旅のプロ、ダージリン コズエによる連載。世界中のあらゆるデスティネーションを行き尽くし、現在も国内外問わず旅に赴く玄人トラベラーが語る、“人生最高の旅”。
12月のパリはイルミネーションで輝き、デパートやブティックのウィンドウは華やかさを増し、街全体がハートウォーミングな雰囲気で溢れています。
3月にパリへ転勤のために引っ越してきた私にとっては初の越冬。
クリスマスをホリデーが過ぎたら、ヨーロッパはどんよりと暗く寒さが厳しくなるらしいので、その前に憧れの街「プラハ」へ行くことにしました。

プラハに興味を持ったのは今から約25年前。
大学時代に知り合った子が、ドイツの帰国子女で、「プラハがおとぎの国みたいですごくよかった」と話をしてくれたのを覚えていて、それ以来、一度は行ってみたいデスティネーションに。
しかし、海好きの私は休みの度に海を優先して選んでしまい、海なし国のチェコは後回しになってしまい、25年もの年月が経ってしまいました。
人生一度きり。
パリに住んでいるのに今行かないでどうする!と、パリのオルリー空港から2時間弱、ついにプラハへ。

この時期のプラハの日没は夕方4時。
オレンジ色の屋根やカラフルなファサードの街をイメージしていたのですが、夕方、ホテルに到着すると、すでにあたりは真っ暗です。
しかし、ホリデーシーズンとだけあり、街やホテルの至る所にツリーやリースが飾られていて、そのキラキラ感に心が躍ります。

今回、滞在先として選んだのは、プラハ歴史地区の「シュガーパレス」内にあるアンダーズ プラハ。ロケーションのよさ、サービス内容、街歩きで疲れた時もゆっくりできそう、という理由で決めました。

早速、チェックインをすませ、美しい夜の街をお散策。

ホテルから徒歩5分ほどで、ゴシック建築の火薬塔(写真左)と、アール・ヌーボー建築のプラハ市民会館(写真右)に到着。建物自体の素晴らしさはもちろん、建物への照明の当て方とか綺麗だなーと感心し、しばしじっと見入ってしまいます。
冬のヨーロッパ旅は、日照時間の長い夏と異なり、なんだか損した気持ちになりがちなのですが、逆にいうとその分、建物の美しいライトアップを楽しめる良さがあります。それを見事に感じられるのがプラハだなーと。
せっかくなので、ここからさらに5分ほど歩いて、旧市街広場へ行ってみることに。

旧市街広場には巨大なクリスマスツリーがライトアップされ、そこではクリスマスマーケットが開催されており、大勢の人で賑わっていました。
クリスマスマーケットの屋台が多く立ち並び、あちこちでホットワインの香りが漂っています。
この広場の周辺には、天文時計をはじめプラハ観光の見どころポイントが多くあります。さまざまな建築様式の建物がクリスマスのイルミネーションと合わさって、夢の国を訪れる旅に思うあの「かわいい」が現実の世界として目の前に広がっている感じです。

この日は、霧がかかっていて、それが演出効果となったのか、広場から見える「ティーン前の聖母教会」もかなり幻想的な雰囲気が漂っていました。
このフェスティブ感を体験できるのは、クリスマス時期ならではの良さかもしれません。
さて翌日、ついにオレンジの屋根とカラフルな建物がひしめく街を散策しに出かけました。しかしそこで直面したのは、ものすごい観光客の数。私もそのひとりではあるのですが、まあ多いなんてもんじゃないのです。
ずっと渋谷のスクランブル交差点や竹下通りを永遠と歩いている感じです。

プラハの主要観光スポットは旧市街地とプラハ城周辺に集中しています。細い道や小さな空間を50人程度の団体ツアーが次々とやってくるので、なかなか空間的な余白ができないという感じでしょうか。
どこへ行っても「夢の国」レベルの混雑っぷり。
考えてみれば、チェコという国は、1989年の民主革命により共産主義が終結し、1993年にチェコ・スロバキアから「チェコ」へと独立。私がプラハに興味を持ったのはそれから10年も経たない頃の時代の話で、頭の中のプラハは小さく魅力的な街として25年もの間同じだったのですが、プラハ自体はものすごく大きな都市へと変化していたのです。

長年憧れていて、せっかく来たからあれも、これもみておきたいという気持ちが先走ってしまっていたので、ここは一旦リセット。
行き先を自分が興味ある建築物やポイントだけに絞り、目的地から次の目的地への移動方法もメインの通りから外れて歩くことで、人混みに埋もれることなく、一気に満足度もアップ。
個人的に一番気に入ったのが、「マラー・ストラナ橋塔」からの眺めです。プラハのシンボル的存在である「カレル橋」のプラハ城側にある橋塔で、ここからは旧市街地側、反対のプラハ城側と、ぐるり360度の絶景ビューを楽しむことができます。しかも私が行った時は、他に5〜6人しかおらず、タイミングによってはこの絶景をひとりで見られるという贅沢っぷり。


あまりの美しさに、塔を何周もしてしまいました。
他にも、建物内で言うと、「世界一美しい図書館」とも言われているストラホフ修道院の図書館。約20万冊以上も蔵書されたこの図書館には、「哲学の間」「神学の間」の2つの広間があり、非常に特徴的な空間が広がっています。
まず、高い天井とフレスコ画が美しい「哲学の間」。壁面の本棚にも圧倒されてしまいます。

そして、美しい装飾が天井一面に広がるのが「神学の間」です。

ため息が出る美しさとは、まさにこのこと。なんと美しく贅沢な図書館なんでしょう。一日中ここでお茶をしながら読書をして過ごしたいくらいです。
25年以上憧れていた街は、本当にチャーミングでかわいらしい、おとぎの国というか、現実世界版の「夢の国」のような場所でした。
みなさまも訪問の際は、人混みに気をつけ、自分が好きなところに絞ってまわることで街の良さを実感していただけたらと思います。
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Photos & Text:Darjeeling Kozue
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