Culture / Post
Numero TOKYOおすすめの2019年6月の本
あまたある新刊本の中からヌメロ・トウキョウがとっておきの3冊をご紹介。
『セミ』
著者/ショーン・タン
訳/岸本佐知子
価格/¥1,800
発行/河出書房新社
“異物”として扱われる者の孤独を描いた話題作
17年間、無欠勤で仕事のミスもなし。でも上司や同僚からは理不尽な嫌がらせを受け、救いの手を差し伸べてくれる人もいない——セミだからというだけで。読むごとに異なる余情を残す、社会が抱える問題を静かに描いた世界的ベストセラー作家による最新絵本。
『ヒト夜の永い夢』
著/柴田勝家
価格/¥1,000
発行/早川書房
夢と現実が交錯する、昭和伝奇ロマン大作
学者の秘密団体にいざなわれ、粘菌コンピュータ搭載の自動人形を発明する博物学の巨星・南方熊楠。しかし革命家の陰謀により、時代の混乱へと巻き込まれていく。江戸川乱歩など歴史を彩った名士たちが昭和初期を舞台に立ち回る、壮大かつ夢幻的な歴史改変SF。
『本にまつわる世界のことば』
著者/温又柔、斎藤真理子、中村菜穂、藤井光、藤野可織、松田青子、宮下遼
画/長崎訓子
価格/¥1,600
発行/創元社
作家と翻訳家が紡ぐ「ことばをめぐることば」
16の国と地域で使われている本に関連した慣用句などの言葉を集め、それらをテーマに書き下ろされた掌編小説とエッセイを収録した本書。読書という営みの中で生まれたさまざまな言葉が持つ感性豊かな表現に知的好奇心をくすぐられる、本好きにはたまらない一冊。
Text:Miki Hayashi Edit:Sayaka Ito