[ALEXANDROS]インタビュー「NYでの日々の生活から生まれた音と詞」 | Numero TOKYO
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[ALEXANDROS]インタビュー「NYでの日々の生活から生まれた音と詞」

11月21日にニューアルバム『Sleepless in Brooklyn』をリリースする、ロックバンド[ALEXANDROS](アレキサンドロス)。半年間ニューヨークで滞在制作、レコーディングを行ったという最新作の話題から、ニューヨークでの日々の出来事をインタビュー。さらに話題は、今作にちなんだ、ニューヨーク名物ストリート・ベンダーをモチーフにしたフードプロジェクト「Snack Time!」とのコラボ企画まで及んだ。

左から時計回りに、川上洋平(Vo&G)、磯部寛之 (B&Cho)、白井眞輝(G)、庄村聡泰(D)
左から時計回りに、川上洋平(Vo&G)、磯部寛之 (B&Cho)、白井眞輝(G)、庄村聡泰(D)
飛ぶ鳥落とす勢いで日本の音楽界のトップへと登りつめた、川上洋平(Vo/Gt)、磯部寛之(Ba/Cho)、白井眞輝(Gt)、庄村聡泰(Dr)による4ピースバンド[ALEXANDROS](アレキサンドロス)。2018年11月21日には、ニューアルバム『Sleepless in Brooklyn』をリリースする。今作は、最初の曲づくりの段階からレコーディングまで、半年ほどニューヨークに滞在して作られたという。また、ニューヨークにちなんで、ストリート・ベンダーをモチーフにしたフードプロジェクト「Snack Time!」とのコラボレーション企画『Snack Time! feat.[ALEXANDROS]』が開催される。最新作『Sleepless in Brooklyn』の制作エピソードから、ニューヨークでの日々の生活、さらにコラボフードイベントまで、[ALEXANDROS]のメンバーにたずねた。

──新作アルバム『Sleepless in Brooklyn』がリリースされますが、その作品制作の場所が今回はニューヨークだったとか。

川上「今回は曲作りの根本からニューヨークで始めるという感じにしたので、メンバー4人だけでブルックリンとニュージャージーの方に約半年間滞在しました」

──過去にメンバーで一緒に住んでいたこともありましたよね?

川上「就職した時に、拠点を一緒にするという事で、6年間、メンバー4人で住んでました。デビューしてからもしばらく住んでいたので、今回のニューヨークはその時期に戻ったような感覚でしたね」

──ブルックリンではどの辺りに滞在してましたか?

川上「ブルックリンといってもウィリアムズバーグみたいなイケてる場所ではなく、南の方で、観光地でもなかったので、ローカルな感じがとても楽しめました」

──アルバム名『Sleepless in Brooklyn』の由来を教えてください。

川上「僕は映画が好きで、メグ・ライアンの1993年の映画で『めぐり逢えたら』の最後に、トム・ハンクスとメグ・ライアンがエンパイア・ステート・ビルでめぐり逢うというシーンがあって、僕らもニューヨークに住んでいた事もあり、なんとなくそれと重なったんですよね。それに、半年の間にもライブがあったりして日本と行ったり来たりで、その時はひどい時差ぼけでフワっとしていた中で曲作りをしていた事もあって、その言葉が一番しっくりきたんです」

──今作で、大変だった思い出は?

川上「エンジニアやプロデューサー、スタッフも含めて全員外国人だったので言語の部分だったり、あとは、歌詞で悩んだり、日本に帰らないといけないという制作のタイムリミットがあったりもしましたが、特に大変という感じではなく、とても刺激的で楽しかったんですよね」

──ニュージャージーではどのような生活をされていたのでしょう。

川上「ニュージャージーの時もシェアハウスみたいな家だったのですが、僕はメンバーとの部屋決めじゃんけんに負けて、4畳くらいの子供部屋に住んでましたね。コンセントが一つしかないのでクーラーとPCを交互に入れ換えたり、アリと格闘しながら曲を作ってました(笑)。でも、そこも含めてなかなか経験できない事だったので、とても楽しかったです。ご飯も美味しかったし、生活の面でもスーパーマーケットに行って自炊する感じでした。デビューして8年、日本でずっと同じサイクルで生活していた事もあると思うのですが、とにかくすべてが刺激的でしたね」

──自炊されていたとの事で、メンバーでは誰が料理が得意なんですか?

