おぎやはぎ、ブレイクの理由「養成所は詐欺だと思っていたんですよね(笑)」
──お笑いを始めたきっかけは?
矢作「極楽とんぼの加藤浩次さんに出会ったからです。深夜番組で極楽とんぼを見て、面白くて大好きだったんです。そんなとき、偶然、加藤さんが当時働いていたバーで知り合い、通うようになって。話していると、案外自分もお笑いでいけるんじゃないかって(笑)。それで小木を誘って」
小木「それまではテレビに出るなんて遠い話だと思っていたから。僕たちは高校の同級生で、社会人になってからもいつも一緒に遊んでいましたけど、お笑いをプロでやるなんて考えたこともなかったしね」
矢作「まず、その発想がないね」
小木「でも加藤さんみたいな存在が身近になって、じゃあ自分たちもって」
──小木さんは矢作さんにお笑いに誘われたとき、驚きませんでした?
小木「全然。矢作には、いいものを持ってくるという実績が既にあったからね。昔から矢作が『いいバイト見つけたよ』って教えてくれて、行ってみると、俺が自分で選んだバイトよりも高収入で楽で融通が利くんですよ。だからその流れで『お笑いやろう』って」
矢作「正解だったろ?」
小木「うん。ほんと、矢作はいい仕事を見つける能力が高いよ」
──それまでに、お笑いの素地みたいなものはあったのですか。
矢作「全くないです。そもそもお笑いライブがあることすら知らなかった」
小木「お笑い芸人はテレビに出るのが仕事だと思ってたよね」
矢作「そう、すぐテレビの仕事が来るものだと。芸能事務所に『芸人になりたいです』って電話したら、3分のネタを持ってきてくださいって。『おい、やばいよ。ネタ持ってこいだって!』みたいな(笑)」
小木「ネタって何だ?って」
矢作「僕らが23歳のときです」
──養成所には行かなかった?
矢作「行かなかったですね。養成所に入ったところで、ネタ教えてくれなかったと思うんだよな。でも他の人がやっているのを見られるから、入ったほうがわかりやすいのかな」
──今はお笑い芸人のほとんどが養成所出身ですよね。
矢作「多分、今は養成所に入らないとお笑い芸人になれないんじゃないですか。僕らのときからそうだったかもしれないけど、あまりにも何も知らなかったから、養成所は詐欺だと思っていたんですよね(笑)」
小木「お金を取るなんて詐欺だなと。ニュースでよくやってるでしょ?」
矢作「モデル事務所のレッスン料、とかいってボラれるとかね」
小木「あれと一緒で、詐欺だからやめようって」
矢作「そんな感じだから、ネタを作るといってもフリやオチなど基本的なことも知らずに、単純に面白いと思ったことを言ってるだけだったなぁ。最近は一般の若い人たちでもフリ・オチ知ってるもんねぇ」
小木「芸人さんがどんどん専門用語をテレビで言うようになって広まったじゃない? 昔は知らなかったよ」
矢作「“笑いのハードル”とか、みんな、普通に知ってるもんね」
──お笑いでやっていけると手応えを感じられたのは、どんなとき?
矢作「そんなネタだから、お客さんには受けないんだけど、芸人が近寄ってきて、面白いね〜と言ってくれたんです。プロが言ってくれると自信がつくじゃないですか。デビューして2、3年で初めてテレビに出て」
──軌道に乗ったきっかけは?。
矢作「時系列でいうと『踊る!さんま御殿!!』『M-1グランプリ』『めちゃ×2イケてるッ!』である程度認知されたような。『M-1』の一回目の結果は散々だったけど」
小木「『めちゃイケ』の“笑わず嫌い王決定戦”はでかかったなぁ」
──『さんま御殿』はゲストが多いから、そこで光るのって難しそう。
矢作「たまたま、さんまさんがテンション低いな〜っていじってくれて。珍しかったんでしょうね。全然ひな壇でも立ち上がらないし」
──なぜ立たなかったのですか。
矢作「うーん、恥ずかしいから」
小木「僕たち、瞬発力がないんです。みんな立つの速すぎて」
矢作「遅れて立つの、すごく恥ずかしいじゃないですか」
小木「もう今更だと」
──諦めの速さが素晴らしい(笑)。それがおぎやはぎのオリジナリティにつながったんですね。
矢作「オリジナリティなのかどうか。ただ人に合わせようとはしなかったですね。芸人っぽい精神もないくせに“芸人とはこうあるべき”みたいなことをしようとしても恥ずかしくて仕方ないから、やらないだけで」
──それ以降はトントン拍子?
矢作「トントン拍子といっていいのかわからないですけど、まあトントン拍子でしょうね(笑)」
小木「やっていけてますからねぇ」
──『バイキング』ではついに水曜お昼の顔になられましたが、意識していることはありますか。
矢作「何もないね。ニコニコはしているかな(笑)。お昼ならではの笑っちゃう感じを目指したいです」
小木「爽やかにしていないとね」
──『バイキング』ではついに水曜お昼の顔になられましたが、意識していることはありますか。
矢作「何もないね。ニコニコはしているかな(笑)。お昼ならではの笑っちゃう感じを目指したいです」
小木「爽やかにしていないとね」
──今日も眼鏡姿が決まっていますが、どちらのブランド?
小木「(眼鏡を外してブランドを見ながら)Toshikiですね」
矢作「カルロス・トシキ(笑)?」
小木「ん、KAMUROってある。何かダブルネームなのかな」
矢作「僕のは職人さんの個人名が入ってる。眼鏡屋で買ったけど」
──いくつぐらいお持ちですか。
矢作「たくさんありますよ。30〜40本ぐらい?」
小木「引っ越すたびにすごく捨ててますけど(笑)、それでもまだある」
矢作「僕らクラスになると、眼鏡を捨てるんですよね(笑)」
──眼鏡選びのコツは? 衣装に合わせるとか?
小木「うーん、自分の中で飽きていない眼鏡ということかな。不思議なもので、眼鏡って何週間か何カ月かしまっておいて、久しぶりに掛けると嫌な感じがするの。まったく似合わなくなってる」
矢作「全然違うんだよね」
小木「洋服はいつでも着られるのに、眼鏡は一度違うものを掛けると、以前のものに違和感が出てきちゃう」
──しばらく同じものを掛け続けるということですか。
小木「たいてい3、4本をローテーションしています」
矢作「僕の眼鏡は黒縁ばかりで、形が少し違うだけ。それでも以前の眼鏡を掛けると、自分の中で変な感じがするんですよ。誰も気づいていないですけどね。自分はすごく気にするけど、周りは気にしていない。女の人の前髪みたいなものですね(笑)」
Edit:Saori Asaka