田中杏子のリアル・モード 「beyond the unknown」
2023秋冬コレクションで各々のブランドが魅せてくれた「探究心」。アーカイブへのリスペクトを持った新たな挑戦や、知識の追求、未知の領域への興味など、さまざまなデザインへの「探究心」が詰め込まれていた。エネルギーと熱量の注がれたディテールはまさにアートピース。田中杏子が共感する「探究心」溢れるセンシュアルなスタイリングをチェックして。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年12月号掲載)
ブラックモードなスタイルリサーチャー
既成概念にとらわれない力強い女性を体現したディオールのルック。全体にしわ加工が施されたロングコートは張り感があり、ワイドなシルエットをキープしてくれる。エッフェル塔のピアスを揺らしてパリジェンヌになりきって。
イクスプロールする、装飾のキュートネス
薄手のニットトップに合わせたのは、クラフツマンシップが詰まった白く繊細なフラワーモチーフがあしらわれているミニスカート。小さな花々が先端にあしらわれたポインテッドパンプスで、プラダが提案する心づかいと愛の美しさを追求したい。
ブレステイキングする、美しきエレガンス
シアー生地をプレスして特殊な加工を施した構築的で立体的なドレス。まるで一枚仕立てのようなドレスはザ・ロウのファブリックへの探究心と好奇心が感じられる。唯一無二なアイテムが気分を高めてくれる。
ルーツを覗き込む、ラディカルなスタイル
ブランドが得意とするテキスタイルの要素を中に忍ばせレースを掛け合わせたドレスは、今までにないエトロスタイルを提案。エッジィの効いたインナーと同柄のヘアバンドとグローブに、厚底のシューズでゴシックなムード漂うイットガールになりきって。
ロマンティックに纏う、ディテールの調合
シャネルを代表するツイードジャケットは、ヘムラインがアシンメトリーラインを描き、裏地には同色で花柄が施されたピンクのサテン生地というこだわりが。ガブリエル・シャネルが愛したカメリアのシークインが施されたショートパンツと、カメリアの点画アートのようなロングブーツに白いタイツを合わせて、カラーパレットのバランスに酔いしれて。
気品溢れるアートピースに身を包む
ダークベージュのフェイクファーコートとブーツとタイツが合体したパンタレギンスを合わせて、周りと差がつくスタイルに。肩を誇張したラウンドショルダーでバレンシアガらしい堂々とした佇まいを演出できる。
スタイルの確立、フューチャーする女性像
サンローランの象徴的なボウブラウスをダイナミックな長さへと引き伸ばしたタータンチェックの柄のトップ。スリムなシルエットのニットパンツに、ゴールドの効いたアクセアリーを輝かせて構築的な美のシルエットを楽しんで!
暗闇に際立つユニークガール
フェラガモのエネルギッシュでドレープが美しいイエロードレスと、プレキシガラス製の大ぶりなピアス、ネックレス、バングルをつけて大胆な配色に。アーカイブにインスパイアされ蘇ったゴールドのシューズで暗闇でも個性を放つ。
未知の開拓、フェミニンへの探求心
襟からカッティングされた胸元に煌めくビジューとスパンコールをふんだんあしらったミュウミュウのドレス。いくつもの色が混じったヘリンボーン生地に爽やかさをプラスするブルータイツをオン。旬なミニドレスでパーティモード全開。
シルエットを解釈する、フェアリーテール
妖精らしさの漂うふんわりとしたシルエットに三連のボリュームフリルが施されたミニ丈のドレス。歴史のあるロックスタッズがあしらわれたブーツと、ヴァレンティノが提案する反骨精神を秘めたブラックタイがスタイルを格上げしてくれる。
ディテールの重なり、存在意義の追求
服への愛を提案し続け、スタイルを探求しているドリス ヴァン ノッテン。サテンのトップにジャカードの煌めくパンツと色褪せた花柄が施されたシルクのロングコートを。さらに重ねたのは、リバーシブルで着られるファーとシルクのコート。レイヤードが織りなす存在感を纏って。
Photos:Shun Komiyama Model:Shen at Image Fashion Director:Ako Tanaka Hair:Keiko Tada Makeup:Yuka Hirac Edit & Text:Shomi Abe