田中杏子のリアル・モード 「the gifted duo」
モデル・女優として国内外で活躍する福島リラ。その豊かな表現から溢れ出る美しい瞬間を、写真家・映画製作者のグレッグ・カデルが来日し異彩なフィルターで切り取った。2人の才能、そして数々のルックが重なり合って生み出された力強いクリエイションに浸って。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年12月号掲載)
シンプルにまとめ上げたそのスタイルは、挑戦的なカラーリングをより鮮明に映し出す。洗練さとエッジィを兼ね備えた色彩がリンクし、内面の強さをよりあらわにする。
ビッグシルエットに直線的なラインを描いた、マスキュリンなテーラードジャケット。そこに合わせた同素材のスカートは、前方のみに生地をあしらったユニークなデザイン。ペチコートのようなスカートを下に重ねて、美しい違和感を楽しみたい。
糸が幾重にも連なり合って構築された、繊細なピース。レザーベルトのフリンジは斜めに流れ、優しい風になびかれたような上品な動きを感じさせる。足元にはピンヒールを合わせて、女性らしさを香らせて。
襟にあしらわれたレザーのインサートでエッジィを効かせたケープに、柔らかなシフォンを使用したドレスを合わせ、動きのある官能さを表現。クロエ・ウーマンのスピリットが映し出されたそのスタイルは、私たちをノスタルジーな世界へと誘う。
大きなツバが存在感を高めるハットからは輝くピアスと真っ赤な唇が覗き、ニットドレスからはアシンメトリーに脚が透ける。謎めいたその美しさに、誰もが心を奪われる。
オーバーサイズのジャケットを、シャツのようにラフに纏う。しなやかな身体の動きがそのまま投影され、軽快なリズムを奏でる。随所にちりばめられたビーズ刺繍で、モードなアクセントも忘れずに。
地上に舞い降りた、黒い天使。漆黒に染まった、その理由を知りたくなる。豪華な羽のようにチュールをふんだんに使い、センターには大胆なカッティングを施した。ブランドのスピリットが感じられる、ダイナミックな1着。
クラシックなコートから、シャツの襟とパールネックレスを覗かせる。フェミニニティを加えた、遊び心ある大人の着こなし。同じ印象になりやすいアウターも、首元で遊んで雰囲気をチェンジして。
ジャケットからはあえてブラウスの袖を出し、そのデザインを活かす。主役のシンボリックなジュエリーは、身に着けるだけで力強いパワーを与えてくれる。優美な輝きを手に入れて、新たな自分へと生まれ変わって。
フリンジディテールをあしらったドラマティックなドレス。素材には光沢のあるフルイドビスコースとオーガンジークレープを採用した。揺れ動くフォルムと潔いカラーリングは、周囲の視線を一気にさらう。危険な色香を漂わせ、彼女はどこへ向かうのか。
ドロップショルダーとボリューム感のある袖、ジャケットに付属するベルトが作り出す、絶妙なフォルム。半透明のスパンコールは、光を取り込むことによってはじめて輝きを放つ。そんなパーツがふんだんに取り付けられたジャケットに身を包めば、内包していた才能にもスポットライトが当たるよう。自信という名のギフトを受け取って。
Photos:Greg Kadel Fashion Director:Ako Tanaka Hair:Taku Makeup:Kouta Model:Rila Fukushima Edit:Shomi Abe Text:Makoto Matsuoka