【Editor’s Letter】これからの人生を 左右するのは「直感力」!? | Numero TOKYO
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【Editor’s Letter】これからの人生を 左右するのは「直感力」!?

2024年9月28日(土)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2024年11月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。

今年3月にパリで発表されたクロエのコレクションは、全盛期の勢いを彷彿させる挑戦的なスタイルにセクシーさも忘れない、パリ・シックに料理された新生クロエでした。クリエイティブディレクターはフィービー・ファイロ時代のクロエに従事し、またクレア・ワイト・ケラー時代にデザインディレクターを務めたシェミナ・カマリ。シェミナは、女性たちの「私の好きだったクロエ」をカムバックさせ、ジャーナリストやプレスの間で話題となりました。彼女が掲げたテーマはずばり「直感コレクション」。インタビューやリリースには幾度も「直感(Intuition)」という言葉が登場し、シェミナ自身が「正しいと感じるものに立ち返ること=直感に帰すること」と「直感」を大切にしていました。

写真上のバナナ柄のトップスは、01年春夏コレクションのステラ・マッカートニー時代のクロエ。ユーモアがあって今でもお気に入りです。この人気モチーフを現代的にデザインして今の気分で蘇らせたシェミナ・カマリのコレクション。バナナがあしらわれたバッグ ¥1,430,000、 バナナピアス ¥86,900 バナナブレスレット ¥121,000  バナナフラットポーチ ¥106,700/すべてChloé(クロエ カスタマーリレーションズ 03-4226-3883)

この「直感」とはどこからくるのでしょう。娘が4歳ぐらいのとき、タクシーを探し歩く私と母に「もうすぐ緑のタクシーが坂を下りてくるよ」と教えてくれたことがありました。その数秒後に空車の緑色のタクシーが通って私と母を驚かせました。それが「直感」なのかはわかりませんが、持っているといいなと思う能力です。その後も、書ききれないほど「直感」が冴え渡っているなと感じさせることに出くわしています。

では「直感」は磨き上げることができるのでしょうか。「直感」は磨くこともできる!というのが哲学者・千葉雅也さんの見解です。*本文では“直観”と記載されています(本誌 p.114〜)。それは「感覚と思考のハイブリッドともいうべき理解のあり方」だそうです。千葉さんは直観とセンスの関係性も研究題材とし「形や音といった感覚の総体を意味ではなく“直観的なリズム”として捉え、モノを見る時の感覚をそのように自覚すれば、誰でもセンスが良くなる」と結論づけています。直感が優れた人にセンスのいい人が多いのは(もしくは逆かな?)、物事全体をリズムで捉えることが上手だからでしょうか。これからは直感力が人生を左右するのではという思いも相まって、常に「直感力」を鍛えられたらなあ!と願わずにはいられません。

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Profile

田中杏子Ako Tanaka 編集長。ミラノに渡りファッションを学んだ後、雑誌や広告に携わる。帰国後はフリーのスタイリストとして『ELLE japon』『流行通信』などで編集、スタイリングに従事し『VOGUE JAPAN』の創刊メンバーとしてプロジェクトの立ち上げに参加。紙面でのスタイリングのほか広告キャンペーンのファッション・ディレクター、TV番組への出演など活動の幅を広げる。2005年『Numéro TOKYO』編集長に就任。著書に『AKO’S FASHION BOOK』(KKベストセラーズ社)がある。
Twitter: @akotanaka Instagram: @akoakotanaka

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