デザイナーの意志が宿る服は、内なる自信を目覚めさせる特別な力がある。スタイルが言葉となり、個性や内面を雄弁に語る。今回リンジー・ウィクソンが10年ぶりに登場し、軽やかなポージングとともに、ポジティブなメッセージを放った。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年1・2月合併号掲載)

ストラップレスのジャンプスーツには、ボリューム感のあるトップを合わせて。光沢のあるサテンが溢れるように流れ、マックイーンらしい素材使いの妙が際立つ。柔らかさと芯の強さが交差し、媚びない美しさを演出してくれる。

まるでモノクロームのスクリーンから現れたような、クラシカルなルックはヴァレンティノから。ドット柄やフリルブラウスのフェミニンなムードを、テーラードジャケットのシャープなフォルムとキャスケットのマニッシュなエッセンスで引き締めて。

サラ・バートンが手掛けるジバンシィは、シルエットとカッティングを核とするメゾンの美学を表現し、ミニマルなデザインを再定義した。テーラードジャケットはミニドレスに昇華され、胸上と袖を削ぎ落とした大胆なフォルムとシェイプしたウエストの構築的なリズムが、モダンな印象を刻む。

舞台芸術へのオマージュを掲げたルイ・ヴィトンの2026年クルーズ コレクション。ウィメンズ アーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエールは、中世の壮麗さとグラムロックの華やかさの交錯を表現したという。タイムレスなニットドレスからは構築的に波打つレザースカートが覗き、その対比が反骨のスピリットを静かに宿す。

マリア・グラツィア・キウリにとって集大成となった、ディオール 2026年クルーズ コレクション。ローマで育った記憶や映画、劇場、芸術といった文化的背景が80体におよぶルックに込められた。ベストがドッキングされた男性的なジャケットにはチュールの柔らかなスカートが合わせられ、ジェンダーからの解放を象徴する。装うことでこそ、人は自由になれることを教えてくれた。

「Social Butterfly(社交の蝶)」をテーマにした、フェンディの2026年春夏プレコレクション。仕事にも遊びにも全力で、昼と夜を軽やかに行き来する女性の自由な精神が投影された。ポルカドット柄のドレスは、若い頃のシルヴィア・フェンディ自身が着用していたディスコドレスへのオマージュであり、自信と華やかさを纏わせてくれる。フェンディ ウーマンのように、どんな瞬間も自分らしく輝きたい。

艶やかな光を纏ったディープレッドのベルベットに、パフィーな襟をあしらった愛らしいトップ。そこにあえてデニムを合わせカジュアルダウンすることで、日常に溶け込むプレイフルな一着に。プラダのアイデンティティの一つであるユニフォーム調のスタイルは、クラシカルでありながら確かな個性を呼び込む、現代のワードローブ。

グッチが今回初めてショー会場に選んだのは、ブランドのアーカイブ収蔵拠点である“パラッツォ・セッティマンニ”。ルーツへの回帰と新たな出発を象徴する、彼らの挑戦的で意味深い決断だ。さまざまな時代のファッションが縦横に行き交うなか登場したドット柄のドレスは、ショルダーラインに大胆なリボンがあしらわれ、ブランドらしいグラマラスな遊び心とエレガンスの融合を体現した。

1950年代の映画に登場するヒロインたちの官能性とナポリのエレガントなテーラリングからインスピレーションを得たマックスマーラ。戦後の女性たちを表すように、快適でありながらも力強さを秘めたデザインに仕上げた。心地のよいニットは、ミニマルでありながら大胆なカッティングによりモードな緊張感を与える。時代が変わっても、女性の美しさと強さは揺るがない。

シャネルの2026年クルーズ コレクションは、イタリアのコモ湖を望むホテルを舞台に、モードとリゾートが交差する瞬間を映し出した。ボーダーに配されたスパンコールのセットアップは艶めく夜の湖畔に映え、フレアパンツのシルエットと調和して官能的な余韻を残す。アクセントとなるカメリアをかたどったブローチを添えて、メゾンが誘う優雅なひとときを。

メタリックベルベットにレオパード柄が施された、ステラ マッカートニーのドレス。バスト部分にはワイヤーが仕込まれており、女性の身体をより魅力的に、そしてセンシュアルに引き立てる。心の奥に潜むワイルドな自分を解き放ち、挑発的な表情を浮かべて。

自然な色と軽やかな素材が織りなす、サンローランのエフォートレスなルック。トレンチコートのインにはショート丈のブラウスとランジェリーロンパースを重ね、カジュアルな抜け感と女性らしいエレガンスの絶妙なバランスを描き出す。爽やかな空気に包まれ、自然体でいる女性は誰よりも美しく輝く。
Photos:Yusuke Miyazaki Fashion Director:Ako Tanaka Hair:Takayuki Shibata Makeup:Asami Taguchi Edit & Text:Makoto Matsuoka Fashion Associate:Kanami Abe
