東北初のラグジュアリーリゾート「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」を体験
冬は世界屈指のシルキースノーで白銀に染まったゲレンデと絵画のような雪景色が、夏は緑豊かな高原と白樺林が目の前に広がる山麓のリゾート・岩手県安比(あっぴ)高原。この地に2021年12月にリブランド開業した「ANAクラウンプラザリゾート安比高原」「ANAホリデイ・インリゾート安比高原」に続き、2022年2月「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」が新たにオープンした。
安比高原スキー場のゲレンデに直結し、全38室・7タイプの客室のほか、レストラン、バー、クラブラウンジ、温泉大浴場、スパ、フィットネスジムなどを擁する東北初のラグジュアリーリゾートとなる「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」。全室クラブラウンジへのアクセスが約束された、ファイブスターホテルの全貌を紹介する。
岩手県北西の内陸に位置する自然豊かなリゾート・安比高原
ホテルが立地する安比高原は、東北新幹線で東京駅から最速で2時間11分、盛岡駅から車で約50分の、岩手県北西の内陸に位置する自然豊かなリゾート地。アイヌ語で「安住の地」を語源とする安比には、なだらかな山麓の白樺林に可愛らしい北欧風のペンションやログハウス風の別荘が建ち並ぶ。
安比の魅力を代表するのが、白銀に彩られる一面の雪景色。日本最大級の樹氷地帯、八幡平の隣に位置する安比の雪は、内陸部特有の地形条件と北緯40度という立地的恩恵のため、湿度が低く、軽くきめ細やかなパウダースノーが魅力だ。「奇跡のシルキースノー」とも称される安比のゲレンデは、国際的なアワード「WS TOPS ウィンタースポーツ賞」海外スキー場部門にて、スイスのサンモリッツやツェルマットなど世界に名だたるスキーリゾートと肩を並べ、日本から唯一トップ10入りを果たしている。
また、世界有数の積雪地帯として知られる安比の豊富な雪資源を最大限堪能できるゲレンデの設備も国内随一の充実度。標高1,304mの前森山と1,328mの西森山に広がる、総面積282ha(東京ドーム約60個分)、総コース延長距離45.1kmの広大なゲレンデは、全21コースの平均コース距離が2.1kmと国内トップの圧倒的スケール。国内で最も長いリフトであるザイラークワッド(2,143m)、2番目に長いビスタクワッド(1,988m)など、多種多様のリフト・ゴンドラを備え、山頂から安比の街並みを見下ろしながらビッグスケールのロングラン滑走を心ゆくまで楽しめる。
安比の大自然と調和した瀟洒な佇まいが印象的な「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」
そんな安比高原に新たにオープンした「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」の特徴の一つが、全客室クラブラウンジへのアクセスが約束されたクラブインターコンチネンタル・カテゴリーであること。全棟クラブインターコンチネンタル仕様の施設を擁し、予約の段階からチェックアウトまで、一人ひとりに合わせたパーソナルなサービスを行う。
ホテルエントランスは、深い森を彷彿とさせ、まるで別世界へと誘う回廊のよう。廊下の奥には、八幡平の頂上付近であらゆる自然条件が一致したときだけに「開眼」する、幻の絶景「ドラゴンアイ」をモチーフにしたアート作品が展示されている。
奥深いブルーと真っ白な雪、それが溶けて露呈した土を表現したグラデーションに目を奪われていると、自然光が燦燦と降り注ぐクラブラウンジにたどり着く。
ここで、スパークリングワインなどのウェルカムドリンクをいただきつつ、パーソナルチェックインを行う。
ラウンジの壁に飾られているのは、津軽峠の樹齢400年のブナ林に立つマザーツリーと松川渓谷で見られる、柱状の玄武岩を重ね合わせたオブジェ。ラウンジ内に設けられたシェルフには、岩手県ゆかりの書物が並ぶ。
