2025年2月28日(金)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2025年4月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。
2007年に小誌を創刊し、今号で丸18年になります。次号は19年目に突入という節目の季節を迎えるいま「美しく、心地よく」というテーマで特集を組めたことは皆さまからのメッセージだと心躍っています。というのも「Numéro TOKYOはファッショニスタのバイブルのよう。クリエイティブな仕事をしていない私には関係のない話なのでは?」というお言葉をいただいてきました。クリエイティブに生きるということは、日々の生活のあらゆる場面で自分らしい工夫や楽しみ方を「制作」していくことと私は考えていて、そのピースやヒント、生き方のスタイルをつかんでいただけるような雑誌でありたいと常に提案してきました。
今号で取材をさせていただいた「“日常の美学”が照らすもの」(本誌 p.122〜127)の青田麻未さんが提唱する「日常美学」は、私がかねてから伝えたかったメッセージそのものでした。青田さんの「誰もが自分の感性で自分の世界を“作って”います」という端的なメッセージ。とても腑に落ちました。普遍的な日常にあふれているあらゆるコトやモノたちのどれを選択し、あるいはどれを手放すのか。そこにこそ私たちの感性やスタイルが生きてくるのだと思います。あらためて、日々の過ごし方を見つめ直したいと心に深く刻みつけました。

自分らしさを失わずに生きる水原希子さんとローラさん。自身の感性を信じ、しっかりと「自分を開放」しながら生きています。このたび希子さんのウェルネスプロジェクト「kiiks(キークス)」でローラさんとコラボをしてヘアオイルを開発。その経緯を二人に聞いた「自分を取り戻すセルフケアのすすめ」(本誌 p.100~105)。オイル開発の秘話から、二人の人生観、日常をいかに「美しく、心地よく」生きるのかを等身大の言葉で語ってくれました。私たちは何のために生命を授かり、どこに向かって生きているのか。大掛かりなことをする必要もなく、日々のルーティンを時には立ち止まって考え、愛でるだけでいい。そんな愛おしい「日常美学」、共感していただけるとうれしいです。
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