2022春夏デビューブランド「TELMA」の半袖ニット|私たちのモノ語り #027 | Numero TOKYO
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2022春夏デビューブランド「TELMA」の半袖ニット|私たちのモノ語り #027

今春デビューしたばかりの新ブランド「TELMA(テルマ)」がそれはそれは素敵です。

デザイナーは、アントワープ王⽴芸術アカデミー卒業後、ドリス ヴァン ノッテンイッセイミヤケで経験を積んだ中島輝道さん。昨年の秋に展示会でファーストコレクションを拝見し、あまりの完成度の高さに惚れ惚れ。オーダーした服を実際に何度か着てみて、ますます好きになってしまいました。

私が購入したのは、この半袖ニット。ジャケットを羽織ってもごわつかず、見た目もどうしたって可愛いうえにTシャツよりちゃんとして見える半袖ニットやニットポロがもともと大好物なのですが、このニットで特筆すべき点は、決してほっこりにもコンサバにもさせないデザイン。ポイントは袖口と裾に施された「スタッズ」を模した加工です。これは有松絞りという和装の技法取り入れたもので、確かに浴衣や三尺帯を想起させます。なのに、スタッズだと聞いて見てみると、短めの丈感も相俟ってパンク。でも、ニットなので触っても痛くないですし、もちろん飛行機に搭乗するときも「ピーッ!」とは鳴りませんし、家でも洗えちゃいます(イージーケア、最重要課題ですよね)。

また、体を美しく包み込むような立体的なシルエットで、背中にはシャツのヨークのような切り替えがあったりして、ニットだけど肌離れがよく、ポリエステル100%ですが着心地も◎ デザイナーご本人は「ニットのよさと布帛のよさを掛け合わせた、現代的なリラックス感とエレガントのいいとこどりをしたニット」とお話しされていましたが、まさに着てみてその「いいとこどり」を実感しています。

そんなわけで「一緒に買えばよかった!」と後ろ髪を引かれているのがこの美しいニットジャケット。

ニュールックをいまの時代に合わせて再解釈したアイテムなのですが、カジュアルにでもオケージョンにでも合わせられて、「ニットなのにダレない」を目指して編み地をかなり研究されたそうです。袖に入ったプリーツは特殊な編みで作られていて、永久に消えないとか。機能性の高さと、美しさ、装うことの楽しみが同時に叶うという素敵な一着。

着る人に寄り添ったマニアックなアイデアやこだわりとテクニックが凝縮されたコレクションが素晴らしく、チェックや花火のプリントアイテムも本当に素敵で……そろそろ(たまには)ドレスアップしたい! という気持ちに火がつきました。

Numero.jpでもデザイナーを訪問する連載で取材させていただきまして、記事は近日公開予定。AWもちらりとご紹介させていただきます(またこれが、めちゃくちゃ可愛いのです!)。さまざまなファッション遍歴を経てマイ定番に落ち着いている方にも、かつてファッション中毒だった方にも、もちろん現役をひた走るモードな方にも、ぜひチェックして(余すところなく深堀りして)みてほしい推しブランドです。

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Profile

井上千穂Chiho Inoue フィーチャー・ディレクター。『Numero TOKYO』創刊時よりエディターとして主に特集を担当。2011年よりウェブマガジン「honeyee.com」「.fatale」の副編集長をつとめ、19年より出戻り現職。作り手の話を聞き、ものづくりの背景を知るとお財布の紐が緩みます。夜な夜な韓国ドラマに、休日は自然の中に逃避しがち。子連れ旅もお手のものな二児の母。

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