アフタヌーンティー、アルコールフリーフロー付きのカクテルタイムをお忘れなく
クラブラウンジでのお楽しみといえば、朝食からアフタヌーンティー、イブニングカクテルまで、一日を通して軽食やドリンクを堪能できること。
13:00〜15:00のアフタヌーンティーでは、一人ひとりに三段のティースタンドでスイーツやスコーン、セイボリーを提供してくれる。
筆者が伺った日は、安比高原ヨーグルトを使ったマカロンや、岩手くずまきワインのジュレなど、地元の食材や名産品を使ったスイーツが振る舞われた。
アスパラの生ハム巻きとピクルスや、野菜サンドウィッチ、アサリと野菜のグレックなど、アフタヌーンティーながらセイボリーも丁寧な造り。フレッシュな野菜がたっぷりで、味付けも軽やかなお腹がもたれない内容なのも嬉しい。
ちなみにアフタヌーンティーやカクテルタイムの内容は、連泊する人にも配慮し、毎日少しずつ内容が異なる。
17:00〜19:00のイブニングカクテルでは、フィンガーフードと共に、アルコールをフリーフローで楽しむことができる。
しかもそのアルコールリストにはシャンパンの「ローランペリエ ラ キュベ」も含まれているというのだからありがたい。
フィンガーフードもあなどるなかれ。「八幡平寒締めほうれん草とじゃがいものピューレ」や「八幡平マッシュルームと和胡桃のカナッペ」など、地産の食材を活かした逸品が並ぶ。
ラウンジ中央に鎮座する円形の暖炉は、日没時に火が灯り、しとやかで暖かい夕べを演出する。漆黒の闇に浮かび上がる雪景色と揺れる暖炉の炎を眺めながら過ごすひとときは、雪国に立地するラグジュアリーリゾートならではの贅沢な時間だ。
ダイナミックな安比の山々との一体感を味わえるインフィニティな客室
7タイプ38室の客室からは、粉雪に包まれた白銀のゲレンデと安比・八幡平の優美な大自然の風景を望むことができる。
客室デザインのコンセプトは「安比の自然との一体感」。四季折々の安比の自然を象徴する色調のインテリアにこだわり、安比の山々との繋がりを感じられるようなデザインだ。
ベッドのヘッドボードには、気分や時間によって雪のようにも見える、日本伝統の和紙を使用。フロアごとに異なるラグは、雲や朝焼け、ドラゴンアイをモチーフにした楕円形の優しい曲線が特徴的だ。
また、岩と白木をテーマにしたバスルームにはゲレンデを臨む大きな窓が配され、室内にいながらも露天風呂に浸かっているような開放感が味わえる。
シャンプーやボディソープなどは、スカンジナビアの美学とインド民族文化にインスパイアされたスウェーデンのブランド「BYREDO」を採用。このほか、歯ブラシやブラシ、綿棒やコットン、ソーイングキットなどのアメニティも完備されている。
チェックイン時と、ターンダウンサービス後の嬉しいプチサプライズも見逃せない。
チェックイン時にはウェルカムスイーツが、ターンダウンサービスを依頼した際には就寝前のプチスイーツが用意されるのだ。
ちなみにホテル最上級の「プレジデンシャルスイート」は、天井から床まで広がるコーナーウィンドウから、目の前にゲレンデを臨む300平米超のリゾートの贅をつくしたメゾネットタイプの客室となっている。10名までの会食が可能なダイニングテーブルと大きなコーナーソファを配したリビング・ダイニングルームのほかに、専用のエレベーター、キッチン、展望テラス、書斎エリア、瞑想やヨガに最適なミニマルな作りのシンプルなスペースなどを擁す。宿泊はもちろん、少人数のパーティにも使える設えだ。
郷土料理と西洋料理を融合“Farm to Table”をコンセプトにしたローカル クイジーン ダイニング
メインダイニング「白露/SHIRATSUYU」は、1階のラウンジに隣接。郷土料理と西洋料理を融合した斬新なローカル クイジーン ダイニングを標榜し、ディナー、ランチ、朝食ブッフェを提供する。
“Farm to Table”をコンセプトに、陸奥の特選食材や三陸の魚介類などを使った、クリエイティブなメニューが揃う。
森の中の渓谷をコンセプトにデザインされた同レストラン。柱に幾何学的にあしらわれているのは、松川渓谷の玄武岩の隙間に生える植物を表現したプリザーブド素材の苔だ。
