ボードスポーツが、カルチャー発信する理由
2021年10月28日(木)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2021年12月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。
大会後の練習中に右膝をけがするという難に見舞われた西村碧莉さんですが、小誌の撮影に快く協力してくださいました。初めてのファッション撮影にご本人もとても楽しんでくださったようで素晴らしい笑顔とファッションを着こなす姿が印象的です。等身大の言葉で今の心境やこれからについてもお話が聞けましたので、ぜひご一読くださいませ(本誌p.84〜)。スポーツや物、事がそれだけにとどまらず、音楽やアート、ファッションへと広がりを見せ、それらを楽しむ人が増えてカルチャーとして発展していきます。要するにスケボーはしないけどスケボーカルチャーは好きとか、サーフィンはしないけどサーフ音楽は聴いてるよ〜といった具合です。このボードカルチャーの引力にハマり、それがなぜなのかを探りたく、進めていく過程で理由が見えてきました。スケボーカルチャーの魅力については、実際にがっつり魅了されたという野村訓市さんにお話を伺いました(本誌p.102〜)。
スケボーカルチャーと相性がいいのは、ストリート発信で世の中に広がるグラフィティアートや現代アートの世界です。「スケートボードとアートの関係」(本誌p.94〜)でインタビューをしたHaroshiさんの言葉にとてもわかりやすい一言がありました。「中学・高校と部活に入っていて、ルールや上下関係に嫌気が差す一方、スケボーの自由さに心惹かれました。夜中の公園で『一緒にやろうよ』と声をかけて、競い合うでもなく純粋に楽しむ」スケボーについてのくだりですが、これがこのスポーツの原点なのだと思います。ストリート発信で自由に楽しめるスポーツ。行けば、ほかのボーダーと仲良くなれるスポーツ。まさにバイブスが合うよね〜という感覚で、滑らなくてもカルチャーとして楽しめるスポーツ。スケートボードやサーフィンは、今っぽさが詰まったスポーツでありカルチャーなのです。
10代の頃にサーフィンに明け暮れた私ですら、けがが怖くてライディングはしませんが、ボードカルチャーには心惹かれています。これからも注目したいスポーツです。いや、体幹を鍛えて本気で滑ってみようかな〜!
Numéro TOKYO編集長 田中杏子