アニー・リーボヴィッツ 来日インタビュー「97年に撮影した母のポートレイトが基準」 | Numero TOKYO - Part 2
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アニー・リーボヴィッツ 来日インタビュー「97年に撮影した母のポートレイトが基準」

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ローリング・ストーン誌のフォトグラファーとしてキャリアをスタートさせ、45年以上に渡って時代を記録してきた写真家アニー・リーボヴィッツ。この度、UBSを独占コミッショニングパートナーとする新作肖像画「Women:New Portraits」の世界巡回展にあたり、来日を果たした。彼女の写真家としての信念、世界的に有名なあのポートレイト作品の裏話について語ってくれた。<「WOMEN: NEW Portraits」東京展はこちら>
被写体が『何をやっている人か』が重要
──被写体として、選ばれる基準はどこにありますか?
「ポートレイトを撮影する際、私は被写体が『何をやっている人か』に興味があります。つまり、女優なのか、社会活動か、政治家、職業だけでなくなにに取り組み、何を成し遂げているかということです。尊敬できる人を撮影したいと強く思っています」
──ご自身の作品の中で一番好きな作品について教えてください。
「よく聞かれる質問なのですが、とても回答するのが難しい質問です。一つには絞りきれないものです。ただ一つあげるとしたら、1997年に撮影した母のポートレイトの写真と答えます。この写真を見て、カメラがなかったら同じように真正面から見つめてくれていたのかと疑問に抱くときがあります。人と対面しているとき、いつも真正面から相手を見ているとは限りません。私はポートレイトの撮影の際には、このときのような撮影をできているだろうかと考えることがあります」
(左)アニー・リーボヴィッツ本人と娘たち、母親のポートレイト (右)雑誌「Rolling Stone」の表紙を飾ったジョン・レノン×ヨーコのポートレイト
──ジョン・レノンとオノ・ヨーコの作品は世界中で有名ですね。
「私が撮影した中で一番有名な一枚といえるでしょう。このカットを彼らの自宅で撮影した数時間後に、ジョン・レノンが殺害されてしまうわけです。この撮影をする何年も前に、彼らの撮影をしたことがあったのですが、若い私のことを二人が面白がってくれており、再び撮影する機会が巡ってきたのです。もともとはジョンのポートレイトを撮影する予定でしたが、ジョンはヨーコと二人での撮影を望みました。ジョンとヨーコの共作であるダブル・ファンタジーが発売される頃でしたので、なにか特別なことをできれば…とジョンと相談し、あの写真が生まれたのです。展示ではその数ヶ月後に撮影をしたヨーコのポートレイトを並べています。ヨーコとは、その後も親交を持っていますが、アーティストとしても女性としても世界中で影響力をもち尊敬を集めている方だと思います」

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