【Editor’s Letter】デニムは自分自身の現在地を映し出す、鏡のような存在
2024年5月28日(火)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2024年7・8月合併号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。
2024年もあっという間に折り返し地点近くに来ました。驚くほど時間が早く過ぎていくのは時空の歪みなのか、ただ年齢を重ねただけなのか謎ではありますが、24年の夏はもうそこまでやって来ています。皆さま、今年の夏をどう過ごす予定でしょうか。
3月に発表された今年の秋冬コレクションは、ドレスアップしたスタイリッシュなルックが数多く提案されていました。ストリート感満載のカジュアルな空気はこの夏までで、秋からはグッとオシャレ度を上げてモードに舵を切っていく予感がしてなりません。それだけに今夏は、カジュアルに夏のファッションを楽しみたいという思いから、人気の廃れないデニムを取り上げてみました。もちろんランウェイでもデニムは常に提案され、定番アイテムでもあります。
今号では “着るデニム”だけではなく、アート作品として息吹いた“鑑賞するデニム”も紹介しています。「アートが映すデニムの本質」(本誌p.124〜)では、二人の男性アーティストが創り出したアート作品とデニムの本質や関係性、デニムが社会をどう映し出しているのかといった視点を展開しています。ぜひご一読ください。
今号の通常版にも特装版にもご登場いただいた飛ぶ鳥を落とす勢いのNumber_iにデニムを着用していただきました「愛について語るとき」(本誌p.136〜)。デニムは、余計なものを削ぎ落としてこそ光るアイテムです。ブレない内面の強さが備わってこそ、デニムスタイルが人間味あふれるものに昇華されます。Number_iの三者三様の姿に、時代や環境の変化を経験し乗り越えてきたからこそ生まれる堂々のオーラが漂っていました。
今号では、「鏡リュウジが監修。幸せがみつかるフレグランス」(本誌p.96〜)と「猫星ラピス×武笠綾子『目に見えないものを感じること』」(本誌p.128〜)で2024年下半期を占ってもらいました。読み応えある内容なので、ぜひご堪能くださいませ。
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