フィンランドの森と湖に癒されながらグランピング【ダージリン コズエが行く、人生最高の旅】 | Numero TOKYO
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フィンランドの森と湖に癒されながらグランピング【ダージリン コズエが行く、人生最高の旅】

旅のプロ、ダージリン コズエによる連載。世界中のあらゆるデスティネーションを行き尽くし、現在も国内外問わず旅に赴く玄人トラベラーが語る、“人生最高の旅”とは?


旅にトラブルはつきものとよく言いますが、時には出発前にトラブることもあります。

先日、フランスへ行ってきたのですが、出発の3週間前に急遽帰りのフライトを変更する必要が出てしまいました。ところが、なんとパリー羽田線が満席。フィンランドのヘルシンキ乗継便なら空席があるということで、パリ→ヘルシンキ→東京というルートで帰ることに。

パリから東京へのルートは、まずパリーヘルシンキで3時間。そこで乗継に3時間待ち、北回りで羽田まで14時間ちょっとです。

うーん、40代後半の体力でいける気が……しない、と、一度ヘルシンキ・ヴァンター国際空港で降りて、そこから車で30〜40分くらいのところにあるヌークシオ国立公園で1泊し、疲れをとってから戻ることにしました。

今回、1泊の滞在なので、何もせずにただフィンランドの森と湖をみてのんびりしたいと思い、2021年にオープンした「ハルティア・レイク・ロッジ(Haltia Lake Lodge)」を選んでみました。

サステナブルな取組みへの評価も高いこのホテルは、ヌークシオ国立公園にあり、また湖畔までも歩いて5分、という今回の旅でまさに求めていた環境でした。

客室は、2階建のビルディングタイプのホテル(20部屋)と、広い敷地に点在するグランピングタイプの部屋(5棟)があります。
今回は、グランピングに泊まることにしました。

結果、大正解!

グランピングタイプの部屋は、ホテル裏手の山の斜面に1棟ずつ独立したつくりで点在しています。室内はとてもシンプル。ベッドとチェアとサイドテーブルなど最低限必要なものがあり、TVなどはなく、そこにあるのは自然のみ。

ちょうど部屋に着いたのが雨上がりで、窓を開けると雨水が森の中に染み込み、土と合わさった香りがふわ〜っと漂います。目の前の木々や草の緑はさらに瑞々しさを増し、あたりは雨の雫が落ちる音や、鳥の囀りが響き渡り、なんとも言えない自然のやすらぎを全身で感じたほどです。

滞在した5月下旬は夜23時くらいまで空が明るく、部屋で徐々に変わる空の色を長い時間かけて見ることができました。下の写真は23時半くらいに部屋で撮った写真です。こういうのもなかなか面白い経験ですね。

また、面白い体験繋がりでいうと、このグランピングタイプの部屋には水道がありません。シャワーはロッジのメインビルにあるものを使います。しかし、部屋にはトイレがあり、それはドライトイレといって、私たちが日頃使うような便器に不織タイプのシートみたいなのが中に敷かれていて、そこに用を足していきます。猫のトイレっぽい感じとでも言ったらいいんでしょうか。

遥か昔の昭和後期、私が小さい頃には、田舎に行くとボットン便所と言われる汲み取り式のトイレも残っていました。それが脳裏にあるせいか、技術の進化ってすごいな、と思うほど、匂わないものです。サステナブルな活動って、こういうこともそうだよね、って考えさせられます。(気になる人は、メイン棟にある水洗式のトイレも使うことができますので、そちらをどうぞ)。

さて、一晩ゆっくりと眠り翌朝。
ホテルにあるフィンランド式サウナで1日をスタートしました。サウナは、男女それぞれ時間が決まっていて、その時間内であれば自由に使うことができます。

サウナの中は暗く、ちょっとしたメディテーションルームのような雰囲気です。温度もそんな高くなく、じわっと体の中から温まる感じ。時計もないので、汗が出て休憩しよと思ったら出て、併設されたリラクゼーションエリアでこれまたゆっくりとクールダウンします。そしてまたサウナに入り……を自分のペースで繰り返していきます。

キャンプ同様、サウナもほぼ無縁ではありますが、朝のサウナで静かに自分自身と向き合う時間もいいものだなーと思いました。

さて、朝食をメインビルにあるフォレストラウンジ&バーでいただき、天気もいいので湖畔をお散歩へ。

朝の湖畔は、ボートの清掃をする人がいたくらいで、とても静か。鳥の鳴き声を聞きながら、小さな桟橋に腰掛けてしばしぼーっとして過ごします。フィンランドで湖と森を見ながらのんびりしたかったのですが、まさにそれが現実となったような感覚です。

私が滞在した5月下旬はまだヴァカンスシーズンではなかったので、とても静かな時期だったのですが、夏になるとカヤック、ボートなどさまざまなアクティビティで湖畔は一気に賑わうそうです。

ここヌークシオ国立公園には、ハイキングコースもあり、今回グランピングをした宿があるハルティアエリアにも、いくつかハイキングコースがあります。チェックアウトまで時間もあったので、ホテルの人に聞いて、初心者でも簡単に歩くことができ、かつビューポイントもおすすめだという1時間程度のコースを歩いてみることに。

森の中を歩くだけでも癒されるのですが、最後にこんな絶景が出てきちゃったら、思わず、「うわっ」と声が出てしまいます。

緑に囲まれた森の中で呼吸を整え、森の香りや音をキャッチ。
シンプルだけれど、とても心身ともにリラックスすることができます。

最初はヘルシンキ乗継で帰ることに、正直、「えー面倒くさい」と思ったのですが、いざ立ち寄ってみると、ここに到着するまでの疲れを一気に浄化?してくれるような気になれるほど癒されました。

たった1泊の滞在でしたが、ここには「がんばらない、リフレッシュ時間」がある気がします。シンプルに森と湖の自然に触れながら、自分のペースで、自分と向かい合う。フィンランド式サウナにも通じる、のびやかさがいいなーと思いました。

【連載】ダージリン コズエが行く、人生最高の旅

Photos & Text: Darjeeling Kozue

Profile

ダージリン コズエDarjeeling Kozue 20代で世界一周の旅を経験し、30代で世界中のブティックホテルやデザインホテル、ラグジュアリーリゾートなどを巡ってきた旅のエキスパート。海外旅行のガイドブックや雑誌などの編集経験もあり。本業は、外資系企業でジェネラル マネージャーを務めている。Instagram: @cozykozue

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