生きづらさを感じたことのある人必見! 映画『マイ・プレシャス・リスト』 | Numero TOKYO
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生きづらさを感じたことのある人必見! 映画『マイ・プレシャス・リスト』

どんなに頭脳明晰でも容姿端麗でも、はたまた富豪でも、その人にはその人の生きづらさがある……。映画『マイ・プレシャス・リスト』の主人公キャリーも天才だけどコミュニケーション能力がない屈折女子。彼女が実行した「幸せになるためのリスト」とは? そして彼女は幸せを見つけることができるのか?

天才キャラ版ブリジット・ジョーンズ!? 
不器用なこじらせ女子の成長をユーモラスに描く感動の物語

ヒロインは天才的な頭脳を持ちながら、そのせいでプライドが高く、コミュ力はゼロのキャリー・ピルビー。非モテで社会に馴染めず、何ごとも空回り。そんな彼女が“幸せになるためのリスト”を実践していくうちに、大切な人とのつながりを少しずつ手に入れていく姿を描いた成長物語だ。

原作はカレン・リスナーが2003年に発表したヤングアダルト小説『Carrie Pilby』。『恋愛適齢期』『ホリデイ』『マイ・インターン』など、ナンシー・マイヤーズ監督作のプロデューサーとして知られるスザンヌ・ファーウェルが贈る最新作。監督はこれがデビュー作となるスーザン・ジョンソン。

舞台はNYのマンハッタン。IQ185でハーバード大を飛び級で卒業したキャリー(ベル・パウリー)は、仕事もなく、友だちも持たず、口を開けば他人を見下す傲慢な発言ばかり。ほとんどの時間を自宅に引きこもって、膨大な量の読書や映画鑑賞(配信ではなくDVD派)に当てて過ごしている。

話し相手は定期的に通っているセラピストのペトロフ(ネイサン・レイン)のみ。見かねた彼は、6つの課題が書かれたリストを大晦日までにクリアすることをキャリーに提案する。「このリストをやり遂げれば幸せになれる」と言うペトロフに、気の進まないキャリーは毒舌を吐く始末。

「幸せになってどうするの? 才能があっても不幸な人もいるわ。キルケゴール、ヴァン・ゴッホ、ベートーヴェン、モリッシー!」。

しかし、それでもリストの実行に渋々乗り出し、またロンドンで暮らす父親(ガブリエル・バーン)から法律事務所の文書校正の仕事を推薦される。一進一退を繰り返しながら、社会の現実に踏み出していくキャリー。そしてクリスマスイヴの日に、ちょっと気になる人との出会いが……。

サリンジャーの小説『フラニーとゾーイー』を愛し、実は過去の辛い恋愛経験を抱えたキャリーを、英国出身の注目の若手女優ベル・パウリーが独特のファニーな魅力で演じる。天才キャラとはいえ、むしろ等身大の生き難さを抱えた不器用な女性の物語。

『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)の系譜にも連なるだろう。自分自身を大切にすることで他者への優しさにも開いていく、ラブストーリーの枠を超えた感動作だ。

『マイ・プレシャス・リスト』

監督/スーザン・ジョンソン
出演/ベル・パウリー、ネイサン・レイン、ガブリエル・バーン 
URL/http://my-precious-list.jp/
2018年10月20日(土)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

©2016 CARRIE PILBY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

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