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might×崎山蒼志「girl meets … 」 連載第3回「疑いを持つということ」
アーティストとイラストレーターが融合したアートレーターを名乗るmight(マイト)のコラボ連載「girl meets ...」。第1回、第2回に引き続き、シンガー・ソングライター崎山蒼志が登場。 mightが描き、崎山蒼志が言葉を紡ぐ……今回が二人のコラボレーションの最終回。
©️ might
疑いを持つということ
疑いを持つことも大切だと聞く。
確かにそれで拓かれる道があった。日々洪水のように押し寄せる情報の信憑性を問われる現代で、今まで蓄えてきた知識以外に手綱となるのは疑いであった。また、発想もひょんなことから湧き上がる疑問から生まれたりする。ただそうしたことに左右され、逸れたりしながらも拓かれた道脇に落とし物をしてきた気がしてならない。
たまに振り向けば、点滅を繰り返す街灯、もしくはヘッドライトに照らされて、その落とし物はこちらの視線を吸い込んだ。宝石に似た輝きで、どこかで欠いてしまった純粋さにも、かつての自分の”可能性”の生き別れのようにさえも見える。疑いを発端とした誤った判断による、浅はかな後悔だって路面には落書きとして残っていた。
幼い自分を惜しむ気持ちは今も確かに在り続ける。だが、もしこれまでの選択をしていなかったら、今の自分はいなかった。
道脇の落とし物が紙のように、静かに風で舞った。
Illustration:might
Text:Soushi Sakiyama
Edit:Sayaka Ito
Profile
mightマイト
アートレーター。自身の肩書きをアーティストとイラストレーターが融合したアートレーター(Artrator)と呼ぶ。シンガー・ソングライター、和ぬかによる楽曲「寄り酔い」のMVにてイラストを手がける。Twitter:@_______might
崎山蒼志Soushi Sakiyama
シンガー・ソングライター。2002年生まれ。2018年、高校1年生のときに配信シングル「夏至/五月雨」でインディーズデビュー。2021年1月、フルアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビュー。ニューアルバム『Face To Time Case』を2022年2月22日にリリース予定。sakiyamasoushi.com