長澤まさみの告白
10代の頃は「ヌードをやってもいい」とか言っていた
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。女優・長澤まさみのビフォー&アフター。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)#61』2012年11月号掲載 )
──13歳でデビューされて25 歳の今、長澤さんの人生に影響を与えた転機やきっかけとはなんですか?
「やっぱり一番に思い浮かぶのは小泉今日子さんという存在ですね。最初にお会いしたのは私が17歳ぐらいのときなのですが、共演回数が多いこともあって、本当に可愛がっていただいています。大好きな先輩であり友達でもあるんですけど、迷ったときに常にいい言葉をかけてくださるのは小泉さんなんですよね。私、悩むのが趣味って言えるぐらい、いつも大なり小なりいっぱい悩みを抱えていて(笑)、その節々でかけてくださる言葉が、私にぴったり、しっくりくるんです。」
──例えばどんな言葉を?
「最近のことでいうと、2年ぐらい前かな。そのときは舞台のお話が来ていて、やろうかどうか迷っていたんです。それで、相談も兼ねてお家に遊びに行ったときに、小泉さんに「まだ恥ずかしさを捨て切れてないよ」って言われて。それまで考えたこともなかったのですが、ああ確かに、自分が自分を恥ずかしいと思うことが、たくさんあったなあと。それが自信のなさにもつながっていたんだと思うんですけど……。」
──意外ですね。堂々とされている印象ですが。
「私、そのあたりがちょっと矛盾していて。面白そうとか興味をそそられるお仕事はいっぱいあるし、好奇心も旺盛なんですけど、自信がなくてなかなか堂々としていられない……。“ 控えめの出たがり”みたいな(笑)。だから、そのときも「とりあえず舞台やってみたら?」って小泉さんに背中を押していただいて、やることに決めたんですが、仕事だけでなく人として見てくれたうえで、教えてくださることが多いので、節目節目できっかけにはなっていますね。」
──美脚や谷間を見せたり、大人の女性として色気も増してきましたが、それも恥ずかしさを捨てたから?
「えっと、それとは別ですね(笑)。もともと、自分を見せることに対して仕事になると恥ずかしさはないというか。さらけ出すことへの羞恥心はあまりないんです。でないと、(『世界の中心で、愛をさけぶ』で)丸刈りにもしないだろうし。10代の頃は「ヌードをやってもいい」とか言っていたぐらいで。あ、でも今はちょっと考え方も変わって、「私はヌードはやらない!」って思っているんですけど(笑)。とにかく、何でもやりたがりなんですよね。」
──客観的に、昨年公開された映画『モテキ』のあたりから、何か吹っ切れたような印象を受けるのですがいかがですか? ショートヘアをマネする女の子も急増したりして、女性のファン層も増えたのでは?
「う~ん、でも昔からファンレターとかは女性からもいただいていたので、正直よくわからないですね。私にとっては、どの作品も節目ですし影響を受けていますから。若い頃は反抗心もあって、自分で自分のことを女優ですって言うのが恥ずかしい時期もありました。でも、実際に女優の仕事をしているんだから、女優だって言うしかないし、“役”として生きないと意味がない。だから、基本的に自分のイメージがどうとか、綺麗に映りたいとか、あまり考えないんです。自分がいいなと思う作品や役柄を見ていても、全部がいい人で好かれているかっていうとそうじゃないし、カメレオンのように、役によってイメージを変えて人を楽しませるのが女優の醍醐味だと思うので。新しいことにチャレンジしてそれを受け入れてもらうのってすごく難しいことだけど、目の前の役と向き合っていけば、少しずつでも着実に変わっていける。それでより多くの人に自分を見てもらえるのなら、ありがたいことです。」
──では、この先、女優として新たにチャレンジしてみたい役柄は?
「悪女かな。あと、将来はいいお母さんの役をやれる女優さんになりたいんです。母性って女性にしかないもので、その偉大さを感じることも多いし、女だから与えたいという気持ちもある。なんだか私、昔から母性が強いみたいで、現場でも、言わなくていいのに気になったことをつい口にしちゃうんです。小うるさいおばちゃんみたいになるから、頑張って言わないように控えてるんですけどね(笑)。」
Photo:Ryu Tamagawa
Interview & Text:Ayako Sakiyama