愛らしいフェミニニティが多く表現された2025年春夏コレクション。そんな女性らしい装いにはどこか毒を添え、誰かのためではなく、自分のために纏いたい。柔らかさのなかにある本当の強さを田中杏子が映し出す。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2025年5月号掲載)

タイトなウエストから贅沢にスカートが広がる、ノースリーブのロングドレス。裾には光沢のあるベビーピンクのビスコースを配し、ブラウンにフェミニンなエッセンスをプラスする。心地のよい生地に包まれて、白昼夢の世界へ溶け込んで。

カジュアルなデニムも、パールやレース、ドット柄というエレガントな要素を加えれば、たちまちドラマティックなムードに仕上がる。ソックスを2枚重ねて、足元のディテールにもこだわりを。

コーンブラやガーター付きのビスチェベルトが美しい身体の曲線を浮かび上がらせ、センシュアルな魅力を演出する。心の中に潜む女性の力強さを、無敵のブラックに込めて。

かつて、多くのバレエシューズをダンサーたちに届けていたフェラガモ。その記憶を呼び起こし、彼女たちにとって特別な意味が宿るアイテムをファッショナブルに昇華させた。リボンを編み上げたバレエシューズやカラータイツ、カシュクールを重ねて纏い、バレリーナの可憐な美しさを手に入れて。

パステルカラーは、いつの日も私たちの心をときめかせる。春色に染まったシャネルのツイードは、サスペンダー付きのパンツでマニッシュなムードを添えて。コスチューム パールのアクセサリーと、ふわりとなびくブローチをプラスすれば、軽やかな気品が放たれる。

ニットの首元に施されたホールからは真っ赤なブラウスが覗き、ボウタイはリボンに結んで華やかな印象を与える。ひねりを効かせた自由なスタイリングで、現代的な個性を表現して。

スイムウェアにホワイトのコットンドレスを重ね、ショートニットを巻きつけたチャーミングなレイヤードスタイル。まるで少女のクローゼットから引き出してきたようなアイテムたちは、着こなし次第で唯一無二の装いに。

タイトなトップと立体的なスカートの美しいフォルムが、オールホワイトのルックに浮かび上がった。マイクロ丈のバルーンスカートはチューリップを彷彿とさせるシルエットで、生地にはフローラルモチーフが施されている。花がもたらす、儚くも強いパワーを感じて。

チュールをふんだんに使用したロングドレスは、薄く重なる2種類のヌーディカラーによって洗練されたエレガンスを映し出す。ネックラインの交差するドレープで個性的な魅力を引き立たせ、大胆不敵なアティチュードで纏う。

クロシェニットからなる、しなやかなセットアップ。繊細に紡がれた糸は裾に向かってフリルとなり、やさしく重なり合う。大きなストーンをあしらったペンダントと合わせ、ノスタルジーな時を刻んで。

羽のように軽いドレスは、女性らしい気品を体現するアイテム。パンツにも見えるアシンメトリーな裾や、袖から腕が覗いているようなデザインが、風に乗って揺れ動き全体のシルエットにスパイスを効かせる。大胆に街を闊歩して、ロマンティックな世界の先へ。
Photos:Masaya Tanaka Fashion Director:Ako Tanaka Hair:Mirai Uejo Makeup:Kie Kiyohara Model:Sarah Ferguson Edit:Shomi Abe Edit & Text : Makoto Matsuoka