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People Interview
風船を自在に操るアーティスト「デイジーバルーン」

数年前、フジロックでビョークの風船ドレスを手がけたことで一躍有名になったバルーンアートユニット「デイジーバルーン(Daisy Balloon)」。バルーンの常識に挑戦しながら作品を生み出す彼らにインタビュー。

Interview & Text:Etsuko Soeda
Edit:Masumi Sasaki

“DNA Dress” Fuji Rock Festival ’13  2013 DAISY BALLOON | Björk (Photo: Kenji Kubo)
2013年フジロックフェスティバル、日本科学未来館でのライブのビョークのステージ衣装 Björk「DNA Dress」

バルーンアーティスト細貝里枝とアートディレクターでグラフィックデザイナーの河田孝志からなるユニット「デイジーバルーン」が、4月19日より松屋銀座で開催される「ロジェ ヴィヴィエ」のイベントに参加。そこで、今回、「ロジェ ヴィヴィエ」のコレクションをフィーチャーした、ファンタジックなバルーンアートを披露してくれた。その制作エピソードとともに、デイジーバルーンのクリエイションの世界を覗く。

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Numero.jpだけで展開中の「ロジェ ヴィヴィエ×デイジーバルーン」のコラボレーションビジュアル。(Photos:Shinmei)

対峙する2つの世界

──Numero.jpのために制作してくださった美しい作品。モノトーンの世界、カラーの世界で、それぞれどんなことを表現されているのでしょうか。

河田(以下、K)「モノトーンは思考の世界と捉え、カラーを外的な世界として考えました。自分たちを軸にして、その内側と外側の世界を作るような展開にしました」

──モノトーン作品のなかで、食虫花のような植物がモチーフとして出てきますが、その発想はどこから?

細貝(以下、H)「ロジェ ヴィヴィエのバッグの模様を見せていただいた時、その色味にどこか毒々しさがあると感じました。毒々しさって、普通の花の美しさとは違う魅力があると思います。本来花は水を吸って生きるものですが、虫を食べて生きるという食虫植物なら、そういった毒々しさが表現できるのではと着想しました」

K「内的な世界にはコントロールしようとする力が存在すると思うんです。人間(思考)には、自身をコントロールしようとする精神があると思うので、それを食虫花にたとえ、何かを狙うように対象物にしつこく近寄ってくるような精神性をビジュアルで作りたかったんです」

──なぜ内的な世界をモノトーンで表現されたのでしょうか。

K「思考は光として、空間や年代や時間すらも飛び越えられるので、色がなく無機質なものだと思います。そこでモノトーンで表現しようということに至りました」

──河田さんのコンセプトを細貝さんがバルーンで造形でしていくんですね。

H「はい、河田とイメージを共有して、私がバルーンを形成していきます」

K「内的なその世界を表現するためにバルーンを編み込む技術を用いました。編み込みでいろんな形状を形成し、その編み込みの変化によって曲線を表現し相手に対して近寄っていくというか、コントロールしていく感覚なんです」

──それに対してカラーの作品では、外的な世界を表現したと。

K「外的な世界は輝いていて色であふれています。自然界には有機的なものがたくさん存在しているので、そういう世界を表現したかったんです」

H「有機的な世界は粒子(バブル)で表現しました。バルーンを細かく連続的に粒子状にひねり感覚的に曲げていく作業は、コントロールしにくく、形状を形成しにくいのですが、この作り方で表現することを選びました」

K「実際に自然物をコントロールすることは難しい。その存在自体を受け入れ、感じることが重要だと思います」

時代の流れを逆算するブランド精神に共感

──今回の作品はどういうプロセスで作り上げていったのでしょうか。ある程度イメージを作り上げ、最終的に組み合わせていく感じですか。例えば設計図などを用意して作るのでしょうか。

H「設計図を必要とする作品もありますが、今回は感覚的なところで作りたいという思いが強かったので、数値などをあえて測らずに現場で直接、靴やバッグを絡めていきながら作りました。大体作ってきたものを、今日現場でそのものと合わせて微調整していくという感じでした」

K「作っている工程では実際どうなるかわからないので、出来上がったものに対して僕のイメージとの距離感があることも。そういった場合は作り直してもらうこともあります(笑)」

──特に重要だと感じたことは何でしょう。

K「『ロジェ ヴィヴィエ』の歴史を掘り下げていったとき、やはり映画『昼顔』に登場したミッドヒールがとても印象的でした。これまであまり認められてこなかったものがどんどん話題を呼んで注目されていったという経緯を知って、時代の流れをきちんと逆算しているのだなと。多角的な視点から、絞り込まれた領域へとフォーカスを当てる発想がすごく面白いし、先のことをすごく考えて展開されていて、そういう歴史に触れたことで、僕らもブランドのそういった精神に近寄れたらいいものが生まれるんじゃないかなと話していました。今日の撮影では靴やバッグとバルーンが組み合わさったとき、その精神に近寄れたという瞬間がいくつかありました」

時代の流れを逆算するブランド精神に共感

Profile

DAISY BALLOON (デイジーバルーン) バルーンアーティスト細貝里枝(左)とアートディレクター、グラフィックデザイナーの河田孝志(右)からなるアーティストユニット。2008年結成。以来、「感覚と質」をテーマに掲げ、バルーンで構成された数々の作品を制作。なかでもバルーンドレスは、繊細さが細部まで行き渡った建築物を思わせ、多くの人々を魅了している。また、哲学的テーマを探求して、物や人とディスカッションすることをフィールドワークとしているが、その眼差しは常に、他者との本質的な融合に向けられている。www.daisyballoon.com

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