Culture / Post
Numero TOKYOおすすめの2018年9月の本
あまたある新刊本の中から、ヌメロ・トウキョウがとっておきの3冊をご紹介。
『静かに、ねぇ、静かに』
著者/本谷有希子 価格/¥1,400 発行/講談社私の「価値」と「幸せ」を決めるのは誰?
インスタに投稿した写真を介してのみ「本当」を実感できる男女、ネットショッピング依存症の妻など、SNSに翻弄される人々の狂騒を綴った短編集。客体と主体の境界が曖昧となった現代に潜む違和感を、現実よりもリアルに描き出す衝撃的フィクション。『最初の悪い男』
著者/ミランダ・ジュライ
訳者/岸本佐知子
価格/¥2,200
発行/新潮社
孤独な中年女の成長と奇跡を描く感動長編
現実世界と自分を隔ち、自ら考案した「システム」に則りながら暮らす43歳独身のシェリル。だが平穏な日々は、傍若無人な上司の娘の乱入により崩壊する。奇妙な人間関係と、初めて知る“痛み”がもたらす成長と魂の解放。心を容赦なくゆさぶる、著者初の長編。
『変わったタイプ』
著者/トム・ハンクス
訳者/小川高義
価格/¥2,400
発行/新潮社
優雅な読後感をもたらす、名優のデビュー小説集
米文学界でも高評価を得たトム・ハンクスの初小説集。一風変わった人々のドラマを描いた17の短編は、どれも上品なユーモアに満ちており、それぞれが一本の名画にも匹敵する陶酔感をもたらす。名優のストーリーテラーとしての才能を堪能できる、愉楽の一冊。
Text:Miki Hayashi Edit:Sayaka Ito