渓谷の水と岩を表現したオブジェを囲むように配された、レストランエントランスのカウンターテーブルでは、森の東屋で寛ぐようにコーヒーやカクテルを楽しめる。
このほか、伝統的な組子技法を応用した伝統工房「長山工芸」の「南部細目組紋様細工(なんぶ さざめくみ もんようざいく)」を用いたウォールアートや、重厚な漆塗り飾り金具が目を引く「岩谷堂箪笥」のディスプレイなど、地元岩手の地域色を織り交ぜたインテリアが印象的だ。
ランチやディナーのメインディッシュには、三陸の鮑や帆立、前沢牛、安比高原匠のプライムポーク(R)など、グルマン垂涎の食材をラインナップ。
ランチコースの洋食では「八幡平市原木椎茸のフイユテ サラダ添え」や「安比牛のビーフシチュー」など前菜、スープ、メイン、デザート、パンと食後のドリンクがつく。和食コースも同様に、地元産の刺身盛り合わせや、焼き魚など、地域に根ざした構成となっている。
ディナーコースでは「山菜の3種盛り合わせ」や「マグロのタルタル アボカドのムース」など、東北の海と山の幸の共演が楽しめる。
さらに肉、魚介、野菜と一級の地産食材を自由に選び、調理してもらうことができるのも同レストランの特徴だ。
自分好みの食材を、それぞれの食材に合わせた複数の調理法の中からお好みの調理法を選択することで、ここでしか体験できない味に出会える。
このほか、野趣溢れる旬の食材を使った料理や、独自に調合した熟成醤油を使った料理など、オリジナリティ溢れるメニューも見逃せない。
朝食はお好みの卵料理に加え、パンケーキやフレンチトースト、ワッフル、和朝食膳からお好みのメニューを好きなだけオーダーすることができる。
岩手県宮古産サーモンのマリネとアボカドを使ったエッグベネディクトは、個人的にこれまで食べたファイブスターホテルのエッグベネディクトの中でも随一の味だと感じた。
さらにメインの料理に加え、ビュッフェボードに並ぶサラダやフルーツ、パン、ハムなども自由に味わうことができる。名産品の安比高原ヨーグルトを食べるのもお忘れなく。
オーセンティックバーやスパ、大浴場に屋上ビューテラスも
リゾートの中には、隠れ家のようなオーセンティックバー「畚/MOCCO」、安比・八幡平の山々の風景を望む屋上ビューテラス、岩風呂と檜風呂、露天風呂を擁した温泉大浴場「岩」「檜」、スパ「LAVILLA SPA APPI」、24時間営業のフィットネスジムなど、心と身体をリラックスさせる施設も擁する。
全客室とパブリックスペースから望む安比・八幡平の絶景と、世界最大級のラグジュアリーホテルブランド「インターコンチネンタル®ホテルズ&リゾーツ」が誇る洗練されたホスピタリティ、地産の食文化と出逢うガストロノミー体験が魅力の「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」。
「ANA インターコンチネンタル安比高原リゾート」に加え、隣接する「ANA クラウンプラザリゾート安比高原」「ANA ホリデイ・インリゾート安比高原」の3ホテルを所有・運営する株式会社岩手ホテルアンドリゾートは、安比をグローバル化に対応したインターナショナルリゾートへと進化させ、「観光・教育・健康(ウェルネス)」の3要素が調和した次世代型の街づくり「安比バレープロジェクト構想」を発表している。ホテルだけでなく、2022年8月に開校が予定されている英国の名門ボーディングスクール「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン」、商業施設や定住型別荘の建設拡充などを推進し、将来的には1万人規模のグローバル市民が定住するヨーロッパの山麓の街のような街づくりを目指しているという。世界中の人々が東北屈指のリゾート・安比高原に集う日もそう遠くなさそうだ。
「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」
住所/岩手県八幡平市安比高原117-46
TEL/0195-68-7550(代表)
URL/www.appi.co.jp/stay/ana-intercontinental-appi-kogen-resort/
Photos & Text: Riho Nakamori