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樹木希林の姿をスクリーンで。”お茶”が教えてくれたこと『日日是好日』

黒木華主演の映画『日日是好日』が公開される。樹木希林の出演作としても話題の本作。”お茶”と出会った主人公がお茶を通じて教わったこととは。

樹木希林が茶道を通した「人生の師匠」を演じる。
たおやかな時間の流れが刻まれた優しい感動作

先ごろ、9月15日に惜しまれつつ亡くなられた日本を代表する名女優、樹木希林。『モリのいる場所』『万引き家族』(ともに2018年)に続いて彼女が出演した新作映画『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』が公開される。

原作は人気エッセイスト、森下典子が茶道教室に通う20年の日々を綴った同名のロングセラー(新潮文庫刊)。彼女が茶道教室に通う20年の日々を綴った自伝的内容だ。

「世の中には『すぐわかるもの』と、『すぐわからないもの』の二種類がある。すぐにわからないものは、長い時間をかけて、少しずつ気づいて、わかってくる」――。

フェリーニの映画『道』を引き合いにして語られる、そんなお茶を通した人生の気づき。映画は1993年から始まり、20年以上の歳月が淡々と、たおやかな川の流れのような心地良い時間で描かれる。

主人公の典子を演じるのは黒木華。大学生の頃、母に勧められてお茶を習うことになった典子。それから就職の挫折、失恋や別れ。いろんなことを経験して大人になっていく。20代から40代まで、ひとりの女性の人生をナチュラルな存在感で見事に演じきる。

そして樹木希林が演じる茶道の武田先生は、人生の師匠としての大きく豊かな包容力で典子たちを導いていく。また典子のいとこにして親友の美智子に扮する多部未華子の、可憐で明るいキャラクターが映画に艶やかなアクセントを与える。

「日日是好日」とは禅語の一つで、毎日毎日が素晴らしい――引いては“いま、この時”こそを受け入れ味わいながら生きていくことが大切という意味。この美しい言葉をかみしめていく淡々とした時の流れが心身に優しい。

監督・脚本は大森立嗣。モスクワ映画祭審査員特別賞を受賞した『さよなら渓谷』(2013年)など主にハードな作風で知られる彼の意外な側面が味わえる。来年公開予定の『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』や『タロウのバカ』と続々新作が控えている大森監督の動向にも注目だ。

『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』

監督・脚本/大森立嗣
出演/黒木華、樹木希林、多部未華子
原作/森下典子著『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』
2018年10月13日(土)より、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、渋谷シネクイント、イオンシネマほか全国公開
URL/http://www.nichinichimovie.jp/

©️2018「日日是好日」製作委員会

Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

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