吉沢亮の変化「本当の意味で腹をくくれたような気がします」 | Numero TOKYO
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吉沢亮の変化「本当の意味で腹をくくれたような気がします」

ドラマや映画、CMなどの出演が続き、いっそう存在感を増している俳優、吉沢亮が登場。ドラマ「オトナ女子」では、篠原涼子演じるアラフォー女子に思いを寄せる後輩を演じて話題を呼んだ。主演作で味わったという悔しさや意外な趣味など、華やかな見ためからは想像しがたい21歳の素顔を覗かせた。(Numéro TOKYO 2016年1・2月合併号掲載 ──アラフォー女性の恋と友情、仕事での奮闘を描くドラマ『オトナ女子』で、篠原涼子さん演じる主人公の亜紀を慕う職場の後輩、前川亮介を好演。現場はいかがでしたか? 「本当に良い雰囲気でした。亜紀さんのことが大好きな若手社員の役なので、普段から好きになろうと篠原さんの写真を待ち受けにしていたら、それを見てツーショットを撮ってくださって。最近は本当に好きになりすぎて困ってます(笑)」 ──いわく「子犬のような男子」。前川くんのことをどう思います? 「すごいと思います。ガツガツ…というか、僕のように“こう言ったら嫌われるかな…?”とか全然考えずに行動しますし、女子の中にひとり男子がいるという状態も平気。僕は男四人兄弟で育ったので、女子が大勢集まったときのパワー全開な感じに負けちゃいます」 ──同世代との共演が多かったなか、久しぶりにオトナの共演者が多いことで、得るものも多いのでは? 「本当にカッコいいですし、勉強になります。江口洋介さんや平山浩行さんはご一緒するシーンが週に一度くらいなので、せっかくお話できたと思ってもまた時間が空いてしまうのが残念なところなんですけれど」


──俳優としても何かいいきっかけになる作品だと思うのですが、これまでの人生で何か大きな転機はありましたか?

「まだ21才なので、そんなに振り返るほどの出来事はないんですけど…でも、一昨年『ぶっせん』というドラマで初めて主演(単独)させてもらったことで“俳優をやっていこう!”と、本当の意味で腹をくくれたような気がします」

──それまではアマチュアというか、学生気分が抜けていなかった?

「この世界に入ったのも、母に勧められて事務所のオーディションを受けたことがきっかけでしたし。お芝居は好きになりつつあったんですけど、どこかバイト感覚というか…。遊びの予定がある日に仕事が入ると“あ〜、入っちゃったか…”みたいな(笑)。そのときは一生懸命やっているつもりでしたけど、プロ意識は全然、足りなかったですね」

──座長としては、どんなことを?

「現場の雰囲気づくりを考えるようになりました。最年少だったこともあって、気になることがあってもなかなか言い出せなかったのですが、まず自分がピリッとすることで、その場を引っ張るといいますか。そういう部分で変わったかなと思います。あとドラマに続いて舞台もやったんですけど、大きなホールだったこともあり、客席が埋まらない回もあって…。それが本当に悔しかった。もっとできることがあったんじゃないか? もっともっとやらなきゃって。今まであまりなかった感情が芽生えました」


──拝見しました。ハジけたお芝居がよかったです。

「ありがとうございます。でも、その後、チャラい役ばかりいただくようになって(笑)。自分は根暗なので、気持ちを上げるのが大変ですね」

──根暗というよりも、硬派なのでは? 某番組では、剣道二段の腕前を披露されていたことですし。

「剣道は、親が厳しかったから辞めたくても辞められなかったというのが正直なところで…(笑)。これからの季節、寒稽古が本当にツラいんですよ」

──先ほどの舞台のお話もそうですが、負けず嫌いなところがある?

「自信家ではないですけど、負けると悔しいというのは、剣道を長年やっていたせいかもしれませんね。その番組で日本一の女子高生と実業団ナンバーワンの女性剣士と勝負したときも『絶対、負けたくない!』って。それまで目ぼしい戦績がなかったので、あの勝負に勝てたことは本当にうれしかったです。プロフィールにも胸を張って『特技・剣道』と書けるようになりました。忍耐力とか、そういう意味でも剣道をやらせてくれた親には感謝しています」


──プロフィールといえば、趣味に「喫茶店巡り」を追加されていて。

「カフェのような若者が大勢いる場所じゃない、おじいさんとかが集っている店が好きで…落ち着くんです。友達と飲んだりはしますが、基本的にワイワイしているのは得意じゃない。一人の時間は静かでいたいんです。家も好きなんですけど、何もしたくなくなっちゃうので」

──喫茶店では、一人で何を?

「本や漫画を読んで、タブレットでドラマを見てます。最近は車の免許を取ったので、隣町の喫茶店まで出かけたりも。京都にも素敵な喫茶店がたくさんあるんです。和食もおいしいですし、関西方面で仕事があるときは、一人で前乗りして京都に行きますね」

──剣道に喫茶店に和食…見た目からは想像できない趣味ばかり。

「中身がおじいちゃんなんです(笑)。京都では、お寺巡りをするのも好きです。要は、一人で落ち着ける場所が好きなんだと思います」

──21才の決意表明で「アウトドアな趣味を持ちたい」とおっしゃっていましたが、まだ先のようですね。

「釣りに挑戦したんですけど…釣った魚が触れないっていう(笑)。それに、あちこちで言ってますけど、虫だとか、生き物が苦手なんです」


──では『オトナ女子』のマスコット猫の「ちくわ」も苦手?

「いや、猫と犬はいいんです。ちくわはカワイイですよ〜。虫とか爬虫類は、なに考えてるかわからないじゃないですか? それがちょっと…。基本“ビビり”なんです(笑)」

──江口さんや平山さんはオトナの趣味人だから、共演を機に何か教わってみたらいかがですか?

「そうですよね。平山さんは陶芸が趣味とおっしゃっていましたし…。いったい、何がいいんですかね? 虫のいないアウトドアなんてないですよね(笑)」

──それは俳優デビュー5年目を迎える22歳の目標ということで。最後に、ドラマのような“オトナ女子”についてどう思われますか?

「年齢を重ねても女性を意識しているのは素敵だと思います。僕自身、長い間付き合っていても、いつまでも男としてカッコつけていたいタイプですから。女性にもそうあってほしいです。まさに、前川くんじゃないですけど、篠原さんや吉瀬美智子さん、鈴木砂羽さん演じるオトナ女子みたいに、そういう意識の高いオトナの女性には憧れます」

──では、憧れのオトナ男子は?

「遊び心のある人。たとえツラいことがあっても、それすら楽しめる。そんな余裕のある男になりたいです」

コート¥142,000/Melindagloss(インターナショナルギャラリー ビームス)

Photo:Takeshi Shinto Styling:Daisuke Araki Hair & Makeup:Masanori Kobayashi 
Interview & Text:Tatsunori Hashimoto Edit:Saori Asaka

Profile

吉沢亮Ryo Yoshizawa 1994年生まれ、東京都出身。「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」入賞を機に俳優デビュー。12年『仮面ライダーフォーゼ』の仮面ライダーメテオ/朔田流星役で人気に。以降、ドラマや映画、舞台などさまざまな作品に出演。フジテレビ系ドラマ『オトナ女子』(毎週木曜22時〜)が現在放送中。16年1月30日より映画『さらば あぶない刑事』が公開予定。

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