アーティスティックな「Sisley」キャンペーンビジュアルの世界 | Numero TOKYO
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アーティスティックな「Sisley」キャンペーンビジュアルの世界

イタリア発のファッションブランド「シスレー(SISLEY)」。そのキャンペーンビジュアルのクリエイティビティは常に冒険心にあふれている。気鋭のフォトグラファーや強いキャラクターを持つセレブリティを起用するなど、これまで数々の話題となってきたキャンペーンの軌跡をたどる。

1 Photographer:アーティスティックなフォトグラファーとのコラボレーション

「シスレー」によるビジュアルクリエイションの冒険は、ブランド創立とともに始まった。コンセプトである型にはまらず自由を謳歌するという、反骨的なスピリットを表現するために、さまざまな手法を駆使してきた。その一つが、独自の世界観を持つアーティストやフォトグラファーとのコラボレーションだ。最新コレクションのビジュアルを手がけたライアン・マッギンレーを始め、クリエイターとのコラボレーションによって生まれた過去数シーズンのキャンペーンビジュアルをひも解く。

Ryan McGinley(ライアン・マッギンレー)
2018 Spring/Summer

2018年春夏シーズンのテーマは「SISLEY Way」。アーティスティックでユース感溢れるビジュアルを表現したのはフォトグラファーのライアン・マッギンレーだ。今回のキャンペーンは、荒涼としたまるで世界滅亡後のような地を10代の若い男女のグループが旅する、ロードムービーのような世界観が特徴。若者たちの肌や服と自然界で見られる色や質感を重ね合わせるような視覚的な仕掛けにも注目したい。自分らしい“道(=生き方)” を求めて、大都会から抜け出し旅をする彼らは今、何を思うのだろう?そんなストーリーを想起させる美しいビジュアルに仕上がった。

ライアン・マッギンレーによる2018SSシーズンキャンペーンのメイキングムービーはこちらから。

Bettina Rheims(べッティナ・ランス)
2017 Fall/Winter

シーズンテーマ「ONE OF A KIND(唯一無二の自分)」のビジュアル化に挑んだのは、フォトグラファーのベッティナ・ランス。本キャンペーンに起用したのは、トランスジェンダーモデルのスタヴ・ストラスコやカシル・マッカーサー、レイン・ドーヴのほか、中性的な魅力を持つモデルたちだ。倉庫に置かれた芸術作品の輸送に使われる木箱を前に、モデルたちがポーズをとるこのビジュアルは、ジェンダーが今もなお“慎重に扱うべき”議題とされ、オープンな議論がしづらいことを暗に示している。ジェンダーに対するステレオタイプを取り払い、自分らしくいることの大切さを、キャンペーンを通して訴えることは、ブランドにとっても大切な一歩となった。

Vanessa Beecroft(ヴァネッサ・ビークロフト)
2017 Spring/Summer

2017年春夏シーズンは、コンテンポラリーアーティストのヴァネッサ・ビークロフトのファッションに対する幾何学的なアプローチによる、独特のビジュアルが展開された。35人の男女のモデルが、異なる色にグループ分けされ、長方形を作る。民族性もスタイルもそれぞれ異なる男女が、均一化されたフォーメーションを組むという作品は、グループの集合やフォーメーションに対する彼女の強い関心が反映されている。「シスレー」とのコラボレーションについて「自分がファッションそのものを超越し、幾何学、絵画、色に言及するイメージを創造できるという確信があるから」と語った。

2 Model:個性的なモデルのキャスティング

ブランドの固有な世界観を表現するもう一つの特徴的な手法が、強いキャラクターを持つモデルの起用だ。2014年秋冬シーズンのキャンペーンには、当時本格的にモデルとして活動し始めたばかりのジジ・ハディッドが登場。今やイット・ガールとして多くのメゾンのショーやキャンペーンにひっぱりだこだが、その彼女をいち早く起用したことで話題に。そのほか、イタリア人ラッパーのフェデス、スーパーモデルの母とミレニアル世代の娘の共演といった、豪華な面々をキャスティング。彼女らの個性あふれる内面を引き出し、インパクトあるビジュアルを作り上げてきた。

Gigi Hadid(ジジ・ハディッド)
2014 Fall/Winter

洗練されたエロティシズムは、「シスレー」のキャンペーンビジュアルにとって常に重要なキーワードだ。デビュー間もないジジ・ハディッドを始め、アイルランド・ベイシンガー・ボールドウィンとサイモン・ネスマンが出演した本キャンペーンでは、自由奔放な美女2人がアメリカ中部を旅するなかで出会ったカウボーイとの三角関係を描いたシネマティックなストーリーが展開された。当時19歳だったジジの、まだ少女性が抜けきれない危うさと大人びたしなやかなボディとの絶妙なバランスが、このビジュアルをより印象的なものにしている。

Fedez(フェデス)
2015 Spring/Summer & Fall/Winter

ミラノ生まれのラッパー、フェデス。今やキアラ・フェラーニの夫であり、イタリアを代表するセレブカップルとして知られるが、そんな彼に「シスレー」はいち早く注目した。肌を覆うタトゥー、鋭い目、厚い唇。その個性的な外見のみならず、ミュージシャンとしての才能を発揮し、イタリアのヒットチャートを賑わし始めていた頃のことだ。当時のガールフレンド、ジュリア・バレンティナと共演し、ジーンズのみの姿でキスをするという官能的なビジュアルを作り上げた。さらに”WHO WEARS THE PANTS?”といった挑発的なコピーと相まって、ブランドが提案する、情熱に満ちあふれながら型にはまらない生き方を表現した。

Skin (デボラ・アン・ダイアー)
2016 Spring/Summer

2016年春夏キャンペーンのテーマは「UNDER MY SKIN」。モデルに起用されたのは、イタリアで最も人気のあるロックバンドのひとつ「Skunk Anansie(スカンクアナンシー)」のリードボーカル、スキンだ。ジャマイカ人の両親のもと、ロンドンで生まれたスキンは、DJ、モデル、女優としても活躍。圧倒的なパワーで人々を熱狂させるその存在感はステージの上でだけでなく、被写体となっても変わらない。「今回の写真の中で私は本当の自分になれたわ。皮肉的で、クレイジーで、過激で、おかしなやつ。そう、それがスキンよ」。そう語るように、自身の内面を見事に解放した彼女から伝わってくる熱気はビジュアルから飛び出てきそうなほどだ。

Yasmin Le Bon & Amber Le Bon(ヤスミン&アンバー・ル・ボン)
2016 Fall/Winter

被写体である2人の美女は、まるで同年代のようにも見えるが、実は母と娘。母はスーパーモデル全盛期に一世を風靡したヤスミン・ル・ボン。そしてデュラン・デュランのボーカル、サイモン・ル・ボンとの間に生まれたのが愛娘のアンバーだ。ミレニアル世代のアンバーもモデルとして、またDJとして活動する。家族としての絆は深いが、互いに独立した現代女性である。そして、年齢に捉われずに好きなスタイルを貫く彼女たちの姿は、「シスレー」が目指す女性像であり、多くの女性たちが共感を覚えたはずだ。

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SISLEY
ベネトン ジャパン カスタマーサービス
TEL/0120-802-285
URL/www.sisleyjp.com

Text:Etsuko Soeda Edit:Masumi Sasaki

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