川上「ヒロ(磯部)とまーくん(白井)ですかね」

磯部「でも、皆で食べるというよりは各自で作るという感じでした。プライベートで行きたい所も各自違ったので、たまに一緒にライブを観に行ったり、飲みに行ったりもしましたが、基本はバラバラの行動でしたよ」

曲はニューヨークでの生活から生まれる

──みなさんそれぞれの印象的だった出来事を教えてください。

川上「特にないんです。ただ暮らしているだけでも、コインランドリーで近所のオバさんと仲良くなったとか、日本では絶対できない体験ですからね。それに、超一流のアーティストのライブも毎晩やっていたので、『ブルー・ノート』や『バークレイセンター』に連日行ったり。何もやっていないのですが、そんな事を毎日繰り返しているだけでも刺激的でした」

磯部「僕も、特別変わった事はしてないです。洋平(川上)が言った通り、住んでいるうちにという感じですね。ブルックリンに良いアイリッシュバーがあって、よく通っていたのですが、そこの常連さんと仲良くなって一緒に次のバーに飲みに行ったり。それって日本でもある事なんですけれどね、ただ、人も違えば、カルチャーも違うので、そういう部分はすごく楽しかったですね。あとは、チップの計算が酔っててもできるようになったとか(笑)。小さなことすごく刺激的で面白かったです」

庄村「僕は、ニュージャージー最終日の前日がオフだったので、一人で遊園地に行って来ました。ジェットコースターがすごく好きで、その遊園地に瞬間加速度が世界一の「キンダカ(Kingda Ka)」というジェットコースターがあるのですが、それに乗りたかったんです。わりと一人でも遊園地でワーってなれる方なもので(笑)。あとは、小さなライブハウスでデスメタルのバンドのライブに行ったり。でも、そういう所に一人で行くと話し掛けられるんですよね。話している中で「ここが好きなら、こういう所にも行った方がいいよ!」とか、そういう情報を教えてくれたり。東京では観られないアーティストのライブとか、クラブに行けたのが楽しかったことですね」

川上「本当に素晴しいライブが毎日やっていんですよ!しかも、大体夜遅くからスタートなので、スタジオワークが夜8時とか9時に終わっても全然間に合うんです。それは良いですよね」

──白井さんが思い出深かった出来事は

白井「独立記念日を体験できたのが良かったかな。街中がお祭り騒ぎで、酔っぱらいのヤバいヤツらがいるイメージだったのですが、いたのがニュージャージーだった事もあるのか、思ったよりも騒いでもいなく、意外と静かでしたね。これがインディペンデンスデイなのか!って感じでした」

磯部「タイムズスクエアとか行ったら、大騒ぎな感じだったのかもしれないけれどね」

川上「僕らアズベリー・パークという、ブルース・スプリングスティーンが生まれた街にいたのですが、独立記念日を祝日として粛々と……という程ではないのですが、そういうお祝いの仕方をしている人が多かったというか。これが本来のお祝いの方法なのかなと思いました」

──ニューヨークでの生活が今作に反映されてますか?例えば、「FISH TACOS PARTY」のように、ニューヨーク的な食べ物の名前の曲もありますが。

川上「していますね。「FISH TACOS PARTY」は、まさにスタジオでフィッシュタコスを食べている時に作ったんです(笑)。ヴァンダービルト・アベニューという通りにスタジオがあって、そこは色んな国の料理が混在している場所で、毎日違う国の料理を食べられたんですよ。中でも印象的だったのがフィッシュタコス。手伝いに来てくれていたベジタリアンのスタッフが教えてくれたのですが、僕はタコスってミートしかないと思っていて、それが魚もある!って。曲の中身とはリンクしていないので、もちろん最初は仮タイトルでしたが、僕たちにとっては思い入れもあったので、結局そのままタイトルにしました」

食はバランスを保つのに重要なファクター

──食事といえば、ニューヨークでは、フードカートというか、ストリートベンダーはよく使っていたのでしょうか?

