人生最高の体験、南極で絶景を見ながらシャンパン。【ダージリン コズエが行く、人生最高の旅】 | Numero TOKYO
Life / Feature

人生最高の体験、南極で絶景を見ながらシャンパン。【ダージリン コズエが行く、人生最高の旅】

旅のプロ、ダージリン コズエによる連載。世界中のあらゆるデスティネーションを行き尽くし、現在も国内外問わず旅に赴く玄人トラベラーが語る、“人生最高の旅”とは?

フランスのクルーズ会社ポナン(PONANT)で行った南極。前回、南極までのアクセスなどについて書いたのですが、今日は南極で感動したアクティビティをご紹介したいと思います。

今回参加したポナンの南極クルーズは、合計10日間でうち5日間を南極半島の付近で過ごしました。

クルーズなので、寝泊まりは船でするわけですが、南極半島に滞在しているときは、その日の気象状況に合わせてベストな場所へクルーズ船で向かいます。

ポイントまで来たら、ゾディアックボートに乗って、午前中1回、午後1回と船外へ出るエクスペディション(探検)へ出かけ、南極に上陸したり、ボートでクルージングしながら海の動物を観察したりします(天候により変更あり)。

南極大陸を訪問する際に、南極の環境や絶景を守るために地球人として守らなければならない大切なルールがあります。

例えば野生動物とは一定の距離を保って観察するとか、外来種や病気を持ち込まないようにするために、上陸時の長靴を毎回消毒する、座ってはならないなど。

そのため、南極に上陸する前までに、旅行者が訪問するにあたって守らなければならないルールをしっかりと船内のレクチャーで学んだ上でこれらのエクスペディションに参加します。

さて、そんな南極の魅力ですが、南極の楽しみといえば、なんといっても野生動物との出会いかと思います。

元々そんなに動物に興味があるタイプではないのですが、そんな私さえも、つい時間を忘れてじっと見てしまったのが、ペンギン。

ペンギンといえば南極の野生動物界のアイドル的存在です。今回の旅では、ジェンツーペンギンや、ヒゲペンギンのコロニーを訪れることができました。飛べないけれど、泳ぎは得意な水陸両用のペンギンたち。

コロニーを形成して生活している山から海へと漁へ出て戻るたび、短い足でちょこちょこと器用に山や岩を登り降りする姿がなんとも愛らしいのです。よく見ると、水かきのついた足が非常に立派な様子。たまに岩を登る時に、こけたりするので、頑張って!とみている誰もが応援してしまうのです。

また、ゾディアックボートからアザラシやクジラも見ることができました。

Compliant with operational regulations ©Studio PONANT_Olivier BLAUD
Compliant with operational regulations ©Studio PONANT_Olivier BLAUD

氷山の上でごろ〜んと寝ているアザラシをよく見かけたのですが(ほとんどは水中にいるらしい)、たまに手をあげたり、たまに起き上がったりすると、つい顔が喜んでしまいます。おやすみのところお邪魔してはならないので、一定の距離を置き、エンジンを切って静かに息を潜めながら観察です。

そして、雄大さでいうと、やはりクジラです。

Compliant with operational regulations ©Studio PONANT_Olivier BLAUD
Compliant with operational regulations ©Studio PONANT_Olivier BLAUD

潮を吹いたり、ジャンプしたりする姿をゾディアックボートという水面に近いところに浮かぶ地点から見ることができるのは、やはり躍動感や感動が違うものです。

クジラは尾鰭の模様で個体を特定することができるようで、クルーズのレクチャーの際に私たち旅人も写真が撮れたらhappywhale.comというオンラインサイトに送ることでクジラの研究に役立つという情報をいただきました。こういうのも南極という場所にいるからこそ遭遇するものですね。

そして、そんな動物たちの背景に映る景色もまた、南極の素晴らしさを感じたひとつです。

晴れている南極も好きですが、個人的にはこのグレイがかった白い世界がとても美しく、非常に心に残りました。

全く風のない日の水面は、南極の山々や氷山を鏡のように映し出し、そこにはただ時が止まったかのような静寂の瞬間が続くのです。

グレイの空の日は、より氷山が青く(まさにアイスブルー色)輝いて見えます。写真はポータルポイントから撮ったものですが、粉雪が舞う中、海に浮かぶ巨大なアイスブルーの氷山などを見渡すことでき、今回の旅の中でも個人的にはナンバーワンの絶景ポイントでした。

そんな、南極の野生動物と絶景を楽しみながらの人生最高の旅だと感じたのが、とある日の午後のゾディアックボートでのクルーズでのこと。

その日は、2〜3度の寒い曇りの日で雪も降っていました。ユニクロの極暖ヒートテックを上下に着込んでゾディアックボートで動物たちの観察へ。

帰りにエクスペディションガイドさんが、「足元にある木箱を開けてみて」といい、同じボートに乗船していた人が開けたところ、なんとそこから出てきたのはグラスとシャンパン!

最高すぎる!
私も長年フランスの会社で働いておりますが、こういうの、本当にフランスって上手なんですよね。さすがフランスのクルーズ会社ポナンだなと思う演出です。

長靴にパルカ(防水性の防寒着)に防水パンツ、帽子にネックウォーマー、手袋を身につけ、ゾディアックボートの上で、南極の絶景を眺めながらシャンパンをグラスに注いで乾杯!

南極で動物や絶景との出会いで知的好奇心をくすぐられながら、それらを眺めながらの遊び心ある体験。

南極+野生動物+絶景+シャンパンって、最高に贅沢な旅の方程式ですね。

こんな楽しさ知っちゃったら、次からの旅のハードルをどうコンロールしようかと心配になってしまうほどです。

しかし、旅は人生を豊かにさせるものだというのをとても改めて感じる体験でした。

次回は、南極旅の最後として、10日間過ごしたクルーズの中をお届けします。

 

「ダージリン コズエが行く、人生最高の旅」をもっと読む

Photos & Text:Darjeeling Kozue

Profile

ダージリン コズエ Darjeeling Kozue 20代で世界一周の旅を経験し、30代で世界中のブティックホテルやデザインホテル、ラグジュアリーリゾートなどを巡ってきた旅のエキスパート。海外旅行のガイドブックや雑誌などの編集経験もあり。本業は、外資系企業でジェネラル マネージャーを務めている。Instagram: @cozykozue
 

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2026 N°193

2025.11.28 発売

The New Me

あたらしい私へ

オンライン書店で購入する