-movie.asmik-ace.co.jp/

Photos:Ayako Masunaga Styling:Tetsuro Nagase(UM)(Ryunosuke Kamiki), Mayu Suzuki(Tina Tamashiro) Hair & Makeup:MIZUHO(VITAMINS)(Ryunosuke Kamiki), Takako Imai(Tina Tamashiro) Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Michie Mito, Sayaka ito

Profile

神木隆之介Ryunosuke Kamiki 1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。95年、2歳でCMデビュー。2005年、12歳のとき『妖怪大戦争』で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。主な出演作に『桐島、部活やめるってよ』『るろうに剣心』シリーズ、『バクマン。』『TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ』『君の名は。』(声の出演)、『三月のライオン 前編・後編』『フォルトゥナの瞳』『屍人荘の殺人』『ノイズ』など。公開待機作に『GHOSTBOOK おばけずかん』(2022年7月22日公開予定)がある 。また2023年前期、NHK連続テレビ小説『らんまん』の主演が決定している。
玉城ティナTina Tamashiro 1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳で講談社『ViVi』の最年少専属モデルとなる。2014年ドラマ『ダークシステム恋の王座決定戦』で俳優デビュー。映画デビュー作は『天の茶助』(2015年)。2019年に『Diner ダイナー』『チワワちゃん』『惡の華』、主演作『地獄少女』に出演。第44回報知映画賞新人賞を受賞。その他の出演作に『AI崩壊』、Netflixオリジナルシリーズ『FOLLOWERS』など。公開待機作に『極主夫道 ザ・シネマ』(2022年6月3日公開予定)がある。

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