川上「そうですね。シャワルマもそうですし、ケバブとかも食べてました。安いし、美味しいし、その場でパっと食べられる感じがいいんですよね」

──今回コラボレーションされるフードプロジェクト「Snack Time!」のシャワルマに再会されたのもそこででしょうか?

川上「はい。幼少時代に中東の方に住んでいた事もあって、その時はシャワルマばかり食べていましたね。シャワルマは、ハラルフードの中でもファストフード的な感じで食べられる料理で、ピタパンに肉と野菜が入ってラップされているから、ケバブより食べやすいんです。それがアメリカだと食べられるなんて!と思って、さっそくメンバーにも食べてもらいました(笑)」

磯部「『これ!小さい頃に食べて以来だよ!!』という感じで、ちょっと興奮して紹介されましたよ(笑)。でも、結構美味しくて、スタジオにいる間はかなり食べていましたね」

川上「サワークリームが入ってて、酸っぱい感じが美味しいんですよ。アメリカだと料理は肉中心になるし、肉も食べ過ぎると良くないし、野菜が沢山あるお店は結構高いし……そう考えると、健康に気を使っている料理がハラルフードだったんですよね」

──食事には気を使われているんですね。

川上「僕らの中で食はすごく重要なんです。ダルいとか、精神的に弱っている時には、美味しいご飯を食べてバランスを保つというか、復活させるんですよ」

磯部「僕ら、リフレッシュタイムとしてご飯を楽しむ方なんです」

──「Snack Time!」では、シェフの谷口佳典さんにシャワルマを作って頂いたとのことですが、どのように企画を進められたのでしょうか?

川上「谷口さんが住んでいたフランスのシャワルマと、僕たちが食べていたニューヨークのシャワルマを、ちょうど食べやすいサイズ感だったり、試食しながらいろいろと話し合って、今回のコラボのシャワルマが出来上がったという感じです」

──ニューヨークと東京にいる時との違いはありますか?

川上「全てが最先端なんですよ。だから、曲作りするには刺激があってとてもいい所ですよね。それに、”人種の坩堝(メルティング・ポット)”と言われてますが、意外と違う国同士の人が対立し合っていて、溶け込んでない感じが面白い。例えば、それぞれの出身の地区があって、結構別れているんですよ。10分歩けば街や人の雰囲気ががらっと変わるし。だから、世界の縮図的な人種の坩堝なんだなと思いました」

──それは住まないと分からない感覚ですね。

川上「あとは、やはりミュージシャンがみんな上手だし、カッコイイ。最初、日本から着いたばかりの時は、自分と比較してヘコみましたね。でも、彼らのカッコよさをリアルに学べたし、それが糧にもなりました。だから、どんどん学んでいきたいです。半年では全然足りない。でも、住むには日本がいいですよ。映画も最新作をやっているので(笑)」


新作『Sleepless in Brooklyn』の発売に先立って、公開されたアルバム収録の新曲「アルペジオ」(PlayStation®4 用ソフト「JUDGE EYES:死神の遺言」主題歌) のMVには、木村拓哉がサプライズ出演!

[ALEXANDROS]『Sleepless in Brooklyn』

通常盤¥3,000(ユニバーサル)
発売日/2018年11月21日
URL/https://alexandros.jp/

[ALEXANDROS]とのコラボフードイベント「Snack Time!」はこちら

Photos:Kohey Kanno Interview&Text:Hideshi Kaneko Edit:Masumi Sasaki

Profile

アレキサンドロス([ALEXANDROS]) 川上洋平(Vo&G)、磯部寛之 (B&Cho)、白井眞輝 (G)、庄村聡泰(D)からなる4人組ロックバンド。2007年より本格的に活動を開始。2015年よりユニバーサルミュージックとグローバル契約を結び、アルバム「EXIST!」はオリコンウィークリーチャートで初登場1位を獲得する。国内のロックフェスティバルに数多く出演しヘッドライナーを務め、TVドラマや映画・CMなど多岐にわたる楽曲提供を行うなど、幅広い層に支持されている。11月21日にはニューアルバム『Sleepless in Brooklyn』リリース。12月からは最大規模となるライブハウス&アリーナツアーを行うなど、目が離せない注目 のロックバンドである。https://alexandros.jp

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