【エディターズレター】なぜその種をまいたのか。 出発点の種を見つけることで、 進む道が見えてくるようです。 | Numero TOKYO
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【Editor’s Letter】なぜその種をまいたのか。 出発点の種を見つけることで、 進む道が見えてくるようです。

2024年7月26日(金)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2024年9月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。

シャネルの2024/25年秋冬 オートクチュール コレクション取材で五輪直前のパリに滞在してきました。クチュールは、緻密な職人技に裏打ちされた美意識のオンパレード。神が宿っているのではと思うほどの真骨頂を発揮していました。今回の渡仏では、2022年にパリ19区に設立された「le19M(ル ナインティーンエム)」へも訪れました。le19Mには、メティエダール(芸術的な手仕事)を生み出す11のアトリエが集結しています。シャネルの構想のもとクチュリエの技の継承、育成、発展を目的に実現した文化的価値の高い場所です。プレタポルテコレクションが発表されるようになり、私たちはその恩恵を受けていますが(それでも手が出せないほど高価ですが)、le19Mで“モードの出発点”に触れた経験は、現在のモードの在り方を見返し、価値を問い続け、視座を見つける作業に直結した貴重な機会となりました。それが小誌編集のヒントにつながっています。

「le19M」に居を構える「LESAGE(ルサージュ)にて、織り機でツイード素材を製作。自由な発想でリボンを選び、重ねて織って布地に仕上げていきます。ツイード製作初体験で、喜色満面の時間でした。

お気づきかと思いますが、今号より本のサイズが変わりました。余分な紙ごみを出さないサイズにシフトし、レイアウトデザインを見直しました。雑誌としてのエンターテインメントな存在意義はもちろんですが、モードの本質的な楽しみや遊びをどう伝えていくのか、ここもまた出発点に立ち返り、本質的な種を探す作業となっています。

海外モード誌やカルチャー誌を穴が開くほど読みあさっていた若かりし頃。無類の雑誌好きを公言していた私にとって、誌面のデザインは企画の見え方までも変える大切なエレメントであり、雑誌の印象を変化させる重要なファクターです。創刊時からご縁のあるアート・ディレクターの浜田武士さんに参画いただき、新生Numéro TOKYOを創り出すべく意見交換を続けています。ページをめくるたびに「楽しい! 美しい! 素敵!」と感じていただいただける誌面づくりを目指して、日々ワクワクしながら進めています。ぜひ今後ともご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

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Profile

田中杏子Ako Tanaka 編集長。ミラノに渡りファッションを学んだ後、雑誌や広告に携わる。帰国後はフリーのスタイリストとして『ELLE japon』『流行通信』などで編集、スタイリングに従事し『VOGUE JAPAN』の創刊メンバーとしてプロジェクトの立ち上げに参加。紙面でのスタイリングのほか広告キャンペーンのファッション・ディレクター、TV番組への出演など活動の幅を広げる。2005年『Numéro TOKYO』編集長に就任。著書に『AKO’S FASHION BOOK』(KKベストセラーズ社)がある。
Twitter: @akotanaka Instagram: @akoakotanaka

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