どんなメイクも自由自在!世界が注目するPONYとは
PONYが配信するメイク動画とSNSは、世界中の女性を惹きつけてやまない。それは、彼女が「メイクで変われる!」ことを証明してくれているから。丁寧なメイクアップの手ほどきで明日から違う女性に変身できる…という魔法を教えてくれるPONY。好きを追求して“時代の顔”となった、彼女の知られざる心の中まで覗いてみた。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年12月号掲載)
“好き”が自己実現の手段に
自身が立ち上げたYouTubeチャンネル「PONY Syndrome」の登録者数は470万人、インスタグラムのフォロワー数は590万人。メイクアップアーティストとして、世界中の人々に影響を与え続けている。どうセルフプロデュースし“なりたい自分”を実現してきたか、その秘密に迫る。
──大学卒業後はグラフィックデザイナーをされていたという情報がありますが、メイクアップアーティストになったきっかけは?
「もともとメイクが趣味でした。なんとなくアップしたムービーがメディアの方の目に留まって、本格的にメイクの道へ進むことになりました」
──メイクを学んだのは独学?
「はい、そうです。でもグラフィックと同様に、メイクアップも顔に絵を描くアート。それまでに学んできたことと実はとても近かったんです。そして何より、学生時代からメイクが好きで、いろいろな方法を試してきた経験がありましたから」
──高校3年生の頃には、すでにSNSでメイクアップのやり方を発信されていたそうですね。
「最初にやっていたのは、日本のmixiのような感じで、主に知人同士で情報交換し合うものでした。友達の間でメイクを見せ合って遊んでいたんですが、あるとき、それをたまたま見た見ず知らずの方に『勉強になりました』と言っていただいて。それでますます、HOW TOの紹介に熱が入るようになっていきました。最初は動画ではなくてコマ割りの写真で説明していたんですよ」
──「PONY Syndrome」を立ち上げたのはいつ頃ですか?
「3年ぐらい前です。チャンネルを立ち上げる前は、ある会社とチームを組んでメイク動画を製作していました。チームで学んだこともとても大きかったのですが、当然ながら自分の意思だけでは決定できないことも多かった。一度、自分のやりたいように動いてみたくて『PONY Syndrome』を立ち上げました。最初はとにかく挑戦の日々でしたね。当時、メイクのジャンルのYouTube動画は珍しくて、自分がその第一世代だったんじゃないかと思います」
(左)ハート型に入れたチーク“Heart Blush”のメイク。
(右)赤みベージュのうるおいリップ×黒のアイライナーを主役にしたメイク。
──「PONY Syndrome」でモットーにしていることは?
「世の中に類似したものはたくさんありますから、他にない唯一のものであること。そして、クオリティが高いものであることを目指しています。チャンネルを持ちたいと思った瞬間から『やるからにはナンバーワンになろう』という思いでやってきました。自分の感覚を信じて、ただ素直に私らしいものを作る、というシンプルなことをひたすら続けてきました。それから『世界の人に見ていただけるものにしたい』と、初めから意識していましたね。私は韓国人ですから、韓国の方に気に入っていただけるもののほうが作りやすいのですが、あえて、どんな反応があるかわからない世界に向けて発信してみたいなと。最初の頃は今よりずっと怖いもの知らずでしたから(笑)」
(左)今っぽい血色感と程よいモード感のある赤みアイシャドウは、PONYが好むメイク。
(右)クールな印象のボブヘアには、眉を太めに描いてどことなくボーイッシュに。
(すべてPONYのInstagramより)
大切なのは自分を信じること
──映像を作る際、どんなことがアイデアソースになっていますか?
「いろんな国の方が寄せてくださるコメントを読んで、次のネタに落とし込みます。例えば『私の国はすごく暑くて、メイクをしても溶けてしまうから、落ちにくいメイクを教えて』とか、『卒業パーティがあるから、華やかな顔を演出する方法を知りたい』など、ユーザーの具体的な意見がとても参考になる。いただいたコメントには全て目を通しています」
──一人放送局状態ですね(笑)。PONYさんにとって、美しい女性とはどんな人ですか?
「髪をキレイにしていたり、メイクアップが上手だったり……そういう外面的なことよりも、自分に自信を持っている人に魅力を感じますね」
──メイクアップで世界中を魅了しているあなたから“メイクよりも内面”と言われるとは意外です!
「自分を信じていなかったら、メイクの魔法は威力を発揮してくれません。どんなにお化粧で取り繕ったとしても、メンタルの強さがなかったら美しく輝けないと思うんです」
──今まで配信した動画の中で、いちばん反響があったのは?
「テイラー・スウィフトをテーマにしたメイクのムービーです。閲覧数が多い作品のときは、撮りながら『これは人気が出るかも!』と予感することが多いのですが、テイラーのときはそんなこともなくて(笑)。誰もが日常的に取り入れられるようなメイクではないですし、たまにはこういうのもいいかな?ぐらいの気持ちで作っていたんです。ところが、いざアップしてみたら大好評で。名前も知らなかった国の人が見てくださったり、びっくりするような地域の放送局からインタビューが来たりして、とても感動しました」
夢は全部、叶えたかもしれない
──いま、抱いている夢は?
「昔は自分のコスメを出したいとか、海外進出したいとか、願望も欲望もたくさんあったのですが、ふと立ち止まってみたら『思い描いていた夢は全部叶ったのかもしれない』って。こんなことを言うと引いてしまう方がいるかもしれませんが、それが現在の正直な気持ちです。だから今は次の目標を模索しているところ。これまでは怖いものなしで、ただ楽しいからメイクをして動画を作ってきましたが、この先はもうちょっと悩みながら未来を考えていく……そういう期間になるのかなと。人生がいくつかの章で構成されているとしたら、ちょうど第一章が終わったところなのかもしれません。挑戦することに終わりはないと思っているので、走りながら“次”を考えようと思います」
──最近、気になっているビューティメソッドはありますか?
「スックで顔筋マッサージを習いまして。実は私の母はエステティシャンで、フェイシャルマッサージはずっと気になっていたんですが、やり方を教えてもらったことはなかったんです。スックの方のレクチャーを受けながら、セルフマッサージしているところを撮影させてもらったんですよ。おかげで、動画を見ながら何度も練習することができました。マッサージすると血行が良くなって肌の色がパッと明るくなる。すぐ効果を感じるのでやりがいがあります」
──美容のために日頃から気をつけていることは?
「ストレスを溜めると肌トラブルのもとになるので、いかにストレスを溜めないようにするかを最優先にしています。魚由来のコラーゲンサプリを摂ったりと、インナーケアもしますが、普段食べるものにはそんなに気を使いませんね。おいしいものを感謝していただき、その瞬間、瞬間を楽しむことを心がけています」
──PONYさんにとってメイクとは?
「魔法のポーション(媚薬)。メイクすることで、エナジーが湧いてくるんです!」
セルフメイクの達人、PONYおすすめコスメBEST3
Photos : Sasu Tei Hair : Hori Makeup : Herself Styling : Aika Kiyohara Edit & Text : Hisako Yamazaki Interview & Text : Chihiro Horie