やはり、答えはクリエイターの中にありました。
2020年9月28日(月)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年11月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズ レター。
25歳にして一躍スターダムにのし上がったあいみょんの言葉からも、クリエイターが見ている景色を感じることができました。「人生は満たされ続けても面白くない。世の中は平和であってほしいけれど、自分を混乱させるような何かが欲しい。それによって私は新しいものを生み出すからって思っています」と等身大の言葉で語ってくださいました。表現の場を持つクリエイターにとって“パンデミック後だから”という違いはないようです。常に“ 当たり前”なんてなく、すべての出来事をモノづくりのエネルギーに変えようという姿勢だけがあるのだと感じました。
私たちにとっても当たり前の日常は「ない」ということです。一瞬一瞬が奇跡だと思うと、毎日がキラキラして見えてきます。実は毎朝、瞑想しながらお祈りする言葉があります。「今日一日、家族や友人、スタッフや知人、すべての人が事件事故天災に巻き込まれることなく、笑顔で過ごすことができますように」。ずっと何年も唱えているのですが、何事も起きない平穏な一日こそが奇跡であるということに気づかされます。
痛みを表現に変えられるクリエイターは強いです。でも痛みなんて誰も欲しいわけではありません。ただ、痛みを痛みと捉えず、モノを生み出すチャンスだと胸の奥で切り替える、ただそれだけです。クリエイターの中に、その答えはありました。
Numéro TOKYO編集長 田中杏子
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