田中杏子のリアル・モード 「the silent shine」
「クワイエット・ラグジュアリー」というスタイルのアプローチが2023年の秋冬コレクションに登場し、ファッション業界では注目の的。その名のとおり、派手さや華やかさではなく、質の高さと手の込んだアイテムや洗練されたスタイリングを表す美学の詰まったファッションである。田中杏子が提案する、ツイストを効かせたヌメロ流のクワイエット・ラグジュアリーをチェックして。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年11月号掲載)
新たな発見、バランスの変化球
ベーシックでありながら絶妙なオーバーサイズのニットドレスに、さりげないルイ・ヴィトン イニシャルがポイントのベルトでウエストマーク。ストールを長く垂らしてホルンのブローチでとめ、ソックスを履いているかのようなトロンプ・ルイユのブーツで洗練されたムードに遊び心をプラスして。
イエローなムードでユニークネスをとらえる
ヌメロ流にクワイエット・ラグジュアリーを楽しむならイエローをチョイス。同じ素材でシンプルにまとめたセットアップに大胆なシルバーネックレスで首元をラウド派に。バッグとブーツはエターナルなアイテムで上品にまとめたい。
ステージで際立つライナービューティ
建築からインスピレーションを受けて、追求した曲線美を生み出したアライア。丸みを帯びたトップと幾つもの裁縫ピンを縫い付けたようなパンツでラグジュアリーなボディコンシャスを強調する。カットアウトが施されたバッグを持てばモノクロームな静けさを演出できる。
リラックスムード薫る、真のクワイエット・ラグジュアリー
一枚で仕立てられたようなカシミヤのドレスはクワイエット・ラグジュアリーのムードを纏うザ ロウから。捻りを効かせたフォルムのハットとレザーのグローブを合わせて、バッグを持てばエッジィなムードを加速してくれる。
キャッチーな贅沢、秘められたエレガンス
周りと差がつく、ヌメロ流スタイリングならロエベのユニークに型どりしたようなシルエットのトップを。ハイウエストなパンツを合わせて構築的なスタイルを体現。緩く崩れ落ちたようなブーツにパンツの裾をインしてウィット効かせ、バッグを2個持ちしてイットガールになりきって。
栄華を極めるタイムレスな煌めき
エルメスのルックは素材で纏うクワイエット・ラグジュアリー。ラメ糸が交じるニットトップとスカーフを首に巻きつけるボレロに合わせたのは、繊細なシルクのような光沢感のあるプリーツスカート。艶やかなサテンのハットを被りフリンジがなびくバッグを持って、しなやかな輝きを添える。
細部のこだわりを覗くノーブルフェイス
クワイエットなムードを醸し出すブラックは繊細なシークインが施されたジャケットを選ぶのがヌメロ流。パンクモードを彷彿とさせるパールチョーカーをラグジュアリーなポイントに。モノトーンスタイルには少し尖ったオレンジのリップを合わせたい。
静かなエレガンスと永遠のクロニクル
繊細なニットで作られたパフスリーブが目新しいトップとシークインが施されたニットジャンプスーツを纏う。クワイエットな世界にメタリックシルバーとパールが融合されたお花のイヤリングで主張して。
構造を紐解く新しいステートメント
ダブルフェイス仕立ての上品なウールでできたジャケットの中にはスカーフがついたような同素材のトップとスカートを重ねたレイヤードスタイリング。ボタンの掛け方から生まれるボリューム感あふれるシルエットで、少しラウドに構造されたエレガンスを纏いたい。
派手さを抑えた、上品なイントレチャート
深いVネックが印象的なメランジウールの大胆なプリーツのドレスに、同じデザインのスカートを合わせてボリュームのあるスタイリングに。イントレチャートのショルダーバッグとハンドバッグの2個持ちに、ワインレッドのブーツを合わせて自分らしいラグジュアリーを追求して。
Photos:Yusuke Miyazaki Model:Carla Ray at Unknown, Fatou at Bravo models Fashion Director:Ako Tanaka Hair:Yusuke Morioka Makeup:Asami Taguchi Edit & Text:Shomi Abe